アジアでも親日国家として知られているベトナム。日本語を学ぶベトナム人も年々増加していて、北部では日本語を第二外国語にする学校もあるようです。寿司やてんぷら、たこ焼きといった和食もすっかりとベトナム人の間に浸透し、アニメやコスプレといったサブカルチャーも支持されるようになりました。
今回は、ベトナム人が日本という国に対してどのような思いを抱いているのかをご紹介したいと思います。
親日度は世界トップレベル
大手広告代理店電通が行っている「ジャパンブランド調査(2015年)」では、ベトナムが世界一位の親日国として選出されました。これは2014年に引き続き2年連続の1位という結果。ちなみに、2016年はタイが1位でベトナムが2位。また、アウンコンサルティング株式会社が毎年行っているアジア10か国の日本に対する親日度調査でも、ベトナムは2015年には97%が親日という結果に。
このように、各企業の親日度調査で決まって上位に挙がるベトナム。これまで特にベトナムを意識したことがなかった方も、「好き」と言われれば嬉しいと思うはず。「ベトナムってどんな国なんだろう」、「次の海外旅行はベトナムに行ってみようかな」と思っていただけると筆者もベトナム人も嬉しい限りです。
ベトナム人の若者にとって、日本はどう映る?
ベトナム人が考える日本は、「成熟した先進国」、「進歩したロボット工学」、「美しい伝統文化と自然」、「高品質な医薬品&化粧品」などが挙げられました。近年はスマートホンやパソコンが都心では一人一台の時代が訪れたベトナム。日本にまつわるさまざまな情報も簡単に収集できて、フェイスブックなどSNSで拡散されたり、日本文化を紹介するユーチューブが話題となったりしている様子です。
成熟した先進国
日本の都会とほかのアジアの都会の違いとはなんだと思いますか?一般的に、発展途上と呼ばれている国々であっても、首都や経済都市は驚くほど都会です。韓国のソウル、中国の北京、インドネシアのジャカルタ、マレーシアのクアラルンプール、ベトナムのホーチミン(首都はハノイ)には高層タワーや高級マンションがたくさんあります。
しかし、これら発展の象徴は都心のみ、というのが発展途上国。日本のすごいところは、その大都会が何十キロと渡って続くところだと思います。ホーチミンはベトナム最大の商業ではありますが、10キロも離れればスーパーよりも露店や市場が活気だつローカルエリアに入ります。かつてアメリカ全土の土地を買えたと言われる日本の東京を中心に、どこまでも広がる大都会日本。日本に住んでいるとなかなか気づきませんが、ベトナム人はそれがどれほどすごいことかを知っているようです。
進歩したロボット工学
実はベトナムはロボット工学に非常に関心があり、2016年にはソフトバンクテレコムがベトナムに人型ロボットの販売に着手しました。また、世界最大規模の学生ロボットコンテスト「WRO2016」では、ベトナムが初の3位入賞を果たしました。また、「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」では2014年、2015年と2年連続の優勝を納め、経済では大手通信会社FPTが2016年よりアメリカのロボット市場に参入をしました。
ベトナム人の中には「日本のロボット工学は世界一」と考えている人も多いようです。ロボット先進国としてアメリカとともに長く君臨してきた日本ですが、近年は中国やドイツも追い上げてきた様子。これからも負けないで頑張ってほしいものですね。
美しい伝統文化と自然
日本の着物は、よくベトナムのアオザイと比較されます。ベトナム人女性曰く、「アオザイはチープさがある。着物はとても美しくてゴージャス」とのこと。さらに、日本好きのベトナム人は、日本人女性は夏祭りに着る浴衣の存在にも関心があり、ベトナム人へのお土産としても人気があります。また、日本の歴史が好きというベトナム人の中には、自宅に兜や鎧を飾っている男性もいます。酒を飲みながら関ケ原の合戦について語るそうです。
