カントーはホーチミン市内からバスで5時間程度走ったところにある、メコンデルタの中央地。地方一の巨大都市とはいうものの、その町並みは日本の古き時代を想起させるのどかなものです。カントー川と豊かなメコンデルタの自然に覆われたカントーには、中心部に2つの市場があります。カントー市場は旅行客向け、タンアン市場は現地人御用達のローカルマーケットです。
今回は、その2つの市場を歩いてみたいと思います。
アクセス
近年は汚水も騒がれているカントー川。ずっと川を下っていくと、カイランの水上マーケットに辿り着きます。そのカントー川はベトナムにおけるメコン川最大の支流であるハウ川に繋がっています。そのため、多くの船が往来するとともに、魚介も豊富に撮れます。
カントー市場とタンアン市場があるのは、そんなカントー川に沿って走るハイバーチュン(Hai Ba Trung)通りです。旅行客にとって、カントーのメインストリートはホアビン(Hoa Binh)通りとなりますが、そこからボーバンタン通りを東に歩いた先にあるので、この周辺に宿をとっていれば、徒歩で行くことも可能です。ちなみに、ボーバンタン通りからカントー市場周辺は、毎夜小規模のナイトマーケットが開催されます。こちらも押さえておきたいナイトスポットです。
風格漂うカントー市場
ハイバーチュン通りに広がる芝生とベンチの広場を南下すると、ホーチミン象が建ち、さらに南へ進むと見えてくるのがカントー市場。数年前に一度改築を経て現在に至ります。周辺は個人商店やオープンエアのカフェ、露店などが並ぶ、何とも東南アジアらしい風景です。カントー市場はひと際大きく目立ち、夜にはライトアップされます。カントー川を周遊するディナークルージングでは、カントー市場の優美な建物を愛でることができます。
カントー市場の中へ入ってみると、まず驚くのがその清潔さ。メコンデルタ地方の奥地にあるとは思えない綺麗なワンフロアの市場。ごみごみとした様子はなく、数十のお店が規則正しくまっすぐと並んでいます。お店は洋服系、アクセサリー系、バッグ&ポーチ、小物雑貨店などがあり、点数は少な目ですが、30分から1時間くらいのショッピングにはちょうどいい規模です。お店の人もしつこくなく、値段交渉もはかどりますし、何よりあからさまなぼったくり価格を提示してこないのに驚きました。
カントー市内には、ホーチミンやハノイのような雑貨通りもなければ、日本人旅行客が喜ぶようなキュートなお土産屋さんもありません。ですので、ここでベトナム土産を調達したいのであれば、カントー市場で揃えるのがおすすめです。ただし、ホーチミンへ戻って買い物する時間があるのであれば、そちらを優先に。カントー市場で買えるもののほとんどは、ホーチミンの市場やショップでも手に入ります。ただし、値段はさすがにメコンデルタ価格。数割カントー市場が安いとみていいでしょう。
カントー市場は夜の24時頃まで営業しています。館内はエアコンはありませんので、夜の涼しい時間にゆっくりとお土産選びをするのもいいでしょう。
カント市場内のレストラン
市場奥にあるレストラン「サオ・ホム」では、ベトナム料理とシーフードを楽しむことができます。ベトナム料理は定番どころが揃っています。値段は割と高めなので、もし食堂料理が嫌でなければ、そちらで食べてもいいでしょう。ここで食べるのにおすすめなのは、鍋と魚介料理です。鍋は「lau mam」がカントーの名物です。魚介は川魚を中心に選んでほしいですが、多少クセがあったり、しっかりと味付けされていないと、味がまるでない白身魚などが多いのが特徴。また、味付けはヌクマムベースが多いので、これが苦手な人は、イカやタコ、貝料理などに走るのもいいでしょう。
ベトナムの象徴、タンアン市場
カントー市場を出て、そのままハイバーチュン通りを南へ歩くと、徐々に露店が増えてきて、現地人も多く行き交うようになります。川傍の市場特有の魚の香りが漂い、バイクに乗った人や、ノンラーを被って天秤を肩にかけたおばちゃんたちの姿を見かけるようになります。
通り全体が青空市場のようになっていて、この活気はさらに南へ進んだタンアン市場まで続きます。
ベトナムの市場では、日本では見かけない野菜もいくつかあります。また、日本でもお馴染みの野菜も、ベトナムでは違った形をしていることもしばしば。例えば、写真上の丸い緑の野菜。これはレモン。日本では黄色いラグビーボールのような形ですが、それはベトナムにはありません。ベトナムでレモンといえば、こちらとなります。
市場を歩いていれば、このような発見をたくさんすることができます。
市場はワンフロアのみ。100を超すお店が並んでいて、それぞれ野菜、調味料、惣菜、肉、魚介などを売っています。肉は牛、豚、鶏が一般的で、アヒルは外で姿焼きで売っているのがベトナムの定番。なぜでしょうね......?
最も賑わうのは早朝の8時前。昼頃は日差しも厳しくなってくるので、お客さんも少な目です。正直言うと、市場内よりも先のハイバーチュン通り沿いに展開される青空市場の方が目で楽しむことができます。果物を売っているお店もあるので、食べ歩きをすることも可能です。
カントー旅行といえば水上マーケットが名物ですが、もし泊りがけで行けるのであれば、今回紹介した2つの市場は行っておきたいところです。
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