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ホイアン伝統の木彫りと陶磁器の村を見学

世界遺産のホイアン観光では、メインとなるのはチャンフー通りやバクダン通りといった歴史保護地区内の散策。しかし、観光客の中には「寺院や集会所の見学は飽きた」、「もう少し変わった観光をしたい」といった人も多いかと。そんな旅行者は、今回紹介する名所を訪ねてみてはいかがでしょうか。

今回紹介するのは木彫りの村である「キムボン村」と、陶磁器の村である「タンハー村」です。

バクダン通りからボートに乗る

DSCN1731.jpgこのようなボートがたくさん並んでいる

今回訊ねる2つの村は、ともに離れの対岸にあるため高速ボートを使って行くことになります。ボートはバクダン通り沿いにご覧のように停泊しています。通りを歩いていれば必ず声をかけられるので、ボートや主の人柄などで決めるといいでしょう。料金は交渉制で相場は35万~45万ドン程度。ツアーでも行くことができます。

DSCN1748.jpg振り返るとバクダン通りの美しい町が見える

船はトゥボン川を渡って対岸まで行きます。所要時間は15分程度。のどかで美しいバクダン通りを離れる際は、必ず振り返ってご覧のような景色を目に焼き付けておいてください。トゥボン川は17世紀の交易時代は数多くの交易船が往来しました。現在でもまだ未発見の沈没船が眠っているのでは、とも囁かれています。また以前は日本の徳川家康公が派遣した朱印船の沈没船を引き揚げたこともあります。

DSCN1772.jpgたくさんのバイクをのせる船。ベトナムらしい移動手段だ

ちなみに、トゥボン川にはこのようなバイクと人をのせて往来する船をよく見かけます。こちらはバスのようなもので、対岸まで行く現地人の交通手段となっています。今回向かう2つの村もこの船で行くことができますし、実際バックパッカーや勇気ある旅行者が乗っている姿も見かけます。ただし、実際はあまりおすすめできません。

確かに料金は格安なのですが、時刻表のようなものがないので、次にいつ来るかが分かりません。例えば木彫り村の観光を終えて陶磁器村へ行くときも、どのくら川岸で待っていなければいけないのかすら分かりません。また、高速ボートはすべて貸し切りなので移動中も楽しめるほか、ボートの主が村中を案内してくれるのも魅力です。

木彫りの村「キムボン村」を観光

DSCN1793.jpgのどかな時間を感じる

まず最初にやってきたのは木彫りの村「キムボン村」です。やってきた時間はお昼過ぎ、通りにはあまり人の気配はなくひっそりとしていました。ボートの主に訊いたところ、学校の下校時刻が終わったばかりだから、みんな家に帰ってご飯を食べたり昼寝したりしているそうです。

村唯一の市場にも案内してくれましたが、すでに市場内の店の営業は終えていて、おばちゃんたちが数名縁側に座って談笑している様子がありました。

DSCN1810.jpg木彫り細工をお土産に

やってきたのはお土産店。個人で営んでいるお店で、ここに並んでいる木彫りの商品はすべて家主の手作りだとのこと。その技量はベトナム政府のお墨付きのようで、賞状やトロフィーのようなものがいくつか飾られていました。ベトナム土産がまだの旅行者は、ここで物色するのもいいでしょう。ちなみに並んでいる木彫り細工は、他のお店でも見かける定番どころから、当店オリジナルのアイテムまで種類は充実。いくつかのしかけを解いて開ける秘密箱もありました。こちらは他店では早々見かけない品物なので、要チェックです。

DSCN1988.jpg家の裏手では家主が手作業で細工を作っている

こちらは作業現場。どこの家も工場などは持ち合わせていなく、家の裏など日陰の場所で地べたに座って作業をしています。これがベトナム流のようですが、品質はすべて折り紙付き。何代にもわたって培われた技術をしばし見学することができます。

DSCN2008.jpgお皿はひびの有無を確認して購入を

現在ベトナムで流行っている木彫り細工は、貝殻アートだとのこと。まずはデザインを鉛筆で下書きして、彫刻刀でお皿をデザインになぞって掘ります。そして、象った貝殻をお皿にはめ込んでいけば完成。ただし、これは難易度が非常に高いもの。数ミリでも誤差がでると隙間が空いてしまい見た目が美しくありません。カーボン紙を使って下書きと堀りを慎重に作業する様はまさに職人芸。

DSCN2024.jpg冠水というレベルではない......

