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これがベトナム!?高級マンションが建ち並ぶホーチミン

ベトナムと聞くと、どうしても「ベトナム戦争」をイメージしがちですね。旅行ではメコン川の川下りやメコンデルタ地方に広がる田園風景、少数民族との交流といった自然を傍に置いた素朴な滞在時間をおくるイメージがあります。しかし、ここ10年から20年で、ベトナムは大分様変わりしました。南部ホーチミンを中心に高層ビルが建ち並び、現在では東南アジアの中でも屈指の都市へと成長しました。

そこで、今回はベトナムの発展をホーチミンを中心にご紹介して行きたいと思います。

ベトナム戦争はもう過去のこと?

IMG_1023.jpg戦争証跡博物館にて

ベトナム戦争は1960年から1975年と約15年に及ぶ長き戦争でした。当時は北ベトナムと南ベトナムで異なる政権が築かれており、いわゆる南北統一をかけた戦争というのが世界の見方。しかし、そこからソ連やフランス、アメリカに韓国などが関与したため、アメリカとソ連の代理戦争ともいわれました。結局ベトナム戦争は大勢の殉死者を出して幕を閉じ、1976年に北部が南部を吸収する形で南北統一を果たしました。

IMG_8161.jpg戦争証跡博物館でベトナム戦争を学ぶ課外授業の様子

ほんの20年ほど前であれば、「まだベトナムは戦争が終わったばかりだから発展していないのは仕方ない」といわれていましたが、それから日本、韓国、アメリカ、フランス、ロシアなど相次く外資参入が目立ち、ベトナムを発展へと導きます。ベトナムの博物館の多くは革命家ホーチミン氏とベトナム戦争関連ですが、実際町を歩いていてベトナム戦争の傷跡を見ることはほぼありません。いまの若い人たちはベトナム戦争の歴史は知るものの、遠い昔の歴史の一端に過ぎなくなってきている節がうかがえます。それもベトナムが発展している証とも受け取ることができるでしょう。

ベトナムの歴史と現在が共存したホーチミン1区

IMG_3992.jpg市民劇場。オペラハウスとも呼ばれている

ホーチミンに来てまず見ておきたいのが、日本にはない景観です。ホーチミンはベトナム戦争が終わるまではフランスの植民地でした。その期間は100年近くにのぼるため、いまでもフランスの文化が定着しています。観光客がまず最初に感じるのが「西洋風の建物」ですね。コロニアル(植民地)建築という、当時フランスを中心に西洋でブームの建築様式が使われていて、宮殿風の大きな円柱に広々としたバルコニー、大きなガラス窓などがその特徴。教会では2つの尖塔が突き出るネオゴシック建築というのが当時の流行りだったそうです。

IMG_0702.jpgホーチミンの中心を走るドンコイ通り

ホーチミンの中心である1区は観光のメッカであり、それと同時にベトナムの歴史と現在が調和した不思議な世界です。先のようなコロニアル建築は町のいたるところに見られ、市民劇場だけではなく教会、ベンタイン市場、中央郵便局などが代表的な名所。しかし、その傍らに建つのが巨大な高層ビル、ショッピングセンター、高級ホテルなどなど。ホーチミンの1区は旅行者にとっては観光の中心でありますが、現地人にとってはベトナムで最大の商業都市であり、ビジネスオフィス街です。

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沼地から緑豊かな外国人街へ変貌を遂げた7区

CIMG1056.jpgビラがいくつも並ぶ高級住宅街

ホーチミンの1区を南下すると広がるのが7区。一昔前までは沼地と更地だった場所で治安も悪いエリアでした。しかし、ホーチミン市がある区画を一斉浄化作業をはじめたことにより、現在では高級マンションやビラが並ぶ新興住宅街へと変わりました。1区と異なる緑多い町並みと、バイクの喧騒も少なく、公園が広がり、在住外国人や富裕層が湖畔をジョギングする様子が見られる典型的な高級エリア。ベトナム人の憧れの場所となりました。ホーチミン市には多くの韓国人や中国人、マレーシア人、日本人といったアジア人が暮らしていますが、彼らの多くがこの7区のフーミンフンと呼ばれる新興住宅街に暮らしています。24時間セキュリティーでプール&フィットネスジム付きのマンションは500ドルから、平均は800~1500ドル程度。ビラの家賃は2000ドル以上となります。

IMG_9918.jpg美しいライトアップがされるフーミンフン

近年は7区も観光エリアの仲間入りをしました。1区からタクシーで20分ほどと近場にありますし、高級レストランやショッピングセンターなどで憩いの時間を過ごすことができます。「でもベトナムらしくない」という方もいらっしゃるかと思いますが、このようにとある区画を新興住宅エリアにして富裕層に土地やマンションを売り出すのは発展途上国の典型でもあります。ここで暮らす彼らの優雅な暮らしを目の当たりにしたら、「自分もいつか海外移住をしてみたい!」と思うようになるかもしれませんよ。

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現在最も注目されている高級エリア2区

IMG_7427.jpgタオディエン地区のカフェ「ココイス」にて

7区のフーミンフンがホーチミンで最も地価が高いというのは数年前の話。実は、現在はフーミンフンよりもさらに上級の高級エリアがあります。それが2区のタオディエン地区。2区はホーチミンからタクシーで20分ほど東へ向かい、橋を渡った対岸。一昔前まではここも7区同様沼地と更地で、まったく発展していませんでした。人々はフェリーで移動しなければならなかったためです。それが現在では橋ができて交通が便利になり、たちまち発展を遂げました。タオディエン地区は2区の一区画で、サイゴン川が蛇行して流れる支流傍に広がるエリア。在住アジア人がフーミンフンに住んでいるのであれば、在住欧米人はここタオディエン地区に暮らしています。よって町並みも西洋香る雰囲気で、お洒落なブティックショップやカフェ、レストラン、インターナショナルスクールなどがうかがえます。近年は観光エリアとしても注目されていて、ベトナムらしさはありませんが、優雅なプチパリ気分として高級ホテルやスパを楽しむ日本人観光客が見受けられます。

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IMG_3563.jpg高層マンション。アパート、レジデンスなどと呼ばれるのが一般

そして、近年の経済の流れは2区全体となっています。1区から2区、さらにその先の9区に行く幹線道路沿いには高級マンションが建設中。そのわけは、「2020年地下鉄メトロ開通」に向けて。現在は2区の地下鉄沿いはマンションの建設ラッシュで、地価も上昇中。投機目的のベトナム人富裕層や外国人がマンションを買いあさっているため、1平米10万円から15万円以上が普通。外国人は建物の完成までに支払いを完済させなければならないため、必要資金は1500万円前後が相場。今現在世界の投資家が注目している新興エリアとなっています。

IMG_3553.jpgどこにでも見られるベトナム食堂

1区も7区も2区もベトナムを代表する高級エリアに変わりましたが、それでも御覧のようなベトナムならではの風景ももちろん残っています。ここで消化した3つのエリアは確かにベトナムの象徴ではありますが、まだまだ1区画のみ。少し外れると低~中間所得者層が暮らす素朴な生活風景も垣間見ることができます。食堂で毎日皿飯を食べる人、昼休みに屋台に並んでバインミーを食べる人、個人商店で買い物をしながら経営しているおばちゃんおじちゃんと談笑する人。昔からそれほど変わらない風景は高級マンションの傍でも引き続き見ることができ、ベトナムの発展と今のギャップを楽しむことができます。そういう見方ができるのも発展途上国であるベトナムならではの楽しみ方ではないでしょうか。

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著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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