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下町中華街をのほほんと散歩

横浜の中華街を知っている方が、チョロンに来たらその下町風情にびっくりすることでしょう。煌びやかな看板もなければ、竜の文様の柱でできた高級レストランもありません。地元民だけが訪れるようなお寺が小ぢんまりとあり、屋台や食堂が活気立ち、民家のほとんどは何かしらの問屋を開いて中国商人魂を見せつけています。そんなローカル度120%のベトナム中華街を今回は気ままに歩いてみました。

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5区と6区に跨る中華世界

DSCN6549.jpgタクシーで20分ほどで入る

ホーチミンの1区からタクシーに乗ると、約20分ほどでチョロンへ到着します。5区と6区にかけて広がるベトナム最大の中華街で、日本のように、このエリアが中華街ですよ、というような明確な範囲はありません。徐々に漢字の看板が目立ってきたら、中華街に入ったのだと理解してください。

チョロンの中心を散歩

IMG_4028.jpg人々の生活がのぞける

チョロンのメインストリートは三本。「アンドゥンブオン(An Duong Vuong)通り」、「グエンチャイ(Nguyen Trai)通り」、
そして「チャンフンダオ(Tran Hung Dao)通り」です。いずれも東西に並行して走っている大通りで、民家や店が続き人々の日常の生活の一コマをのぞくことができます。

また、グエンチャイ通りとチャンフンダオ通りの合間の道も探索しがいがあります。小さな問屋がひしめきあっていて、午前中は特に多くの業者が行き交っています。カオスの中にも規則性があり、布を売るエリア、ポリ袋を売るエリアといった具合に区別されているのがまた面白いです。

文房具通り

DSCN6794.jpgさまざまな文房具が売っているが、品質はいかがか

写真上のこちらはフンフン(Phung Hung)通り。別名文房具通り。小さな通り沿いには、文房具店が軒を連ねています。ペン類、紙類が特に豊富。ボールペンは一本10円程度から買うことができますし、業者のようにまとめて大量に買えば、もっと安くなります。

ただし、品質はあまり期待できません。ベトナム製、もしくは中国製となるので、ペンはなぜかすぐに分解してしまいますし、インクがとびちったり、紙は質がよくありません。日本に住んでいると、「文房具に品質なんてあるのか?」と考えがちですが、実は奥がとても深いんです!

グルメも中華で!

DSCN6804.jpg屋台の食べ歩き散歩もいい

通り沿いには屋台もたくさんあります。特に学校付近には学生を狙った屋台が多々見ることができます。ただし、料理は特に中華要素はないようすです。

CIMG2393.jpg路地先に住宅街が広がっていた

あてもなく町を歩いていると、路地先に不思議な雰囲気の住宅街を見つけました。どこのお店も食堂を営んでいるようですが、暖簾には「スイカオ(Sui cao)」の文字があります。

このスイカオというのは、実は水餃子。水餃子はベトナム人にとっても中国人にとっても食堂や屋台で食べるお気軽飯の一つです。また、日本でいう「シューマイ」。これは中国由来の言葉なので、ベトナム語でも「Xiu mai=シウマイ」と発音はほぼ同じです。

CIMG2397.jpgこの店の人気メニューらしい

こちらは揚げ餃子。揚げワンタンとも言いますね。この通りはどうやら餃子系食堂のお店が並んでいるエリアのようです。メニューを見てみると、一応麺類やほかの料理もあるようですが、お客はみんな餃子系を頼んでいます。ちなみに、写真の一皿で値段は3万ドン程度でした。約150円と安心の現地価格なのがうれしいですね。

また、チョロン内の食堂やレストランのメニューは、ベトナム語と中国語表記がされているのが一般的です。日本人なら漢字から大体の意味のニュアンスは読み取れることでしょう......たぶん。

バイクの部品通り

IMG_3985.jpgバイク好きには堪らないエリアかも

こちらはバイクの部品を扱う店が並ぶ部品通り。このエリア百数十のお店すべてがバイクの部品を扱っています。新品から中古までを取り揃えているので、修理や改造もお手のもの。もちろん依頼すればお店がやってくれます。

バイク社会のベトナムでは、日々のバイクのメンテナンスが必要不可欠。バイクは貴重な財産。10年15年と乗り続ける人がほとんどです。修理やメンテナンスは町工場に頼むのが普通ですが、悪質な業者に頼んでしまうと、良い部品をとられたり、悪い部品に付け替えられたりすることもあります。なので、自分で部品調達ができるこの通りは現地人にとってはとても貴重というわけです。

CIMG2838.jpg日本の参拝の仕方とは少々異なる様子

中華の町並みに溶け込むようにして建つお寺の多くは福建省由来。仏教と道教が混じり合ったお寺で、参拝したり、集会所としての役割があります。写真のこちらはツアーにもよく盛り込まれている天后寺。チョロン観光を代表するお寺ですが、こちらも現地人しか行かないお寺です。

彼らの参拝の様子は日本人と少し変わります。先端に火をつけた長い線香を両手の指先で持って。写真のように掲げて数度お辞儀をします。また、跪いて土下座のような恰好で参拝する方法もあります。いくつかのお寺を見学すれば、一度はその様子をみることができるかと思いますので、しっかりと目に焼き付けておいてください。その国の風習というのは、その国でしか見ることはできません。

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華人の暮らしを垣間見る

DSCN6728.jpg路上散髪はベトナムの基本

道を歩いていると路上で散髪をしている光景が。東南アジアではときどき見かける一コマですね。日本でいう1000円カットのような手早く散髪してくれるのが特徴。値段は100円程度。別途髭剃りも依頼できます。ただし、こちらを利用するのはご想像通りご年配の方くらい。最近はベトナムでもファッションに敏感になってきているので、若者はみんな美容院に行きます。ただ、美容院でも値段は200円~400円程度と日本と比べると圧倒的に安いです。

布通りはチャンフンダオ通り

IMG_4031.jpg日本の縫製工場を営む人も訪れる

目抜き通りの一つであるチャンフンダオ通りは、チョロンエリアでは布通りとして認知されています。通りを歩いていると、御覧のように店頭には布のロールがたくさん並んでいます。さらに店によってはミシンをかたかた動かしている光景も。これもベトナムのいたるところで見ることができます。服がほつれたり、バッグやポーチが破けたり、チャックの破損などにも対応してくれます。依頼すれば洋服のオーダーメイドも請け負ってくれる店がほとんどです。

下町中華街で新しい発見を楽しんで

数十万の華僑が暮らしている中華街のチョロンは、1区など中心市街地とは打って変わった雰囲気。散歩するだけでも次々と目にとまるような光景に出会うことができます。

チョロンはそんな魅惑的な町。ホーチミン旅行では、半日でもいいので、チョロンの町を歩いてみてください。

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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