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ホーチミンの発展を支えた「サイゴン川」を眺める

ホーチミンの中心を流れるサイゴン川。旅行者はよくメコン川と間違えがちですが、メコン川はメコンデルタ地方を流れる川で、サイゴン川は主にホーチミンを横切る川です。サイゴン川沿いにはオープンカフェや高級ホテル、マンションなどが並んでいて、旅行者にとって、サイゴン川を眺めながらベトナムコーヒーを啜る時間は、ベトナムの良き風を感じ、異国情緒に浸れる一コマとなるでしょう。

今回はサイゴン川の概要をご紹介します。

サイゴン川の源流はカンボジア

IMG_3816.jpgトンドゥックタン通り沿いを流れるサイゴン川

サイゴン川の源流はカンボジア。もう少し具体的に説明すると、ホーチミン北西部にあるタイニン省をさらに北進すると、カンボジアとの国境にさしかかります。タイニン省は旅行者にとっても「カオダイ教総本山」のある場所ですし、個人旅行者がカンボジアへと向かう際には、タイニン省内にあるモクバイ国境からカンボジアに入国するのが近道となります。

サイゴン川はタイニン省とカンボジアとの国境に沿って北上して流れ、いつしかカンボジアと交わって源流にたどり着きます。源流は分かりづらいですが、地図で確認するとカンボジアのメモット南西部もしくはスヌオルの南方であることが見て取れます。

一方下流へと進めば、ホーチミンの中心1区、4区、7区と南へ流れていき、ソアイラップ川と合流。さらに南方へ進むと大海原の南シナ海へと到着します。全長は実に230km。横幅は300~500mという巨大な河川です。

旅行者にとってはベトナムらしさ抜群の風景

IMG_3821.jpgホテルマジェスティック。豪華5つ星だ

写真のこちらは観光名物にもなっている『ホテル・マジェスティック』。ラグジュアリーな5つ星ホテルで、経営は国営のサイゴンツーリスト。サイゴン川の傍を走るトンドゥックタン通り沿いで、サイゴン川に向かって建っているため、リバービューの見晴らしは抜群。また、宿泊者以外でも屋上のカフェバーを利用すれば、広大なサイゴン川を眺めることができます。日本の旅番組でも決まってこのホテルのカフェバーがロケ地となり、有名人たちがベトナムコーヒーを啜りながら、サイゴン川を眺める光景はもはやお馴染みです。

もちろんマジェスティック以外にも、このトンドゥックタン通りには5つ星ホテルがいくつも建っていますので、ホテル選びの際は検討の材料にしてみてください。

サイゴン川から見るホーチミンの発展と合理化の波

DSCN4720_R.jpgサイゴン川と傍に建つ高層ビル群

サイゴン川のサイゴンとは、ホーチミンの旧称。ベトナム戦争までベトナムは南北分断国家でした。その南ベトナムの首都が、ここサイゴン。ベトナム戦争後は革命家のホー・チ・ミン氏にちなんでホーチミンと名付けられました。それから40年余りの歳月が流れ、現在ホーチミンは首都ハノイを抜いてベトナム最大の商業都市であり経済圏へと成長しました。

写真のこちらはサイゴン川の傍に建つ高層ビル群。近年はまるでかつてのドバイ並みに高層ビルの建設ラッシュが続いています。ホーチミンの1区を中心にサイゴン川が流れる2区、7区には大型ショッピングセンター、高級マンションなどが並び建つようになり、ベトナムの発展を象徴しています。

IMG_3589.jpg遠くからでも目立つ高級マンション

サイゴン川に寄り添うように建つ高層ビル。こちらは「ホアンアンヤーライ(Hoang Anh Gia Lai)」と呼ばれる中級から高級マンション。建てられた十数年前の当初は約500万円から800万円ほどの価値でしたが、現在では1000万~1500万ほどに膨れ上がっています。このような高級マンションは7区と2区で現在競うように建設され、その大部分のマンションは売り出してものの数か月で完売になります。

ちなみに、ホーチミン在住日本人の駐在員の方々も、ご覧のような高級マンションに暮らしています。プール、フィットネスジム、ミニスーパーにカフェ、レストランなどが併設している日本人が羨むようなリッチな生活をおくっています。

IMG_4069.jpg水上に建つ平屋

しかし、すべてのベトナム人が発展の波に乗ってより幸福な生活を送っているわけではありません。発展の裏には必ず合理化の波に呑まれた貧困層もいます。東南アジアではすでにお馴染みで、テレビなどでもよく見かける「水上に建つ家々」。ちょっとした観光名物にもなっていますが、こちらには実際人が住んでいて、彼らはベトナムの中でも貧困層の部類に属しています。いわゆる、陸に土地を買うお金がない人たちですので。

彼らは政府自治体非公認で家を建てているため、住所を持つことができないため子供を学校に通わすことも、大人たちが企業で働くこともかないませんでした。しかし、最近では政府自治体も各家に住所を配布する動きがみられるほか、この水上タウン内に学び小屋を設置したりと、彼らの生活保護に動いています。その背景には、日本の生活保護の支給のような弱者救済システムがないことが要因に挙げられます。今後も貧富の格差はますます大きくなることでしょう。りょ

旅行者は一度は体験したい「サイゴン川クルーズ」

IMG_7707.jpgサイゴン川クルーズ。数社の船が毎夜航海にでる

4区ホーチミン博物館の傍にある埠頭には、毎夜航海に出るディナークルーズ船があります。複数社あるので、旅行者は事前にどの船に乗るのか選ぶこともできます。サイゴン川ディナークルーズは、「水上人形劇」と並んでホーチミンの定番ナイトツアーの一つ。かつてはトンドゥックタン通り沿いに船着き場がありましたが、ブンタウ行きの高速船が炎上事故を起こして以来こちらに場所が移されました。

IMG_7776.jpg夜景はうっとりするほど美しい

クルーズ船から眺められるホーチミンの夜景。高層ビルやホテル、ショッピングセンターなどは揃ってライトアップされます。毎夜見ることができるので、旅行者必見です。雄大なサイゴン川を周遊するクルーズ船内で豪華な食事をとりながら、伝統舞踊や民謡などを鑑賞。甲板に出て南国夜風に吹かれながら夜景を愛でる。そんな絵に描いたようなベトナムの旅ライフをおくることができます。

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ホーチミン旅行に欠かせないサイゴン川

サイゴンからホーチミンへの発展を支え続けたサイゴン川。そのサイゴン川はホーチミンのシンボルでもあります。旅行に訪れた際は、是非サイゴン川に思いを馳せて、ベトナムらしい穏やかな昼下がりをおくってください。

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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