トンレサップ湖に浮かんで夕日を体感。最高にロマンチックなひとときをどうぞ
シェムリアップに行くことが決まって、第一声でお願いしたことがあります。「トンレサップ湖にも行きたいです!」
めっちゃいいんです、トンレサップ湖での夕焼け。何度か訪れていますがまだ裏切られたことはありません。湖の上をボートでぷかぷか漂いながら水平線のむこうに太陽を見送るんです。海ほどに広いのに湖だから波がなく、ゆーらゆーらあくまでも穏やかで。東南アジア特有の張り付くような暑さから解放されほっとするタイミングに、情熱的な赤い空気に取り巻かれ……旅を終えてからもずっと余韻の続く極上の癒しを、あなたにも是非味わっていただきたいです。
2019.12.13
もくじ
01 海のような圧倒的スケールのトンレサップ湖は懐が深い
トンレサップ湖の広さといったら! 見ているだけでそのスケールに圧倒されるんです。あれここ海だったかな、勘違いしちゃいそうですよ。
では船に乗って漕ぎ出してみましょうか。まず感じるのは、なんて自由、爽快すぎてどうしようってこと。開放感がはんぱないんです。そう感じるのは広さだけが理由ではありません。ここが海ではなく湖だからです。波がないから、右も左も前も後ろも、あっちもそっちも。行く意志さえあればこの広〜い湖面を好きな方向へ滑って行ける、そんなことが体感としてわかるんですよね。とびきりのフリーダム、快感!
02 カラフルなボートに乗って湖観光へ出発
シェムリアップ郊外に位置するトンレサップ湖は、誰でもボートに乗って観光することができます。船乗り場に行けば、ボートチケットを18ドルの定額で買えるので安心ですよ。ボートの多くは木製でカラフル、乗り込む前から気分が上がるんです。いろんな船が走っていますが、わたしが乗ったのはこのサイズ。
このタイプのボートは足元に注意して、写真のように船の頭まで行くとまた乙なんです。ちょっとスリリングで迫力あるし、なにより、迫り来る異国情緒を真正面から受け止め続ける感じ。旅の醍醐味が100%の純度でふりかかってくるんです。わくわく!
こんな大所帯巨大タイプも走ってます。あっちの船でもこっちの船でも、乗客はみんなそろってテンションあがっているのが面白いものですね。手を振ると一斉にふりかえしてくれたりして通じ合った気分。国籍は違ってもわくわくするツボに大差はないんですね、世界って小さいかも。なんてね。
03 湖の上が町に!?住宅、学校、病院……本気の町システムが浮かんでる
水上生活と聞いても、ちょっと細かく想像しかねますよね。ボートに寝泊まりしてるのかな? 学校やお買い物や、そんな日々のお出かけはもちろん着岸して町に出て……と思ったあなたは甘いです! だって町ごと全部が湖に浮いているのですから。
しかも、教会がひとつあるとか、そういうレベルではありません。上の写真はふたつとも教会ですが、地区ごとにちゃんと教会が浮いているんです。その前に、地区にわけられるほど湖上の町の規模は大きいのがすごいでしょ。
見ても見ても飽きない新感覚の町。でもそのうち、あの木陰は安心して暮らせそうだなぁ、ここは周りに家がたくさん浮かんでて賑やかだけど便利かもしれないなぁ、自分ならどっちがいいかなぁなんて、地上と同じような感覚で住処吟味をしていたりして。水の上というだけで、人が生活している、ということ自体には何も変わりがないんですね。
ではなんでわざわざここに暮らしているのかといえば、土地代がかからないから、というのが大きいみたい。物質的には同じように生活できるし、お金がかからないなら、ある意味では賢い物件ですね。
家々は開けっぴろげのことも多く、いろんなシーンが垣間見られます。こちらには裸んぼのちびっこが。もうそれだけでかわいいのに、隣でピンクシャツの小さなおねえちゃんがなにやらお世話していて、キュンキュンが止まりません。
目を疑うようなシーンもありましたよ、一寸法師発見!
ちびっこがたらいに乗ってどんぶらこ。ね、リアル一寸法師でしょ(笑)。それにしても歩いてあちこち行けない代わりにたらいを使って自由を手にいれるとは、なんてクリエイティブ。それにバランス感覚よすぎです。
04 湖に浮かんで夕日を見送る……贅沢なひとときをどうぞ
太陽は気がつけばずいぶん水平線近くまで来ていました。ここはひとつ町を抜け、大海原ならぬ大湖原でお見送りをしましょうか。
夕日はいつだって感動的だけど、トンレサップ湖上でのそれはひと味違うんです。浸れる深度がぐんと高くてきっとじーんときちゃいますよ。
だってここは水の上。静かな湖面といっても、多少の揺らぎはもちろんあります。ゆらゆらと心地よくゆられ、チャプチャプいう水の音を聴いていると……これは太陽の光が湖面に伸びている振動かもと思えてきましてね。太陽が地球の向こうに沈もうとするその動きを、目だけでなく、体で耳で感じ知って湧き上がる一体感。なんなら運命共同体。太陽と、空と、湖と、風と、船と自分。なんてロマンチック!
そうして知ったのは、この日の太陽は水平線に入るときだけ真っ赤っか。その前後は濃密なオレンジ色でした。湖の上ではこんな微妙な変化すら感じ取ることができるほど何にも邪魔されず、太陽と、太陽を取り巻く空間と向き合えるのです。
ビュンとなかなかの勢いで滑って来たのは、どうやらお兄ちゃんと弟が乗った手漕ぎボート。暗くなる前に、夕飯に間に合うように、慌ててお家に帰っているのでしょうか。弟くんが船尾のどこかにしっかりつかまって固まっているのがかわいくて、かわいくて。
並走する客船も、太陽の余韻に照らし出されてとってもムーディ。自分の乗った船や自分も、周りから見ると味のある影絵になっているのかもしれません。
05 トンレサップ湖の恵みを市場に発見、魚コーナーが大充実
翌朝、シェムリアップの市場に行ってみました。トンレサップ湖の恵みを確かめようと思いまして。
魚売り場へ進むと、いやーびっくり、まるで内陸の街の市場とは思えません。魚魚魚、数も種類もなんて豊富! 600種もの淡水魚が住まうと言われるトンレサップ湖の恵みはさすがです。
それにしても、市場のみなさんの笑顔のすてきなこと! 「チョムリアップスォ(こんにちは)」ニコッと声をかけつつカメラを指さすと、あちらもニコッ。きっと、「撮っていい?」「いいわよ」が成立してるんですよね。あー幸せ。撮らせていただくこともそうですが、笑顔を交わし合う喜びったら。旅行はいいなぁとつくづく思う瞬間です。
いかがでしたか? 感動と発見と恵がいっぱいのトンレサップ湖、シェムリアップを訪れたならぜひとも足を伸ばしてくださいね。思い出が一層カラフルになると思います。