さらに、ベトナム人が挙げたのが「自然」。先ほど日本の都会をご紹介しましたが、実はベトナム人が興味があるのは、東京よりも北海道。北海道の大自然とカラフルな花畑などがベトナム人の心を掴んだようで、ベトナム現地の旅行会社を見てみると、北海道旅行ツアーが幅広く取り扱っていました。筆者の知り合いのベトナム人も、「あなたの住んでいるところは北海道から遠いの?」と聞いてくる始末。
高品質な医薬品&化粧品
近年はベトナム人女性もだいぶファッショナブルになってきて、化粧品にお金を使うようになりました。日本や韓国の化粧品を売るショップでは、つけまつげやビューラーなどが人気。また、日本ブランドの化粧品も近年ベトナム市場で飛躍しています。具体的には「資生堂」、「コーセー」、「メナード」、「富士フィルム」、「SKⅡ」など。いずれも高級化粧品の位置づけですが、ベトナム人女性は給料をはたいて購入していくようです。
また、日本の「薬」や「医療」の分野もベトナム人に高い評価があります。例えば、単純な風邪薬であっても、ベトナムで買うと5種類くらいの薬を飲まなければなりません。日本のように3錠だけ、一包だけというわけにはいかないのです。そして医療。ベトナムはアジアの中でもまだまだ医療技術が低く、技術を要する困難な手術はタイやシンガポールで受けなければなりません。
ちなみに、日本人も小学生のときに学習したと思われる結合双生児のベトちゃんドクちゃん。分離手術を担当したのは、日本人医師であることを知っていましたか?前例のない手術だったため、世界中が注目しました。
道路が綺麗
また、なかなか興味深い回答の中に「日本は道路が綺麗」という人もいました。車やバイク、たくさんの人が1日中絶えない都心の町中であっても、道路は清潔。ベトナムは突貫工事が原因なのか、道路はデコボコしていて、えぐられた穴も目立ちます。雨季の時期は道路が冠水するので、その穴が見えなくて大きな事故につながることもしばしばあります。どんな田舎の町にいっても美しく舗装された道路が続くのは、ベトナム人にとってはかなり不思議に思える様です。
ちなみに、日本の道路技術は世界でもトップクラス。中でも高速道路技術は世界一と言われていて、日本が自慢できる分野の一つでもあります。ホーチミンの一区中心は昔韓国企業が作ったらしく、交通量が多くなった昨今、修正不能の交通渋滞が懸念されています。
日本はバイク社会?
バイク天国で知られるベトナム。ベトナムのバイク市場を席巻しているのはHONDA、YAMAHA、SYM(台湾)、Piaggio(イタリア)の5社。この5社だけでバイク市場の97&を握っていて、その内日系のHONDAとYAMAHAで約85%という驚きのシェアを持っています。
ですので、上記に挙げた項目よりは少数派ですが、日本もベトナムと同様バイク社会と思っているベトナム人も少なくありません。そう思っているのは比較的年齢層が高い中高年の方が多く、中高年世代は「日本=HONDA」、若者世代は「日本=TOYOTA」といった印象です。
電化製品は韓国有利?
最後は電化製品。日本を代表するソニーやパナソニックなどはベトナムでも人気があります。ただし、日本よりも古くからベトナムに根付いている韓国系企業の方がベトナム市場では優位。しかし、ベトナム人に聞いたところ、「信頼できる、品質が高いのは韓国より日本。でも日本製は高いから韓国製を買う」との意見が圧倒的でした。
ここ10年ほどで日本の電化製品の権威は失われつつありますが、それでもジャパンクオリティはまだ健在。ベトナム人も漏れなく信用してくれていますので、今後も日本のメーカー勢の復活に期待したいところです。
日本から見たベトナムは?
今回はベトナム人から見た日本という国のイメージを紹介しました。一方、日本に暮らすみなさんは、ベトナムに対してどのようなイメージを抱いていますか?正直言うと、「フォー、生春巻き、ベトナム戦争」くらいしか思いつかないのでは?これを機会に、ベトナムという国、そこに暮らす人々を知ってみてはいかがでしょうか。そして、次の海外旅行はベトナムを選んでみてください。きっとベトナムを好きになるかと思います。
[local, 435, 436, 437]