13代まで続いた阮王朝。日本でいえば徳川幕府に相当する時代と思われます。今回紹介するのは、4代目トゥドゥック帝時代に創られた建築物。他の名所と同様、陵もありますが、特筆すべきは、その静かかつ穏やかな風景。
この場所はなんのために作られ、当時トゥドゥック帝はここで何をしていたのでしょうか。
ツアー参加がおすすめ
トゥドゥック帝廟があるのは、新市街地南方。こちらも雑木林を潜り抜けた先にあるので、バイクやタクシーで行くのはちょっと困難です。現地の旅行会社では半日ツアーを催行して、ミンマン帝廟、カイディン帝陵、トゥドゥック帝廟を回ることができます。いずれも世界遺産の建築物となるので、ツアーに参加して巡るのが効率的です。なお、トゥドゥック帝廟の観光時間の目安は30分~45分程度。
[local, 238]別荘地として作られた廟
敷地内に入ると野鳥のさえずりが聞こえ、穏やかな時間が漂っているのを感じることができます。阮朝王宮のような仰々しさはなければ、カイディン帝陵のような華々しさも感じられませんが、いたって静かで、心癒される雰囲気が流れています。
ここは皇帝が権力を誇示するために作られたものではなく、保養地。つまり別荘として建てられたと言われています。
阮朝最も長く続いた4代目
トゥドゥック帝の在位期間は1847年~1883年と約35年間続きました。この期間は13代皇帝の中で最も長い長期政権でした。
その在位中に作られたこちらは、皇帝の別荘地としての役割があり、しばしば阮朝王宮からここにやってきて、池で釣りをしたり、ボートにのって物思いに耽り静かな時間を過ごしていたとされています。
美しい庭園
中央に広がる庭園。当時はここでボートに乗って釣りに興じていたとされています。トゥドゥック帝時代政治の転換期でもありました。けっして平和なものではありませんでした。だからこそ、皇帝もときにはリフレッシュが必要だったのかもしれませんね。
和護殿
和護殿と呼ばれる本殿。幅広い古き中国風の佇まいは格式を感じさせます。これといった目立つ装飾などはなくシンプルそのものですが、歴史を感じさせる重みがあります。
阮朝王宮でも同じものがあります。こちらは皇帝が座っていたとされる椅子です。本物かレプリカかはわかりませんが、有料でこちらに座ることができます。また、そのときは皇帝の衣装も着ることができますので、興味がある方は体験してみてはいかがでしょうか。
時代の転換期
在位期間35年という歴代最長のトゥドゥック帝時代ですが、政治面では重要な転換期となります。いままで中国重視の対外外交をおくっていた阮朝ですが、トゥドゥック帝はさらにキリスト教の弾圧に動いたため、フランスを怒らせる格好となりました。
そこでトゥドゥック帝は宗主国である中国(当時:清)に救助を求めます。それがのちに清仏戦争と発展します。その後、フランスが多大な損失を被りながらも清国を撃退。事実上阮朝はフランスの保護下となることになります。
写真上の楼門をくぐると、その先にはトゥドゥック帝の墳墓があります。
墳墓
こちらが墳墓。ただし、遺体はここには眠っておらず、また所在も分かっておりません。遺体の所在が分かっているのは歴代阮朝皇帝の中でもカイディン帝のみで、遺体は陵の中に眠っているそうです。
事前に歴史背景を学習するのがおすすめ
阮朝の建築物をより楽しむコツでもあるのですが、「その王朝時代の歴史背景を事前に知っておく」ことが挙げられます。ガイドブックに紹介されているだけでは少し物足りないので、ネットでその皇帝の時代背景を少し読んでおくといいでしょう。
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