ベトナム鉄道の車窓から。旅を盛り上げてくれる列車旅

日本でも青春18切符を利用して、全国列車旅をする人は学生大人問わず多くいます。ガタゴト揺れる列車のシートに座って車窓に流れる外の風景をぼんやりと眺める。そんな時間に旅行らしさを感じることでしょう。一人旅もいいですし、友人、恋人、夫婦で行けば、より一層絆が深まるのではないでしょうか。

今回はベトナムの鉄道の概要を紹介します。ベトナムで列車旅をしてみたいと考えている方は、こちらを一読ください。

ベトナムの列車事情

Living_on_train_tracks_at_vietnam.jpgⒸWikipedia

ベトナムは社会主義のため、重要インフラである列車はすべて国営によって管理されています。現存する国内路線の多くはフランス領インドシナ時代に造られたため、駅舎はフランス人設計の西洋風の内外観をもつところが多くあるのが特徴的です。

ただし、フランス保護下後、第一次インドシナ戦争、そして15年にわたる長き南北統一をかけたベトナム戦争など、20世紀後半までベトナムは戦争が続いていたため線路は破壊され、また車両ともに老朽化が進んでいるのが現状であります。

列車は不便とみなされている

列車は時速70km程度で走るので、実は車やバスで移動するのと大して所要時間は変わりません。ベトナム旅行者の中には「北のハノイから南のホーチミンまで列車旅」をする人が多くいますが、すべて列車での移動であれば、実に29時間かかります。ちなみに、青森から鹿児島まで新幹線を利用して行くと、所要時間は約11時間。ハノイとホーチミン間と距離はほとんど変わりませんので、3倍近く時間がかかることになります。ベトナム人も都会で働く中間所得者層は電車を利用することはほとんどありません。

乗車券の購入方法

North-South_train_Vietnam.jpgⒸWikipedia

乗車券の購入方法は2つ。1つは現地にデスクを構える旅行代理店に購入代行してもらう方法です。ただし、こちらは利用できるかは五分五分。数年前までは普通に利用することができましたが、最近は乗車券の購入には本人確認が必要、もしくは本人が直接窓口に来なければならないと言われるときがあります。

2つ目はお分かりの通り、自分で直接駅に行って購入する方法です。券売機があるわけではなく、すべて窓口による対面販売となります。自分の行きたい駅名と発車時刻を告げれば簡単に購入することができます。英語を理解する窓口スタッフも多くなりましたが、もし理解してくれない場合は、紙に書いて渡すと確実です。

座席の種類

日本ではグリーン車や指定席といった種類がありますが、ベトナムでは「ハードシート」、「ソフトシート」、「ハードベッド」、「ソフトベッド」があります。さらにシートには冷房の有無によっても料金が変わりますし、ベッドは上段下段も選ぶ必要があります(もし何も言わなければ、窓口スタッフが勝手に選びます)。いずれも長距離列車なので、旅行者はベッドタイプを選ぶのが普通。

女性専用車両など気の利いた座席はありませんので、もし他の乗客と相部屋が嫌ならば、一部屋すべて貸切る必要があります。ちなみにこの手は多くの旅行者が使う手です。また、冷房の有無は必ず有りを選んでください。暑い寒いの問題ではなく、車内はかなり淀んだ空気と匂いなので、それをかき消す意味でも冷房は必ず必要と思われます。

乗車券詐欺&車内盗難事件に注意

乗車券詐欺は、駅舎内で駅員を装った犯罪グループが、列車を待っている客に乗車券確認をしてきます。そして、確認するふりをして、偽物の乗車券にすり替えるのが常套手口。実際乗車券の確認は、車両に乗り込むときに入口ドアに立っている駅員と、座席に着いたあとに巡回に来る乗務員への2度だけです。

また、列車の社内では常に貴重品は携帯してください。トイレやたばこを吸いに席を立ったちょっとした時間に狙われる可能性があります。

旅行者に人気の鉄道ベスト3

Vietnam_Train_1.jpgⒸWikipedia

ここでは旅行者に人気の線路を紹介します。いずれもハノイもしくはホーチミンといった大都市が始発となっているので、旅慣れない旅行者であってもチケットを買って車両に乗り込むだけで気ままな列車旅を決行することができます。

No.1:南北統一鉄道

バックパッカーの目的の一つにもなり得るほど知名度の高い路線。北部ハノイ~ホーチミン(サイゴン駅)間を走るため、この名称で親しまれています。上述した通りハノイからホーチミンまでは1日以上かかるので、こちらは中長期旅行者向けとなります。ただし、途中停車駅もたくさんあり、フエ、ダナン、ニャチャンといった観光都市にも停車するので、これらを終着駅とするのもいいでしょう。

No.2:SNT1号&2号

こちらはホーチミンのサイゴン駅から中南部ビーチリゾートのニャチャン駅までを繋ぐ列車。豪華5つ星の寝台列車として2017年に運行開始。いずれも夜間運行となるため、ホーチミンから向かった場合、ニャチャンに到着するのは朝の3時となります。いささか不便ですが、ニャチャン駅を出るとバイクタクシーが客待ちをしているので、それに乗ってホテルまで行くことができます。

ちなみに、ゴールデントレイン&ブルートレインも同様にホーチミン~ニャチャン間を運行。旅行会社がおすすめする列車旅ツアーでもあります。

No.3:ラオカイ線

ハノイ駅からラオカイ駅までを繋ぐ路線。所要時間は約10時間で、途中8駅停車しますが、降りて観光するエリアはないため、基本は終点のラオカイ駅まで乗っていることになります。ラオカイは山岳地帯で、中国との国境に接しています。旅行者にとっては少数民族が暮らすサパの町へ行く移動インフラとして重宝されています。

根強い人気のベトナム鉄道

列車旅を計画するほとんどの旅行者は、上記3つのうちいずれかの列車を利用することになります。中長期旅行者および一人旅、バックパッカーの人たちに根強く支持されているベトナム鉄道ですが、乗り心地は決していいとは言えません。東南アジアの鉄道に乗りなれていない方は、座席は一番高いものを購入することをおすすめします。

[local, 499]

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