チャウドック市場から徒歩3分程度のところにあるチャンフンダオ通りは、後江が広がる素朴な景色が見どころ。川沿いにはいくつかのボートが停泊していて、船主と交渉すれば、近くのダーフック村に連れていってもらうことができます。今回は、チャム族のいるダーフック村へ行って、彼らの作る民芸品をお土産に買う旅に出かけたいと思います!
船主と交渉
ボートはいくつも並んでいますが、どれも手漕ぎボートなので、単純に料金と船主の人柄で選んでいいかと思います。
料金の目安としては、1人10万ドン程度。1日に4組くらいの旅行客をダーフック村まで案内するそうです。チャウドックはベトナム人にとっては、仏教の聖地。外国人旅行客にとっては、少数民族と会える場所であり、カンボジアとの国境の町となります。
水上で生活する風景をのぞく
ボートで目的地まで行く道中、数多くの水上に建つ家々を見ることができます。それは広範囲に渡り、一つの集落が形成されているかのようです。水上に建つ家々には、実際人が住んでいる家と、仕事場として家を建てているケースがあります。
水上で暮らす人々は、主に漁業を生業としています。ただし、水上で暮らす人々の多くは住所を持たせてもらえないため、身分証明に関して非常に不利益を被ります。外国人旅行客からすると、東南アジアらしい情緒漂う風景ですが、実際はベトナムが直面している社会問題でもあることは、頭の片隅に入れておきましょう。
ちなみに、ダーフック村を越えたさらに先は、カンボジア領となります。このままボートでも行こうと思えば行けるようなのですが、それはまたの機会にとっておきましょう。
チャム族を訪ねて
水草が生い茂る中、木造の簡易的な吊り橋を渡っ先に村はあります。
チャム族はベトナムとカンボジアに暮らしている少数民族で、ベトナムにおいては最大規模の民族です。主に中南部の沿岸とメコンデルタ地方に暮らしていて、前者は17世紀まで栄えたチャンパ王国の子孫ともいわれています。後者はカンボジアから流入した民族なので、イスラム教を主教として、ヒンドゥー教を主教とするチャンパ王国の子孫とは系統が異なると考えられています。
橋を抜けると、彼らの住む居住区が広がっています。すでにここはチャム族の敷地。チャウドックの市街地でも彼らを見ることはできますが、暮らしている場所は、いくつかのスポットに分かれており、それぞれ同族で密集している傾向にあります。
女性はスカーフを巻いて頭を隠しているのはムスリムの掟の一つですね。彼女たちも同様です。
また、特筆すべきは、ここに暮らすチャム族の家はすべて高床式。高床式住居のメリットは主に2つ。
1つ目は多雨に適応できるということ。熱帯地域の東南アジアでは、しばしばスコールという豪雨が降ります。川は氾濫し、排水整備がされていなければ、道は瞬く間に冠水してしまいます。そのため、高床式にして、床上浸水を避けることが東南アジア地域の常套手段となっています。
2つ目は整地の必要がないということです。杭を打ち立てて家屋を建てるので、いうなれば地面があるところであれば、山の傾斜であろうと海であろうと川であろうとどこでも建てることができます。
ムスリムの女性が機織り機で一つ一つ手作業で縫製をする様子は、非常に優美にみえます。エスニックな要素たっぷりで、これがベトナムの良さであると、筆者は考えます。ベトナムは53の民族とベトナム人と呼ばれるキン族で構成されています。日本とはかけ離れた習慣を持っている彼らを見ていると、遠い地へ足を運んだことを実感することができるでしょう。それこそが旅の醍醐味なのではないでしょうか。
彼女たちが作ったお菓子も買ってみましょう。チャム族との交流は非常に貴重な体験。素朴なチャム族の子供たちの笑顔をみるだけでも、ここへ来た甲斐があるというもの。積極的に会話を図ってみましょう。もちろん言葉は通じないかもしれませんが、それでも人懐っこい彼らと過ごす時間を楽しんでください。忘れられない思い出になるはずです。
ここに置いてあるお土産品のうち、ポーチや財布、ぬいぐるみといった布製品は彼女たちの手作りアイテム。ポーチはエスニック土産に最適ですし、キュートなぬいぐるみは自分用に買っていってはいかがでしょうか。
<DATA>
名称:ダーフック村
行き方:チャウドック市場からチャンフンダオ通りへ。道を歩いていると声をかけられます。