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地獄までの過程がエンターテイメントに。「スイティエン公園」

今回紹介する「スイティエン公園」は、ガイドブックなどには小さく掲載されている遊園地。語尾に公園とつくのは、もともとこの土地が公園だったためです。現在ではジェットコースターや観覧車といった定番アトラクションを備えた遊園地として現地人に人気があります。また、スイティエン公園はもう一つ変わった一面を持ち、それは「仏教テーマパーク」というもの。とはいえ、固くなる必要はまったくありません。誰もが目を見張る巨大な仏教モニュメントも楽しみどころの一つ。

今回は子供から大人まで楽しめるテーマパーク、スイティエン公園をご紹介します。

アクセス

DSC00295.jpg敷地はかなり広大

スイティエン公園までの行き方はバスかタクシー。バスの場合はベンタイン市場バスターミナルから『19番』のバスに乗って40~50分程度でつきます。ローカルバスは少し乗り方が難しいので、不安な方はタクシーで行ってもいいでしょう。また、スイティエン公園のチケット売り場傍にはタクシーがたくさん待機しているので、行きのドライバーに待っていてもらう必要もありません。

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まずはマップを確認

DSC00293.jpgパンフレットも受付で貰える

まずはマップを確認しましょう。敷地はかなり広いので、効率よく回らないと1日では網羅できません。ただし、必ずしもすべて回る必要はありませんし、多くはモニュメントを鑑賞するだけなので所要時間はそれほどかかりません。ただし、ここはベトナム。日中の晴れた日は非常に日差しが強いので、2周3周はできないと思っていてください。気になったスポットは必ずその場で見つけて体験し、後戻りはしないことが効率よく楽しむコツです。

プールもある

DSC00291.jpg子供が楽しめるスポット

なお敷地内右側にはプールもあり、別途入場チケットを買うことによってこちらも楽しむことができます。ウォータースライダーもあり、プール自体も広いのですが、どちらかというと子供の広場といった感じ。大人だけだと十分楽しめないかもしれません。

レストラン事情

DSC00297.jpg数百人収容できるレストランがいくつかある

敷地内にはご覧のような小奇麗なオープン席を配置したレストランが複数個所あります。その他売店も至るところにあるので、飲料水やお菓子の調達、ランチなどは困ることはありません。ただし、レストランも売店もそうですが、平日は客がいないので、スタッフの数も少な目。開店休業している店が多いです。また、売店の場合は近くにスタッフが休憩していることもあるので、辺りを見渡してみましょう。

ちなみにレストランではフォーやインスタント麺を炒めた焼きそば、簡単なファーストフードなどがメイン。それほど凝った料理はでませんので、ここでの食事を我慢して市内に戻ったあとにレストランに行くのも可。

スイティエン公園の由来と仏教テーマパークの意味

IMG_0994.jpg龍はベトナムでは特別な意味を持つ

ベトナム国土の地形は、上空から見ると昇竜に似ていることから、龍を意味する「タンロン」とも呼ばれています。また、メコンデルタ地方は9つのメコン川の支流が流れていて、それもまた上空から見るといくつもの龍の頭に見えることから八岐大蛇ならぬ九つの龍という意味の「クーロン(九龍)」と名付けられています。さらに時を遡りベトナムが生まれた創世記時代。いまのベトナム人は、龍の父親と仙人の母親から生まれたという神話が伝えられていて、その伝説はベトナム人なら誰もが知っているおとぎ話になっています。

このように、ベトナム人にとって龍は神であると同時に父親でもあります。仏教寺院やここスイティエン公園で龍のモニュメントや石像が多い理由が分かりましたね。
ここスイティエン公園は、人が地獄に落ちるまでの過程をアトラクションとモニュメントにして追えるというのがコンセプト。

DSCN0189.jpgカートで移動できるお化け屋敷

一見すると単なるお化け屋敷でも、それは地獄へたどり着く過程の一つとなります。ベトナムは人口の7割から8割が仏教徒で、熱心な信者はいつも欠かさずに参拝に寺院に行きます。このスイティエン公園でも、敷地内のモニュメントや仏像に供え物をする仏教徒をときおり見かけます。また、旧正月には仏教に縁のある神々のパレードを見ることができ、多くの仏教徒で賑わうこととなります。

IMG_0987.jpg龍と仙人の神話は中国由来

高さ数十メートルある巨大な仏像の数々は遠くからでも見ることができ、バスで向かっている道中にも窓からうかがうことができます。外国人にとっては写真撮影のスポットとなり、「世界の有名テーマパーク12選」にも選ばれています。

IMG_0984.jpgちょっと不気味な部屋だが、この地の妖精が眠っていると言われている

ピンクのスポットライトで不気味に照らされた小さな祠堂。目を凝らすと、7人の妖精の像があります。この土地はもともと沼地で、かつて7人の妖精が暮らしていたと言われています。その後土地を開拓して公園を設立。妖精はベトナム人にとってはその土地の守り神でもあるので、このように祀っているのです。「スイティエン」とはベトナム語で妖精という意味があります。

子供向けアトラクションも多い

DSC00321.jpg子供はこれが大好き

もちろん仏教には関係ないジェットコースターや観覧車、メリーゴーランドにバイキングといったアトラクションも勢ぞろいしています。ただし、ジェットコースターなど一部の大型アトラクションは規定人数以上でなければ動かしてくれません。休日はベトナム人も多いのですぐに乗ることができるでしょうが、平日は少し待つこともあるでしょう。

DSC00319.jpg最近のベトナムの流行りでもある

こちらは4D。3D眼鏡をかけて、上下左右に揺れるシートに座って迫力あるスクリーンを楽しめます。最近は4Dに留まらず5D、6Dとあり意味不明になってきているのがベトナム。どんなものなのかは、その目でご判断ください。

ホグワーツ城が入居!

IMG_1005.jpgあのファンタジーがホーチミンにやってきた

スイティエン公園には、映画『ハリーポッター』に登場するホグワーツ城もあります。ハリーやハーマイオニー、ロンたちが通っていたあのお城です。城内には懐かしの登場人物たちが迎えてくれます。ただし、こちらはウォークスルー型のお化け屋敷。是非挑戦してみてください。

時間に余裕がある方やファミリーは是非

スイティエン公園では入場料の他に、各アトラクションごとに2万5000ドン~4万ドン程度のチケットを購入する必要があります。

ホーチミンの名所といえば統一会堂や戦争証跡博物館など、ベトナム戦争関連の施設が主で、小さなお子さんはあまり面白くないかもしれません。そんなときは、是非こちらに訪れて、ベトナム版遊園地がどんなものなのかを確かめてみてください。

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著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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