ハノイ観光の醍醐味となるのが「博物館巡り」です。政治のおひざ元である首都ハノイには、ベトナムの歴史やベトナム戦争、ホーチミン氏関連の博物館が計10以上あります。ハロン湾やサパなど遠くの郊外へ行かないで、市内散策で観光プランを組むのであれば、今回紹介する5つの一押し博物館の中からいくつかピックアップしてみてはいかがでしょうか。
博物館選びのコツ
博物館選びのコツとしては、「行く前に博物館の概要を調べる」こと。ただ人気の博物館に行ったとしても、そこが何を主に展示しているのか、どの時代のものなのかが分からなければ意味がありません。ベトナムの博物館は多くは英語による解説文がありますが、英語が苦手な方もいますし、ベトナム語のみの紹介しかない博物館もまだあります。また、博物館は休館日があるので、行く前に当日会館しているのかも調べておきましょう。
1、民族学博物館
まず最初におすすめしたいのが「民族学博物館」です。ベトナムは53の少数民族とキン族の計54の民族から構成されています。キン族は一般的に言われている「ベトナム人」で、全人口の85%を占めます。この民族学博物館では、54の民族の概要紹介、歴史、習慣、風俗などを模型や展示品で紹介しています。
展示してある少数民族の衣装や調度品、農具などはほとんどが本物で、中には民族の冠婚葬祭のビデオ放送もあります。これだけの数を揃えている博物館は他にはなく、展示品は大変貴重な品ばかりです。当博物館はハノイ市内の中心からちょっと離れているところにあります。タクシーで30分程度かかるので、休館日に当たらないように事前に調べておくといいでしょう。
[local, 112]2、ホアロー収容所
アメリカのCNNで東南アジア最恐のスポットとして選ばれたこともあるホアロー収容所。かつてフランス統治時代に作られたベトナム人を収監する収容所です。ベトナム戦争時まで使われていたとのことで、中には本物のギロチン台や固く施錠された大きな扉、囚人が当時使っていた衣類や食器などが展示されています。
また、囚人は全員が足かせを付けられていたため、集団感染が発生し多くの死者が常に出ていたと言われています。1950年代には最大2000人以上の囚人が捕虜として檻に入れられていました。「死ぬことは容易だが、生きることは困難」という言葉も刻まれています。もし興味がある方は、「ハノイヒルトン」という映画をご覧ください。アメリカ人捕虜の様子を描いた作品です。
[local, 111]3、女性博物館
こちらの博物館はベトナムを中心に世界各国の「生きる女性」をテーマにした作品を展示しています。ベトナムでは都心を中心に男女平等が広がっていますが、まだまだ男尊女卑社会は続いています。市場や行商として働くのは決まって女性で、炊事家事育児をこなすのも女性。その力強い女性の写真や展示品はどれも興味深いものがあります。
また、少数民族の女性たちの生活の様子も写真や模型で見学することができます。山岳を赤子を抱いて歩く女性や、農具を片手に畑に立つ女性、家屋で伝統の織物を作り、その様子を隣で子どもが見ている様子など、展示品は貴重なものばかり。『少数民族の生活』という日本では滅多に見られない風景にベトナムらしさを感じてください。
[local, 134]4、ベトナム軍事歴史博物館
ベトナム戦争で活躍した北ベトナム軍の軍事兵器や戦車、戦闘機、大砲などが展示されている大規模博物館。敷地入ったすぐにミグ戦闘機があり、これは当時後方支援をしていたソ連製のもの。博物館脇奥にはフラッグタワーや墜落した戦闘機のジオラマなどが展示されています。他の博物館に比べると、どれも展示物はダイナミック。ベトナム戦争を知らない人でも見る価値がありますし、その迫力ある風景は子供も声を上げて楽しむことができるはずです。
写真のこちらはソ連式843。この戦車と中国式390の2台が4月30日にフェンスをやぶって旧大統領官邸(現在の統一会堂)に突入して、ほどなくしてベトナム戦争は終結しました。その本物の843号がこの博物館に展示されていて、同戦車はベトナムの国宝に認定されています。ホーチミンの統一会堂や戦争証跡博物館にあるのはすべてレプリカなので、本物を見学できるハノイ旅行者はかなり幸運。是非その目で確かめて下さい。
[local, 603]5、国立歴史博物館
フランス統治時代にコロニアル建築で建てられたハノイ市内の人気の観光スポット。以前はフランス領事館だったときもあり、現在はベトナムの歴史を学ぶことができる博物館となっています。現地の学生も多く訪れるこちらは、旧石器時代からベトナムの近現代までを時代順に展示しています。展示品はベトナム語もしくは英語により時代と簡単な説明分が添えられています。最古は4000年前の打製石器を見ることができ、ベトナム歴史の奥深さを感じることができます。
2世紀から19世紀まで栄えたチャンパ王国の貴重な遺産も展示。ベトナムは国内全土で仏教が普及していましたが、チャンパ王国は古くからヒンズー教信仰でした。時代を遡れば隣のカンボジアまで侵攻していたときもあり、カンボジアの世界遺産のアンコール遺跡にもチャンパ王国との闘いの様子が彫刻されています。
[local, 176]ベトナムの歴史は非常に興味深い
ホーチミンの博物館はそのほとんどがベトナム戦争関連ですが、ハノイは実にジャンルが多様です。ベトナムといえば戦争をイメージする人が多いですが、実際観光客の多くはそれ以外のベトナムも知りたいと思うもの。そんなときは、上記の博物館を巡ってみてください。
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