ベトナム名物?河川上&船上で暮らす家庭を見学

東南アジアの旅番組やドキュメンタリーで、河川上や船上で暮らす人々の生活をクローズアップすることがしばしばあります。日本とはまったく異なる光景なので、つい見入ってしまいますよね。ベトナムでもそういった水上生活者は多く、観光客にとっては、物珍しい名所ともなっています。

今回は、水上生活の様子が観光スポットになっているエリアと、彼らがどういった生活をしているかをご紹介します。

河川上&船上の家々を鑑賞できるエリア

IMG_1658.jpgプレハブ小屋が並ぶ

カイベー

こちらはホーチミンから車で3時間ほどのところにある「カイベー」と呼ばれる町。近年は現地オプショナルツアーで、日帰りツアーが催行されている人気急上昇中の場所です。カイベーでは水上に建つ家々はもちろん、船上で売買を繰り広げる水上マーケットも毎日見ることができます。マーケットの開催場所はメコン川の支流で、その幅広い川沿いの両端にはびっしりと高床式の水上家屋が並んでいます。

IMG_5121.jpg水上マーケット

日帰りで見学できる水上マーケットのエリアとしては最大規模。数十の問屋船が早朝から川を埋め尽くします。このエリアは大型船よりも小型船が多い様子です。旅行者は小舟に乗って見学し、途中は問屋船から果物やジュースを買うことができます。

カントー

IMG_5209.jpgカントーの水上市場

カントー近郊のカイラン水上マーケットは、南部では最大規模の市場として名高く、観光地化もしっかりとされています。早朝の5時から7時にかけてがピークで、数百の大小の商船が行き交う様子は圧巻の一言。船上生活者の姿も多く、船の甲板に衣類を干していたり、ガスコンロでフォーを作って食事していたりといった、彼らの日常の生活の様子を見ることができます。ただし、ホーチミンから行く場合は要一泊。詳しくは旅行会社に相談しましょう。

ホーチミン

IMG_1669.jpg大都会の真ん中でも見られる光景

東南アジアを代表する大都会ホーチミンにおいても、一部で水上生活者が暮らしています。しかも、1区中心からほど近いエリアです。場所は4区と8区の川沿い。サイゴン川の支流が蛇行するように流れ込み、市民劇場やベンタイン市場のある1区を隔てている南側。ここでは船上で暮らす人々を見ることができます。

船上生活者は毎日船の中で暮らしている?

IMG_5102.jpg船上での生活も大変そうだ

例えばホーチミンの4区、8区の川沿いで暮らす船上生活者は、毎日ここで生活しているわけではありません。彼らのほとんどはメコンデルタに家を持つ商人で、船に大量の果物や野菜を載せて、定期的にホーチミンに渡ってきます。すべて売り切るまでは船上生活となるのですが、大体一週間程度で完売し、再びメコンデルタに戻っていきます。

DSCN9302.jpg船上生活者の日常

それは先に説明したカントーやカイベーでも同じ。船はあくまでも商船なので、ずっとそこで生活しているという人はそれほど多くはありません。基本は荷物を積み、それが売れるまで河川を漂う。すべて完売したら、自分のある家に戻っていく。その繰り返しとなります。中にはしっかりとした戸建ての家を持っている人も少なくありません。物価が高くなってきたベトナムといえども、まだ田舎は安いです。

水上家屋に暮らす人々

IMG_1660.jpg本当に大変な生活を送っているのは、水上家屋の人々

一方、水上家屋に暮らす人々の大部分は生活に困窮している人たちです。一部では家賃が安いとの理由から小さな工場を建てている人もいますが、陸に土地を買うお金がない人が、やむなく水上で生活を強いられているケースがほとんどです。カントーやチャウドックのメコン川の支流では、一種のコロニーが水上で形成されていて、高床式住居を繋ぐ木造の道が作られて、人々は水上を行き来することが可能。

IMG_5191.jpgチャウドックの水上家屋の様子

大きな集合体になると、水上に学校やパパママストア(コンビニのようなもの)、八百屋にガソリンスタンドなどもできるようになり、一つの町として構成されます。

水上生活者の試練

水上生活者が陸に上がることは、なかなかの困難を極めます。その理由の1つが「住所登記」です。水上生活者は無断で水上に家屋を作っているため、住所がありません。住所がなければ会社に就くこともできませんし、その他諸々生活に支障をきたします。ただし、近年は政府により水上生活者に住所が提供されたり、陸の土地を分け与えたりするといった試みがされています。

河川上&船上生活者の光と影

旅行者にとっては、ここで紹介した河川上、船上生活の様子は珍しい風景、アジアらしい風景の一コマとして、つい写真を撮影したくなります。しかし、そこに暮らす人々の生活がどれだけ大変かも、同時に考えてみてください。観光を通して、より深みのある時間をおくることができるはずです。

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