昨今ホーチミンの若者の間でちょっとしたブームとなっているのが「古アパート」。時代と発展に取り残された見るからに古いアパートで、一昔前までは入居者もいなく買い手もいないため廃墟のようでした。しかし、ホーチミンの中心にある古アパートでは、現在どの部屋も満室、賃料も数倍に高騰しているようです。
今回紹介するのは、そんな古アパートの一つ。旅行者にはまったく知られていないスポットですが、どこよりもお洒落な洋服を見つけることができるかもしれません。
アクセス
通りの名前は「グエンバンチャン(Nguyen Van Trang)通り」。横に走るレーチーリエン通りとグエンチャイ通りを縦に繋ぐ道幅狭い通りです。一階は御覧のように庶民派食堂が営業していて、日中は椅子に座ってコーヒーを飲みながら友人と談笑しているおじさん連中でにぎわっています。
建物自体に特徴はありませんが、目印となるのは向かいに建つゼンプラザ。グエンチャイ通りのシンボル的デパートであり、アパレル店やレストラン、コンビニなどが入っています。黒と白のダイス目の奇抜な外観なので、グエンチャイ通りを歩いていればすぐに発見することができるはずです。
[local, 431]怪しげな階段を上がる
食堂の隣が入り口で、エレベーターで一気に上に上がることもできますので、まずは最上階まで行って、そこから降りて回るのもいいでしょう。日本でもこのような建物の中に足を踏み入れるのはかなり躊躇してしまいます。ベトナムという異国でこの雰囲気の中建物内を探索するのは、はかなり勇気がいるかもしれません。しかし、ご安心ください。怪しいお店は何一つありません。こちらの古アパートは在住日本人もあまり知られていない穴場ですが、ベトナム人の若者の間では、「お洒落な洋服店がある古アパート」として認知されています。
建物を探索する注意点
古アパート巡りの注意点としては、どこのドアも開けていいわけではありません。普通に居住者がいる部屋もありますし、会社の事務所が入居している場合もあります。皆さんが入ることができるのはカフェやアパレル店といった商店のみ。
商店はすべてガラスドアで中がうかがえるようになっていたり、ドアの前にベトナム語や英語でPR看板がありますので、見間違えることはないかと思います。仮に間違って事務所に入ってしまっても、「ソーリー」と笑って済むのがベトナムのいいところです。
建物7階から見渡せる風景。ホーチミンは東南アジアでも屈指の発展都市に成長しましたが、こうしてみるとまだまだのような気がしますね。高層ビルや高級マンション、近代的なショッピングセンターなどが建つのはホーチミン中心の中でもさらに中心のみ。この古アパートがあるエリアも1区の中心ではありますが、角度を変えてみると、御覧のような古い建物が軒を連ねる風景が広がっています。
アパレルショップを発見
アパレルショップがあるのは2階と3階。フロア内には学生風のベトナム人女子たちを何組も見かけます。ベトナム人の若者を見てみると、年々洋服がお洒落になっていく様子を感じることができます。数年前まではベトナム人のお洒落といえばジーンズくらいのもので、夜になるとディスコに行くようなラインや胸元を強調したパツパツの服を着る女性をよく見かけました。最近は志向も変わってきている様子で、韓国系だけではなく日本のファッションも好まれ始めているのを感じることができます。
アパレル店はガラス越しに店内の様子をうかがうことができます。店内は20平米ほどの狭い一部屋。洋服はベトナム産は少なく、韓国とタイがほとんどで、若干日本の秋物風の洋服もありました。洋服以外にもボトムスやバッグ、ベルト、アクセサリーといった服飾雑貨も扱っている店が多いので、市場や外国人向けの雑貨店では扱っていないお洒落雑貨を見つけることができるかもしれません。
最近徐々に流行っているのがワイドパンツ。日本でも流行っていますね。これは日本の影響を受けたものと思われます。ベトナム人は女性もみんなバイクを運転するので、ミニスカートはほとんど履きません。また、女性は皆さん日焼けを怖がっているので、足まで隠れ、なおかつフットワークの軽いジーンズが一番の人気。ロングスカートはいささか地味にうつるようです。そこで、ジーンズよりも女性らしく、またファッショナブルなロングパンツが現在好まれています。
古アパートは在住日本人向けに発刊しているフリーペーパーや雑誌にも度々紹介されているほど注目されています。どの古アパートもお店が入っているわけではありませんので、事前に情報収集したのち、足を運んでみてください。
<DATA>
名称:ゼンプラザ前の古アパート
住所:35 Nguyen Van Trang
営業時間:店によって異なる
[local, 276]