4月の下旬から5月頭にかけて、日本ではゴールデンウィークなる大型連休があります。この時期は国内旅行、海外旅行者が多く、何か月も前からフライトの予約をしておかなければ座席確保も困難なほど。
ちなみに、実はベトナムもこの時期は連休に入ります。4月30日はベトナム戦争終結の日で祝日に制定され、5月1日はメーデーとなります。土日にどちらかが土日に重なる場合は翌日が振替休日となるので、だいたい毎年3連休が常となります。ですので、ベトナムも国内移動者で主要観光エリアは混雑しています。では、5月のベトナム旅行では、どこがおすすめなのか。5月のベストシーズンを迎える観光エリアをご紹介したいと思います。
好みによって選ぶビーチエリア
5月は日本でも初夏の入口で、日によっては猛暑となることもあります。ベトナムでも全国的に乾季となりますので、どこへ行っても日焼け対策は必須です。特に南部は1年の中で最も暑くなる月でもあります。5月のおすすめは「南部ビーチエリア」。
ベストエリア:ホーチミンから気軽に行けるビーチ、「ブンタウ」
ホーチミンからわずか90分ほどのところにあるブンタウは、南シナ海に面するビーチエリア。かつてはオイルマネーが流れ込んできて急速に発展。観光エリアの中心に広がるバックビーチ沿いには5つ星ホテルも並ぶようになりました。そのブンタウは一昔前までは現地人の週末に行く地元密着型の海水浴場でしたが、現在では各旅行会社が日帰りツアーを催行するようになって、徐々に観光エリアとして知名度があがってきています。
ホーチミンはこの5月の時期が最も気温が上がるので、うだるような暑い日には、思い切ってビーチエリアに舵を切るのもいいかもしれません。また、ツアーバスを手配すればノンストップで行くことができますので、個人で向かうことも可能。その場合はナイトマーケットや夜の海など、日帰りでは体験できないことも楽しむことができます。
田舎風情残る情緒豊かな町
ブンタウには4つのビーチがあり、それぞれフロントビーチ、ストロベリービーチ、パイナップルビーチ、そしてバックビーチです。その内海水浴に適しているのはバックビーチのみで、他のビーチは人影はほとんどない殺風景な海となります。そのバックビーチ沿いのトゥイヴァン通り、そこから交差するホアンホアタム通り、ワンチョン通り、ナムキーコイキア通りなどは、海に寄り添う田舎町風情が漂っています。市街地を散策していると、観光客向けのスパやマッサージ店もちらほらうかがえますし、ご覧のような地元民が通う食堂も多く見かけることができます。
市街地散策では海の守り神が祀られているタンタム廟やブンタウ市場などを楽しむことができますし、タクシーかレンタルバイクで海沿いをひた走れば、ブンタウのシンボルタワーのキリスト像にもたどり着けます。
できれば一泊したい夜のブンタウ
ブンタウのトゥイヴァン通り近くを走るフォードゥックチン通りは、安ホテルが並ぶホテル街で主にバックパッカーの人達に人気があったエリアです。しかし、数年前にトゥイヴァン通り沿いの屋台が規制されて以来、このフォードゥックチン通りエリアに屋台が集まるようになり、現在ではちょっとしたナイトマーケットのようになっています。現地人もさることながら欧米人を含む外国人旅行客も多く行き交っています。
雑貨を扱う店もあれば、新鮮なシーフード屋台も多数並んでいます。エビ、イカ、魚、貝などどれも値段はホーチミンと比べるとだいぶリーズナブルなので一通り食べておきたいところです。また、バックパッカーが多いことから、深夜営業をしている食堂が多いのも特徴の一つ。ちょっと小腹が空いたときにふらっと通りを歩いてみてください。「なんか食べていきなよ」とおばちゃんが声をかけてくれるかもしれませんよ。
こちらはバックビーチの夜の様子。昼間は砂浜にパラソルが咲いて、デッキチェアに寝そべっている人や、海水浴を楽しむ人で混雑していましたが、夜になると干潮で波がいっせいに引く現象が起きます。日中海の底だった場所が、遠く向こうまで引き伸ばされている様子は奇妙かつ不思議な光景。是非散歩していってください。
[local, 30]
ベストエリア:ベトナム最後の楽園「コンダオ島」
ホーチミンから南東に230km。バリア・ブンタウの省群の一つである離れ小島がコンダオ島です。かつては監獄の島とも呼ばれ、フランス統治下時代では共産主義者や反政府主義者が次々にコンダオ島に島流しに遭い、監獄に収容されました。しかし、それから200年の歳月を経て、現在では徐々に観光資源としてのコンダオ島が注目されはじめています。まだまだ島民わずか7000人の小さな島ですが、ハリウッドスターのブラッドピット・アンジェリーナジョリー元夫妻もハネムーンでやってきたビーチアイランドで、「ベトナム最後の楽園」と囁かれています。
コンダオ島の気候は南部気候とほぼ同じなので、5月下旬から6月以降は徐々に雨季に入ります。最後の楽園を楽しむのであれば、1月から5月の乾季の時期となり、ベストシーズンは気温が高くなる4月5月と言えるでしょう。
国内線移動が賢明の判断
コンダオ島へは飛行機かフェリーかの移動手段が考えられます。フェリーの場合はブンタウの町から出ていますが、所要時間は約12時間と非常に時間がかかるためおすすめはできません。国内線であれば、ホーチミンからベトナム航空が毎日4~5便就航していて、所要時間も約1時間程度。フーコック島やニャチャンなどに行くのと距離はそう変わりませんので、ホーチミン発のビーチエリアとして候補に入れておきたいところです。
コンダオ島の歴史を見る
コンダオ島はベトナム人の間では「幽霊が出る島」として現在も認知されています。フランス統治時代の流刑地としてコンダオ島はフランス人の手によって開拓されました。島内には8つの収容所があり、いずれも無残な姿で現在も残されています。
その中で最も有名なのがフートゥオン収容所。1940年に建設されたこの監獄には、有名な『虎の檻』があります。共産主義者や反政府主義者を牢屋に閉じ込め、そこに石灰と水を撒いてやけどを負わせたり、1日中照り付ける灼熱の太陽にじわじわと体力を蝕まれて衰弱死させました。現在でもこのコンダオ島には2万の死者の魂が眠ると言われています。
コンダオ島の楽しみ方
近年観光開発が進んでいるフーコック島に比べて、コンダオ島はまだまだ手つかずの自然が残されている山々に囲まれた小島です。収容所見学の他にやることと言えば、ホテルでのんびりとしたり、シーフードを堪能したりするくらい。メインは海水浴なので、海は苦手という方は手持ち無沙汰になる可能性が高いです。ただ、バイクや自転車レンタルして砂利道やはぜ道をのんびりと走る時間も悪くありません。
充実した滞在をおくるポイントは、高めのホテルに宿泊することです。コンダオ島で最高級のホテルはシックスセンシズ。同ハリウッドスター元夫妻もこちらに宿泊しています。海水浴とホテルライフを考えて観光計画を組み立てるのがいいでしょう。
南部エリアの海水浴は今年最後
1月~はじまった乾季も5月で終わりを迎えます。6月からは雨季に突入し、1日数回のスコールが降るようになります。市内観光であれば問題ないのですが、アウトドアがメインのムイネーやダラット、マリンスポーツを目的としたビーチリゾートのニャチャン、ブンタウ、フーコック島、コンダオ島などは、雨季では十分楽しむことができません。
東南アジアの熱帯気候の下で南国ビーチバカンスを楽しみたいと考えている旅行者は、5月のこの時期に検討してみましょう。