ベトナム南部に広がるメコンデルタ地方。メコン川を小舟で下るジャングルクルーズや南国果実が実る果樹園の見学などはホーチミン旅行の鉄板ツアーですね。そのメコンデルタへは個人でいく旅行者も年々多くなってきました。そこで、今回紹介するのはメコンデルタに訪れたらやりたい7つのこと。
単純に町並みや食べ物を楽しむのもいいですが、何か旅の目的を明確に持ち、それをクリアしていくルートを組むのも旅にメリハリができておすすめです。
1、道中フェリーに乗る
ホーチミンからメコンデルタへ向かう道中は、御覧のようなフェリーに乗ることもあります。基本はバスでの移動ですが、時には川を越えることもあります。このようなフェリーは庶民の貴重な移動インフラとして今もなお残っています。バスで行く場合はバスごと乗り込むことができ、川を渡る十数分間は甲板にでて大河を望みましょう。胸が躍るような旅の予感がしてくるはずです。
ちなみにホーチミンからチャウドックへ行く場合はこのフェリーを利用するバスが多くあります。
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2、雑踏をかき分けて青空市場を散策
東南アジアといえば、御覧のような雑多な風景が広がる青空市場をイメージする人も多いのではないでしょうか。魚介の潮のか香りとスパイスの匂いが鼻腔をつき、色とりどりの野菜が種類多く並び、南国果実が大量に積まれている、そんな青空市場はベトナムでも都会を中心に減りつつあります。
しかし、メコンデルタ地方はまだまだ健在。そもそもスーパーやコンビニが圧倒的に少ないため、いまでも市場は人々の拠り所であり台所の役目。雑踏をかき分けながら市場のお店をわたり歩き、人々の喧騒と活気に身を埋める。そんな旅ドラマのワンシーンにあるかのような時間を楽しむことから、メコンデルタの旅ははじまると言っていいでしょう。
3、ライスペーパー工場を見学する
ベトナム料理の国民食として親しまれているライスペーパー。米粉を溶いて円盤にクレープ状に蒸し上げて作る生地です。メコンデルタはベトナム一の生産高を誇り、ベトナム国内生産量の6割以上を担っているとも言われています。また、レストランやお土産処では自家製のライスペーパーを作っている店も多々あり、裏手に回れば御覧のようなライスペーパーを作っている現場を無料で見学することもできます。
ちなみにライスペーパーといえば生春巻きを想像する方が多いですが、現在はライスペーパーを使ったさまざまなB級グルメが出回っています。ライスペーパーを細長く刻んだバンチャンチョン(Banh Trang Thon)や、網焼きして香ばしく焼き上げるバンチャンヌン(Banh Trang Nuong)、その他にもマンゴーやドリアンの風味を染み込ませたものもあります。いずれも日本では食べることができないので、メコンデルタ旅行でしっかりと食べておきましょう。
4、少数民族に出会う
ベトナムは世界でも典型的な多民族国家。皆さんがホーチミンやハノイなど都会で見るいわゆる"ベトナム人"は、正式にはキン族という種族となります。ベトナムにはほかにも53の少数民族が各地で暮らしていて、ベトナム人の持つ国民証IDには自分の民族を書く欄が設けられています。日本にはないものですね。
メコンデルタ地方にも古くからこの地に暮らしている少数民族がいます。その代表がチャム族とクメール族。いずれもキン族がこの地に移り住む前から住んでいた原住民。彼らの中には町におりてキン族と交流している人もいますし、旅行者向けにビジネスをしている人もいます。チャウドックでは小舟で対岸に行くとチャム族が暮らす町があり、外国人も受け入れてくれます。このような人たちは民芸品を売って生計を立てているので、一つか二つお土産に買っていってください。
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5、由緒正しき寺院を巡る
メコンデルタ地方で最も有名なのは、チャウドックのサム山の麓にあるバーチュアス寺院。ベトナム全国から熱心な仏教徒が押し寄せる仏教寺院です。その他にもベトナムには歴史ある寺院が多く、旧正月期間には多くのベトナム人仏教徒がメコンデルタの各地の寺院を巡るバス旅に出かけます。
メコンデルタはその昔カンボジア領でした。さらに19世紀後半からはコーチシナと呼ばれるフランスの保護下の時代を迎え、フランスの文化も流入してきました。その結果、仏教寺院でも奇抜でカラフルな派手な外観や装飾がほどこされていたり、クメールカラーであるインド化の寺院があったりと、歴史を知らなくても旅行者を目で楽しませてくれます。
6、水上市場で自然の傍らに暮らす人々の生活を覗く
タイでも有名ですが、ベトナムでも古くから川べりに住む人々の市場となっているのが水上マーケット。メコン川の支流で毎朝見られる水上の市場で、旅行者が行ける範囲でもいくつもあります。人気はカイベー、カントーのカイラン、ロンスエンの辺り。ツアーもあるので、そちらに参加するのもいいでしょう。大小数百の商船が密集して野菜や果物を売買します。
その光景は圧倒的。大量に商品をのせた船が行き交い、船首には洗濯物を干し、ガスコンロで鍋を突く。日用雑貨を売る小さな船もあれば、ココナッツジュースを観光客向けに売る船もあります。メコンデルタ旅行の中でも最大のハイライトとなることでしょう。
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7、プライベートビーチを存分に楽しむ
最後はこちら。メコンデルタの自然に溶け込むようなコバルトブルーの時間を。そう考えているのであれば、メコンデルタの奥地カーマウやハーティエン、そして最西端のフーコック島へ行くのがベスト。まだ手付かずの自然が残り、観光地化されていない白い砂浜と透き通る海。時間を忘れてただただ寝そべって1日を過ごす最上級に贅沢な滞在余暇。それを可能にしてくれるのがメコンデルタ地方です。
タイランド湾に沈むサンセットを眺めながらワインを傾け、大切な人と寄り添い素敵なシーフードを堪能する。そんなリゾート感たっぷりの滞在もできますし、カーマウの港町で潮風に吹かれて素朴な町を散歩し、人々の交流や郷土料理を楽しむ個人旅行向けの時間もいいでしょう。
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日本が忘れた風景がそこにあります
メコンデルタ地方へ旅立った旅行者は、口をそろえて「メコンデルタは奥が深い」と言います。ホーチミンやハノイとも似つかない環境や人々、風景が広がり、少数民族やクメールの痕跡があちらこちらに見られるメコンデルタは、確かに他の都市、国とは少し異なるかもしれませんね。
一方で日本人がとうの昔に置き去りにした素朴な風景と習慣がいまも残るのもメコンデルタの魅力。その風景に出会うため、ここで紹介した旅の醍醐味を完遂するために歩を運んでみてはいかがでしょうか。
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