写真上は、家主が壁に指さしていますが、これは「数年前には洪水でここまで浸水した」とのことでした。ホイアンは毎年9月から11月にかけて台風のシーズンがやってきます。歴史保護地区内も道路は冠水して、ボートで行き来することになるほど。建物の老朽に拍車をかけることにもなり、近年は政府が対策に乗り出していますが、改築以外これといった解決策は見いだせていない様子。少し前の地元新聞では、「将来は世界遺産ホイアンの町が消える」との記事もありました。

木彫り村から陶磁器村へ

DSCN1740.jpgボート主はとても優しい人だった。毎日外国人をのせて案内しているとのこと

木彫り村の見学を終えたら、次は陶磁器村へと向かいます。ここでバクダン通りに引き返すこともできますが、料金はそう変わりなかったので、ついでに陶磁器村もお願いしました。ツアーでは必ず両方の村を訪れます。また、全体のツアー時間は3時間程度なので、午前中にツアーを楽しんで、午後は再びホイアン散策に時間を費やすことができます。

陶磁器の村「タンハー村」を観光

DSCN1986.jpgタンハー村の様子。子供たちが駆け回る

タンハー村はキムボン村同様観光客が多いので、村の入口付近にはお土産店が並んでいます。また、ここの村人の8割以上は何かしら陶磁器関係の商売をしているとのことです。村の家々はすべて玄関が開け放たれていて、誰もが自由に出入りすることができる様子。村人全員が家族。きっと泥棒なんていないのでしょうね。

DSCN1995.jpgとある家へお邪魔した

ご覧のように子供も親の仕事の手伝いをしています。陶磁器はろくろで形を作って乾燥させたのち、釉薬を塗っている様子。これからか素焼きに入ります。一度素焼きをすることによって、本焼き後の縮小率を最低限にすることができるとのこと。このような作業の様子は家のいたるところで見ることができます。今回はボートの主が知り合いの家に案内してくれましたが、個人で来るのであれば、家にお邪魔する前に許可をとった方がいいかもしれません。

DSCN1943.jpgろくろ体験ができる

こちらでは誰でもろくろ体験をすることができます。初めての人は形を形成するのがうまくいきませんが、それも思い出作りとして是非体験していってください。また、体験するのは無料ですが、体験後はその家で売っている商品(陶磁器)を一つ以上買ってあげるのがマナーのようです。小さな飾りやお椀、湯飲みなどでもいいので、一つ買っていってください。

DSCN1981.jpg歴史を感じる炉。いったい何年使われているのだろうか

大きな炉。ほとんどの家には大小違えど炉があります。

DSCN2046 (2).jpgお土産も買っていこう

こちらはお土産品。どれも完成度の高い出来栄えです。お椀、平皿、湯飲み、急須など種類がありすべて実用的。帰国後も食卓に並べることによってベトナムを感じることができます。

タンハー村を見学したあとは、再び高速ボートにてバクダン通りに戻ります。今回お願いしたボートの主は非常にほがらかで、ずっとエスコートをしてくれました。そこらへんはボートの主によっても異なると思いますが、ホイアンで商売する人は皆外国人を相手にしているので、悪質な船主は早々いないと思ってください。もし不安があれば、ツアーデスクを通して行くといいでしょう。ガイド付きで安全な観光をすることができます。

[local, 25, 246]

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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