ベトナム最新情報ブログ(現地在住ライターによるベトナムの記事)

ホーチミンの流行りは焙煎コーヒー。お洒落から淹れ方へ

ベトナム旅行で嗜みたい『ベトナムコーヒー』。お土産店や市場では必ずコーヒー豆を扱っていますね。おそらく多くの旅行者は知らないかもしれませんが、実はベトナムは世界でも屈指のコーヒー豆の生産大国です。コーヒーといえばブラジルやコロンビアなど南米が主な生産国であることは間違いありませんが、ベトナムはそれらの国を抑えて世界2位(1位はブラジル)の生産高を誇ります。

ベトナムの歴史と共にベトナム人の傍らに生きてきたコーヒー。最近はどのような発展を遂げているのでしょうか。若者をはじめてとして、彼らの嗜好も変わってきている様子が見受けられます。

フランスがもたらしたベトナムコーヒー

DSCN7805_R.jpg専用フィルターはお土産としても人気が高い

ベトナムのコーヒーの歴史は18世紀頃から始まりました。欧米各国の宣教師がキリスト教の普及のためアジア諸国を回っていたときです。また、ベトナムは19世紀後半からフランスの植民地、いわゆるフランス領インドシナの時代を迎えます。コーヒー文化が発展をはじめたのはそれ以降。現在でもベトナムの主要特産地である中南部高原のラムドン省、そして中南部のバンメトートでフランス人主導によるコーヒー豆の本格的な生産を開始しました。

当初はフランス軍をはじめ、中流階級以上の富裕層の嗜みとして、南部ホーチミン(旧サイゴン)でコーヒー文化がはじまりましたが、それが庶民に浸透するのはさほど時間を要しませんでした。1960年代にはすでに現在でいう『路上カフェ』が庶民の間で人気となり、中国由来の将棋に興じながらコーヒーを飲むスタイルが男性の日常の一部となりました。ただし、これはフランスの文化が色濃く浸透した南部に限ってのことで、現在首都に置くハノイを含めた北部エリアでは路上カフェはまだ浸透していませんでした。

カフェの発展

IMG_0559.jpgカフェは現在でもホーチミンに多い

ベトナムではどんなに田舎にいってもコーヒーカフェがあります。路上屋台からオープン席の屋外カフェまで数百メートルおきにあり、どこも地元の現地人で賑わっています。

IMG_0707.jpg写真上の小規模カフェはすべて個人経営

ご覧のような小さなカフェはいまだに多く見ることができます。都心に行くと冷房が効いたお洒落カフェも多く見かけますが、少し町外れに行くと、まだまだ自営業の小規模店が主流です。コーヒーは一杯1万~1万5000ドン程度と安く、また無料のWiFiも利用できるので、多くの客は長時間入り浸ります。お店の人たちと話しながら和気藹々としている様子はとてもベトナムらしく思えることでしょう。

もし旅行中にこのようなお店を見つけたら、一度試しに入ってみてください。お客で来る外国人は珍しいので、きっといろいろと質問されます。それも一期一会、旅の醍醐味です。

IMG_5479.jpgコーヒー専門店も根強い

しかし、徐々に若者に流行りのお洒落なカフェが頭角をあらわしてきます。お洒落なカフェは路上カフェと比べると5倍ほど値段が上がりますが、お洒落でデート向きであったり、立地が良かったり空調が完備されているので、若者や中間所得者層以上のベトナム人に人気を博します。また、『ハイランズコーヒー』や『フックロン』、『アーバンステーション』といった大手カフェチェーン店も市内を中心に数多く展開するようになり、低価格路線のカフェも多く見かけるようになりました。

[local, 572]
IMG_5867.jpgナチュラルテイストなカフェ。緑を感じる

お洒落カフェが一世風靡したあとに流行り始めたのが、いわゆるコンセプトカフェです。単なるお洒落では物足りなくなった若者向けのカフェは、ご覧のような自然派カフェであったり、犬や猫が放し飼いされているペットカフェ、古き時代を感じさせてくれるカフェなど、独自のコンセプトを持った店が増えてきました。このトレンドは現在(2016年)も続いています。

内装よりも淹れ方にこだわりを

IMG_6147.jpgバリスタという名を最近はよく聞くようになった

そして、2016年最新の流行りがこちら。内装・雰囲気を楽しむコンセプトカフェが流行る一方、コーヒーの味にこだわりを見出す店も増えてきました。ハノイではあまり見かけませんが、ホーチミンの1区の中心、それも観光エリアであるドンコイ通り周辺によく見かけます。コーヒーを淹れる専門のバリスタが、お客のために一杯一杯丁寧にコーヒーを淹れてくれます。

また、多くのお店ではコーヒー豆はベトナム全国はもちろん世界各国から輸入しています。しかも、生豆から作るので、カフェの店内はコーヒー豆を煎る芳醇な香りが立ち込めて、日本でもかつて流行った高級焙煎コーヒー店さながらの雰囲気です。もちろんコーヒーの淹れ方はお客が選ぶことができます。

IMG_8547.jpg人気カフェ『シンコーヒー』のバリスタ

抽出方法はさまざま。ベトナム式の特製フィルターからオーソドックスのドリップ式、日本で人気のあるサイフォンやフレンチプレスなどから選んでください。値段は一杯9万~12万ドンと路上カフェと比べると10倍前後の値段がしますが、それでも人気店は1日中客足が途絶えることはありません。どのお店もカウンターでバリスタが作っているので、その様子もしっかりと見ることができます。英語ができれば、こだわりや作り方も説明してくれます。

ベトナム旅行では、今回紹介した路上カフェからコンセプトカフェ、そして高級焙煎コーヒー店まで足を運んでみて、どのお店が自分の中で一番合っているのか、そしてベトナムらしいのかを確認してみてください。普段コーヒーを飲まない人も、これを機会にコーヒー好きになるかもしれません。

おすすめの焙煎コーヒー店

ホーチミンの観光エリアで人気のお店は2つ。『シンコーヒー』と『ワークショップ』。客層はベトナム人から外国人までさまざまで、店内に入った瞬間にコーヒーの香りが鼻腔をくすぐります。シンコーヒーでは生豆を煎る特製機器が門前にあり、焦げたコーヒー豆になる様子を見学することができます。ワークショップは店内が広いので、カウンター、テーブル席といずれも落ち着いてカフェらしい雰囲気を楽しむことができます。

<シンコーヒー(Shin Coffee)>

住所:18 Ho Huan Nghiep St. Dist.1.
   13 Nguyen Thiep St. Dist.1.


営業時間:7:30~22:30

<ワークショップ(The Workshop)>

住所:27 Ngo Duc Ke St. Dist.1.
営業時間:8:00~21:00

[local, 450]

著者プロフィール

著者写真

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

カテゴリー別記事一覧

  • ベトナム さくっと 早わかり!
  • カンボジア さくっと 早わかり!