
連載企画
旅作家とまこのアンコール遺跡体験記


一生に一度は拝んでほしい、アンコール・ワットからの究極の日の出と、遺跡観光
アンコール遺跡を巡るツアーでは、多くの場合、《アンコール・ワットの日の出→ホテルに戻って朝ごはん&休憩→アンコール・トム→タ・プローム→昼食&休憩→西陽のあたるアンコール・ワット→どこかで夕陽》という回り方で1日を使います。
わたしもその回り方で案内していただきましたよ。見所満載、感動いっぱい、そこそこ休憩入れつつ、行ってみましょー!
2019.03.14
もくじ
01 究極のエキゾチック、いやむしろ宇宙的!
最強の朝焼けを見逃さないで
未来宇宙の映画かな……何万光年もあっちの星の裏側でビックバンでも起きたかな……そんな気分にスルルと導かれる朝焼けでした。10周くらい回って未来っぽいし、昔々のその昔っぽくもあるし、そして地球というより宇宙的な。
随分自分の世界に入り込んじゃう迫力と美貌なんです、アンコール・ワット。しかもすごいのは、わたしは過去にここで、何度か朝焼けを拝んでいるということ! お初の驚き効果ぬきで、大感動を繰り返しているんです。
いやむしろ、歴史や、人々の生活や思いを知っている今の方が、ずっと感動が深い気がしています。噛めば噛むほど味わいの増す遺跡、来れば来るほど磨かれる遺跡なんですよ。
ところで、これだけ感動してるとき、周りの様子はどうかって。
なかなか大混雑でしょう(笑)。でも引かないで! そんな事柄アンコール・ワットの迫力のオーラで簡単に凌駕できちゃいますから。おかげさまでわたしは、異常に浸りまくる、旅らしい時間を過ごしました。
そしてまた、これだけ多くの世界各国の人々が、朝4時ごろに起きて5時過ぎにはここにいるという、苦行のような(?)スケジュールをこなしている事実にも驚きます。期待値の高さが超早起きをも多くの人類に乗り越えさせるんですね。
人類のわたしもがんばりました!
「辛いけど見たい」と自分自身を叩き起こし、こうしてアンコール・ワットの参道に立つと、フォルムがうっすら浮かび上がってきて……「報われたぁ」全身に喜びが走るのを感じました。
ほどけてく、ほどけてく、現場の神秘的な空気は、体の力をほろほろと緩めさせ、いろんなことが許せるような気持ちにさせてくれるんです(遠い目)。
きっと一度、味わっていただきたいです。いえ、一度と言わず、何度でも。アンコール・ワットの日の出は、「秘境感」「歴史の重み」「究極のエキゾチック」「むしろ宇宙的」オーラをドーンとまとい、それでいて、こうしてお気楽に訪れられる環境をも備えているという、パフォーマンス高すぎの遺跡なんです。
思うに、アンコール・ワットでの日の出撮影のポイントは『諦めない』ではないでしょうか。
上の写真の通り観光客は多いので、好きなアングルで撮れないかもしれません。でも、地平線からの日の出時刻を過ぎると、アンコール・ワットからのお目見えを待たずに早々に撤退する人も多いんです。こうなったらササッと移動、好きなポジションで撮り放題です。
さて7時。日の出前後で1時間30分も撮影しちゃいましたよ、大満足です。では朝ごはんを食べにホテルへ戻りましょうか。
02 アンコール・トム」で、巨顔密集地帯に佇む、
超レアな体験をどうぞ
アンコール・ワットは世界的に有名ですね。日本でもずーっと長いこと、「訪れたい遺跡」や「感動した遺跡」などのランキングで3位内入賞を果たす人気っぷりです。わたしも大いに同意します! ちなみにアンコール・ワットは、アンコール王朝のスールヤヴァルマン2世によって、12世紀前半につくられたヒンズー教寺院です。
ところで、「アンコール・トム」は聞き覚えありますか? アンコール・ワットと混同してるかも? ところが別物で、こちらは12世紀後半にジャヤヴァルマン7世によって建設された都市なんです。なので、アンコール・トムの中には、寺院も塔もテラスも、いろんな見所が多くあります。
アンコール・トムの観光では、写真の超福耳の方々の行列の歓迎から始まります。彼は「勝利の門」一部で、かつてここは戦いに勝利した戦士が凱旋するための門として使われていたんですって。そして今は多くの場合、観光のスタート地点。
ところで上の彼は、いかにもクメール人ぽいお顔立ちでしょ、現地に行ったら納得するかも。
福耳行列の先にある観世音菩薩の四面塔をくぐったら、かつてジャングルの中に栄えたエキゾチック都市、アンコール・トムに入場です。
アンコール・トムで一番有名なのはバイヨンでしょうか。ジャヤヴァルマン7世が建立した寺院ですが、なんと、ヒンズー教と仏教が混交しているんです。寛大! そして先進的! 今、世界のあちこちで宗教戦争が起きていますが、このやり方を見習ったらいいのに……なんてわけにいきませんかねぇ。
中に入るとまずはレリーフ。かつての日常生活や、戦争の様子を、細かく躍動的に、ときにユーモアたっぷりに描かれていて見飽きません。そして見るといつも、「ミスターイトウのバタークッキー」が食べたくなります。こんな感じでしょ(笑)。
上の階層へいくと、圧巻の四面塔! 超巨大なお顔が四面についてる像がニョキニョキ生えまくっているんです。壮大すぎるし、ある意味異様。もし自分がバイヨンのことを知らずに一人で来たら、感動する前に「オバケー!」と騒ぐだろうことは目に見えます。
だってこの顔密度ハンパないですよ。そう広くない寺院の中に、50体117顔だそうです、迫り来る巨大顔巨大顔……そういう昔話ありそ。
まぁそんなことより、一顔一顔の表情に注目! バイヨンの四面塔も笑顔のなんとやさしいこと。「クメールの微笑み」とも讃えられているんですよ。
壁面の彫刻がすごくて!! インスタ映えをねらえそうです。
正直、遺跡巡りは最初が勝負かもしれません、暑いから(笑)。最初にたんとガイドさんの説明を聞き、学び、感動したら、あとは見たままの大きさ、作りの細かさ美しさ、滲み出る歴史観などを体感して大満足しちゃいました。
そもそも体感こそが、現地に来る醍醐味ですし、気負わず観光するのがいい思い出になる秘訣かな??
