ホーチミンでレストラン探しをしている旅行者は、どこのエリアで見つけようとしているのでしょうか。1区中心で歩いて探せるエリアは、ドンコイエリアやベンタイン市場エリアとなり、その他タクシーで行くことになります。今回紹介するレストランは、ドンコイエリアにある「ゴックチャウガーデン(Ngoc Chau Garden)」。最近人気のコンセプトレストランと呼ばれるところですが、どのようなレストランなのでしょうか。
今と昔が混在する通り
ゴックチャウガーデンがあるホートゥンマウ通り(Ho Tung mau)は、ドンコイ通りと平行するグエンフエ通りから一本奥まった場所に抜けた通り。周辺には超近代的なビテクスコフィナンシャルタワーがそびえたっています。しかしその一方で、昔ながらに続く個人商店が並んでいる通りでもあり、古びた大衆食堂や中古カメラ屋、バイクの修理屋などベトナムらしさも垣間見ることができます。
ベトナム料理レストラン「ゴックチャウガーデン」
ゴックチャウガーデンは最近ホーチミンで流行りのコンセプトレストラン。コンセプトレストランは内装に重きを置き、市内には「フランス統治時代の内装」、「北部山岳民族の家」などといった一風変わった内装の店があります。そして、この店のコンセプトは「南ベトナムの家庭」を再現。
レストランは2階建てで、レンガと泥土を固めた外壁をイメージ。テーブルは木造のシンプルなデザインで、椅子はカラフルなのも時代錯誤の雰囲気が漂っています。南ベトナムは20世紀半ばからベトナム戦争が終結するまで続いたベトナムの大陸の北緯17度線より何方のエリア。当時は分断国家といわれていて、北部ベトナム、南部ベトナム双方がそれぞれ自分たちの国が唯一の国家と主張していました。
そんな時代背景があるベトナムですが、南ベトナムは当時からメコンデルタの大自然の恵みを享受していました。資源は豊富にあるため、北部ベトナムとは一線を画して南部ベトナムは豊かでした(食料に関しては)。その一方、フランスが支配していたことによって貧富の差があり、一部の富裕層がヴィラや豪邸を建てたりしはじめ、それは現在もメコンデルタ地方カイベーなどに残っています。
ゴックチャウガーデンは、その中でもごくごく普通の一般庶民の家を再現。ウッド調の素朴かつ温かみがある内装は風通しがよく、メコンデルタの農村を彷彿とさせます。
夜はロマンティックな雰囲気に様変わり
夜になると、店内の様子は少し変わります。昼間は斜光が差す温かな雰囲気だった店内が、夜は一変してロマンティックなムード漂う空間へと。おすすめは階段を上がった2階席。天井がガラス張りとなっているので、夜は吹き抜けオープンエアのような心地よい雰囲気の中で食事をとることができます。星空の下で食事をとるなど、日本ではほとんど体験できませんね。ゴックチャウガーデンは店内の随所にベトナムらしさを忍ばせているのが魅力的です。
料理は南ベトナムの家庭料理を再現
ゴックチャウガーデンで食べられる料理は50種以上。
日本語表記と写真までついているのは、ホーチミンのレストランではかなり貴重です。
料理は自然の素材にこだわったものとなります。メコンデルタの大地で培われた野菜や家畜を材料にして、余計な化学調味料は使っていないので、素朴な味わいを確かめることができます。
女性ならこれは必ず注文したい!「空芯菜のニンニク炒め」
写真のこちらは「ラウムオンサオトイ(Rau muong xao toi)」。空芯菜を油とニンニクで炒めたこれ以上にないシンプルな料理。女性が大好きな一品で、在住日本人女性も「日本では空芯菜の料理は高いけど、ここは安いからいつも頼む」という人も多くいます。
下手な調理がほどこされていないシンプルな料理だからこそ、素材が大切というオーナー。空芯菜の旨味を十分に引き出しているので、一度食べると病みつきになってしまいます。
丸ごと食べられるカニ料理
こちらは「シェルクラブのタマリンド漬け(Cua lot rang me)」。タマリンドはホーチミンではごくごく一般的な食材で、各家庭に必ずみ実ごとおいてあります。道端の屋台などで買うこともでき、調理用やそのまま食べるスイーツ用などで支持されています。そして、そのタマリンドを揚げたソフトシェルクラブに和えて完成。
ソフトシェルクラブは脱皮直後のワタリガニ。皮がまだやわらかいので、揚げることによって殻ごとすべて食べることができます。日本だとかなり高く料理ですが、ゴックチャウガーデンでは12万5000ドンと約650円程度で食べることができます。
港町料理の代表はチャーカー
「チャーカー(Cha ca)」は魚のすり身をつかったさつま揚げです。日本のそれと味は似ていますが、もっと風味が強く、ザッ、海の料理といった一品。チャーカーはこのまま食べるのであれば、お酒の肴としておすすめできます。またベトナム料理にはブン(米粉麺)の具にチャーカーを使った「ブン・チャーカー」があり、こちらもヘルシー料理として女性に人気です。
ガイドブックには名物料理として紹介されている頻度は少ないですが、現在では港町をはじめ、ベトナム全土で食べられるれっきとした名物料理です。魚が豊富にとれるメコンデルタはもちろん、中南部ニャチャンのチャーカーは名物とされていて、旅行ではお土産に大量に購入するのがベトナム人の決まりのようなものとなっています。
土鍋料理も一品は注文しておこう
「カーボンラウコーサー(Ca bong lau kho sa)」と長いネーミングがつけられたこちらは、レモングラスとナマズの煮込み料理となります。メコンデルタに幅広く生息する淡水魚で、古くから大事な食料として食べられてきました。
川魚特有のクセを消すために、同じくメコンデルタの自然の産物であるレモングラスやココナッツジュースで味に変化をつけています。土鍋料理もホーチミン旅行で食べてきてほしい名物料理の一つ。お椀大くらいの大きさの土鍋にぐつぐつと煮込まれた魚は濃厚なスープと一緒に口に運んでください。ご飯とよく合います。
異国を感じられるおすすめレストラン
ゴックチャウガーデンは、ベトナムらしさはもとより外国情緒をたっぷりと感じられるレストランです。「あー、自分はいま遠く離れた東南アジアにいるんだ」と余韻に浸れること間違いなし。ですので、できれば滞在初日か二日目といった最初の時点で訪れてほしいところ。市民劇場から徒歩10分かからない距離なので、気軽に行けるのも魅力です。
<DATA>
名称:ゴックチャウガーデン
住所:116 Ho Tung mau St. Dist.1. Ho Chi Minh
営業時間:9:00~23:00