昔ながらのベトナム食堂。ドアのない古ぼけた平屋の中に屋台を置いて料理を作り、店内、もしくは路上にはみ出してテーブルを置くスタイルが普通。そんなベトナム食堂も近年は都会を中心に減少傾向にあります。人々はコンビニでお弁当を買って済ませるようになり、また、最近はレストランが積極的にオフィスデリバリー・ケータリングサービスを実施しています。企業勤めのサラリーマンとOLが多くなり、所得も上がってきたので仕方ないといえばそうでしょうが、旅行者にとっては少し寂しく感じることもあるかもしれませんね。
今回はそんな都会の合理化の渦に負けていない老舗の食堂「バックヒエン」をご紹介します。
アクセス
今回紹介するバックヒエンの場所はハイバーチュン通り。レタントン通りとリートゥーチョン通りの交差点にある古ぼけた平屋のお店です。番地は111で、グーグルマップなどで調べると、異なる場所(もっと北部)を指し示す場合があるので注意してください。この界隈は市民劇場やドンコイ通りから徒歩5分圏内で、周辺は旅行者向けのブティックショップやスパ、レストランなどが並んでいます。観光がてら小腹が空いたときに立ち寄るのがいいでしょう。
意外と珍しい麺とご飯両方扱う食堂「バックヒエン」
外観はこんな装い。大きな交差点の角に建っているので見落とすことはないでしょう。周辺は近代的な高層ビル型のショッピングセンターやスイーツ店、フランス家具を扱うファーニチャー、外国人とベトナム人富裕層行きつけのレストランなどがあります。その傍らで毎日営業しているこの食堂は、なんだか傍から見ると異様な光景。時代に置き去りにされたような、そんな雰囲気が漂っています。しかし、昔と今が不釣り合いに混在する町。それがホーチミンの現状でもあることがうかがえます。
席は屋内と路上両方用意していて、路上は壁に沿って屋根があるので雨降りの日でもしのぐことができます。一方室内はじめじめしている上汚いので、旅行者には不向き。ベトナムらしさを味わう意味でも、ここは路上を選択するのがいいでしょう。
店頭では食堂を経営している店主が料理を作っている姿をみることができます。衛生面で多少の不安はありますが、焼いたり煮込んだりしている料理を選べば基本は問題ありません。旅行者がよくお腹を壊す理由の一つに「食べ過ぎ」が挙げられます。普段食べているものとは異なる料理は胃に刺激的ですし、ついついおいしくて食べ過ぎてしまうことがあります。ですので、腹は八分目までにしておけば、そうそう壊すこともありません。
麺料理がおすすめ
バックヒエンではご飯と麺双方扱っているのが特徴。普通の食堂であれば、ご飯+惣菜をメインにしていて、麺はフォーなど一種類のみのところがほとんどですが、こちらは現地人に人気の5つの麺を楽しむことができます。ちなみに、ご飯は1品か2品惣菜をチョイスしてください。一品22000ドン(約110円)と安いです。麺料理はフォーを筆頭にブンボーフエ、ブンリウ、フーティウ、フーティウボーコーの5つがあり、いずれも3万ドン(150円)となります。
>>麺の食べ歩き
南部名物「フーティウ」とは
ベトナムは言わずと知れた麺大国。しかし、日本人の多くはベトナム麺=フォーと考えているでしょう。しかし、現地でよくよく調べてみてください。フォー以外にも実に多くの麺料理があることが分かります。このバックヒエンでも5つの麺を扱っているので、複数人数で来たときはそれぞれ違うものをチョイスして味見してみてください。その中でもお勧めが「フーティウ」。実際のところ、フォーは北部の名物と認識されていて、南部はフーティウと呼ばれています。フーティウもフォーも同じ米粉麺ですが、フーティウは一度乾燥させているため、裁断すると細長くコシがあるのが特徴となります。また、フォーの出汁は一般的に牛骨か鶏。それに対しフーティウは豚となります。油っぽく甘いスープが特徴。同食堂では日本のラーメンに登場するようなチャーシューが添えられていて、その他には刻み葱やニンジン、もやしなどが具にあります。フォーを食べて物足りない人も、フーティウは口に合うかもしれません。
午前中に行こう
今回紹介したバックヒエンは、家族二人でほそぼそとやっている小規模食堂なので、一日に提供できる量も限られています。昼過ぎの14時、15時に行くと、売り切れている料理も続出するので、できれば午前中に足を運ぶといいでしょう。
<DATA>
名称:バックヒエン(Bac Hien)
住所:111 Hai Ba Trung St. Dist.1
営業時間:早朝~夜(売り切れになるまで)
予算:ご飯(惣菜一品) 2万2000ドン、麺(フォー、ブンボーフエ、ブンリウ、フーティウ、フーティウボーコー) 3万ドン