中北部フエは、1802年~1945年まで歴代13代皇帝によって築かれた町。現在では古都とも呼ばれ、古くから培われた歴史の産物を観光の端々でうかがうことができます。今回紹介するのは、そのフエの町中で食べられるフエ料理。フエ料理といっても種類は豊富なので、1日2日の短期滞在ですべて食べきるのは難しいでしょう。
そこで、今回はフエ現地で是非食べてほしい自慢のご当地グルメを7つ紹介します。
1、バインベオ(Banh Beo)
小さな小皿に米粉の生地を固め、干しエビと刻み葱を添えたフエのシンボル的料理。ヌクマムを垂らし、スプーンで十字に切って食べるのがベトナム流です。食堂でも食べられますが、一枚の大きい平皿に何枚かの生地がのせられてるだけのところも多いので、見栄えはよくありません。小皿を使ったバインベオを見たければ、レストランに行くとしましょう。
このように米粉を蒸して固める料理は他の地方料理ではみられることはなく、フエ独特のスタイルといえます。
2、バインボーロック(Banh Bot Loc)
かつて皇族や高官が王宮で食していたとされる宮廷料理。それがのちに庶民層まで広まったものとされています。タピオカ粉ベースの半透明の生地の中にはエビのむき身が入っていて、ヌクマムにつけて食べます。
いずれもフエ料理は非常に見栄えがいいのが特徴です。それも皇族が嗜んでいた証拠かもしれませんね。ただし、現在一般的にいわれる宮廷料理は、高級食材をつかった料理を指すので、フエ市街地で食べられる料理はどれも「フエ料理」、「宮廷風」です。フエの市街地には皇族の家計が経営しているレストランがあり、そこで宮廷料理が食べられるそうです。
3、バインナム(Banh Nam)
タピオカ粉で生地をつくり、エビのすり身を中に落とし込んでバナナの葉で包んだ料理。こちらもさバインボッロックと同じテイストのフエ独特の調理法です。フエ市街地では食堂やレストランとどこでも食べることができ、現在ではハノイやホーチミンといった都心部でも専門レストランで食べることができるようになりました。つけダレはヌクマムです。
4、コムヘン(Com Hen)
こちらはしじみご飯。ごはんの上にごま、ピーナッツ、レタス、しじみなどが添えられ、別皿で運ばれるヌクマムベースのタレをかけてかき混ぜて食べてください。いわばしじみのぶっかけご飯。味は薄味で、女性の方にもおすすめのヘルシーな料理です。
ちなみに、しじみを素材に使うのもフエ料理の特徴の一つです。ライスペーパーをせんべい状に焼いて、そこにしじみをのせて口に運ぶ料理も人気。前菜もしくはメインとしてでも堪能できます。
5、ブンボーフエ(Bun Bo Hue)
フォーに次ぐ人気麺料理といっても過言ではないでしょう。ブンボーフエは米粉麺のブンに、牛肉がメインの具として添えられています。スープ出汁は牛コツのほか複数のスパイスが使われていて、店によっても味が異なります。フォーやほかの麺料理と比べると濃厚な味が楽しめ、麺は丸太麺。薄味に飽きた方に食べてほしい一品です。
現在ではベトナム全国の屋台や食堂で食べられる定番料理へと発展しています。ただ、できれば本場のフエで味を確かめてほしいので、最低でも一回は食べておいてください。
6、バインコアイ(Banh Khoai)
見た目は南部名物のバインセオ。ただし、バインコアイの方が生地が分厚く、歯ごたえがあります。また、生地は半月上に折られ、その中にたくさんの具が挟まれて運ばれてきます。つけダレはヌクマム、もしくは甘い特性ダレと店によって異なります。
フエ以外のエリアでは、フエ料理専門のレストランに行かない限りは滅多に食べられない料理なので、現地でしっかりと押さえておきましょう。フエからダナンやホーチミン、ハノイに戻ってきたあとに、「そういえば食べ逃した」とならないようにしてください。
7、ネムルイ(Nem Lui)
最後はネムルイ。レモングラスの茎に豚肉のつくねを巻いています。つくねには数種類のスパイスが含まれていて、これを網でじっくりと焼き上げます。そして、野菜や香草と一緒にライスペーパーで巻いて、特性の甘ダレにつけて食べてください。
基本は自分で巻くことになります。手巻き寿司のように野菜を詰めすぎたり、強く巻くとライスペーパーが切れてしまうので注意ください。コツは隙間なく押し込めるように巻くことです。
フエ料理とベトナム料理
無論フエ料理もベトナム料理という広義に含まれているのは確かです。ただし、通常のベトナム料理レストランでフエ料理がメニューに載ることはあまりなく、基本フエ料理を食べたければ、フエ料理の専門のレストランに行かなければなりません。
フエ中心市街地の食堂やレストランは外国人観光客が多いので、どこのお店もここで紹介した一通りの王道料理は揃えているはずです。かつて皇帝が愛したとされるフエ料理を是非その舌で確かめてください。
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