03 巨石ゴロゴロ大崩壊がかっこいい、
「タ・プローム」で静かな爆音を聞く
圧巻です! こんなかっこいい遺跡があるなんて。大きな神殿が崩れまくっていて「どっかんごろごろ!」爆音が聞こえてくるようでハッとします。
前述の通りアンコール遺跡は何度か訪れていて、ここタ・プロームも初めてではないんです。なのに毎回深く感動して、カンボジアに来て良かったと思います。
04 改めまして、西陽に照らし出された
THE アンコール・ワットへ
朝はアンコール・ワットと日の出がコラボレートする世界観を堪能しに行ったので、今度はアンコール・ワット自体を見に行きましょう。
こちらは仮の参道で、本来の参道はこの左手にあります。修復作業中で、あと数年続くそうです。ともあれ、世界各国から多くの方々が訪れているのがよくわかるでしょう。
建物の左側には、早朝にカメラを持った観光客であふれていた池が。ここからの風景は昼でもやっぱりかっこいい! そんなときガイドさんが「そこに立ってこうしてください」
腕見本を見せてくれました。
「これでいいですか?」
階層を上がるとアプサラの妖艶な踊りのレリーフがたくさんあります。ぼんきゅっぼん、めちゃくちゃメリハリある体型で、なんともお肌もなめらかそう。いやー女として生まれたからには、一度でもこんな体してみたかったです(笑)。
そして優しい。表情の柔らかさたるや、やっぱりあなたは天使ですね。しかも一人ずつみんな微妙にお顔が違うんですよ。憧れのアプサラを選ぶの楽しいなー(笑)。あなたもごひいきのアプサラちゃんを見つけにどうぞいらしてください。
05 夕日鑑賞はここが好き。「プレ・ループ」神殿から、
太陽がジャングルに落ちるのを見届ける
そうこうしていると夕焼け時間が迫ってきていてびっくりです。濃厚な1日ほどあっという間なんですね。
さて、どこから夕日を拝みましょう。夕日の名所として名をはせるところはいくつかありますが、今回は、過去の経験から「プレ・ループ」にしました。
一番有名な「プノン・バケン」は山の上にある遺跡なので、確かに素晴らしい眺めです! でも人が多すぎるのと、そんな混雑の中登るのが大変で……マイナス要素をあげても仕方ないのですが、なまけていい思いしたいのも本当なので(笑)。
プレ・ループはそこまでの大混雑ではないし、入り口から神殿を登るだけなので、パパッと夕焼けの世界へワープできるんです。幸福幸福。
お見事でした。朝日に続き、世界各国からのみなさんが、同じ場所で同じものに心打たれている一体感。なかには「お腹すいたなー、つかれたなー」とか思ってる不良部員もきっと(笑)。ぜんぶが愛しくなるいい空間です。
沈みきり、しばらくマジックアワーを堪能した後に遺跡をおりたけど、まだ空はお見事。神秘的なシルエットに圧倒されました。
プノン・バケンではなく、プレ・ループで夕日を拝む良さはここにもあります。前者の場合、山を降りたら遺跡のシルエットはありません。そもそも、急な階段を下るので足元の確保のため、マジックアワーまで上に残っていられませんしね。
06 マジックアワーは世界最大のお風呂「スラ・スラン」で。
あたり一面真っ赤っか!
さぁ、ホテルへ戻りましょうか。車に乗り込みしばし走ると……王様の沐浴場地だったこともあり、世界で一番大きいお風呂とも言われる「スラ・スラン」に差し掛かりました。
あれまー大変なことに!
「お願いー!」
車を停めていただき撮りました。うっとり……。
タイダイ染めってこんな情景から生まれたんじゃないかと思うんです。この水面に布を浮かべたら、空が布に映り込むと思えてならず。そして、こういう空になりやすい湿度と気温の高い国こそ、タイダイ染めってあるでしょう? という勝手な推察をして、遺跡観光1日目の行程は終わりです。
暑い中、朝焼けから夕焼けまで観光するのは、まぁタフではあります。でもそこは、東南アジアのなぁなぁなお気軽感(失礼)で乗り切りましょう! 休憩はきっとガイドさんからも提案してくれるけど、自分のペースでも気軽に申し出て、楽しく観光できるコンディションを守りつつ進めれば問題無し。こんな超ド級の感動、疲れで見逃してはなりません。
旅作家とまこのアンコール遺跡体験記









