ガイドブックでも観光名所の大半を占める寺院と教会。どこのハノイ、ダナン、ホーチミンとどこの観光エリアであっても、必ず両スポットは名所として外国人に支持されています。しかし、日本人の多くはいわゆる無宗教であり、無神論者。その日本人が寺院や教会を歩くさいは、知っておいてほしいマナーやルール、知識があります。
より安心、充実した観光散策がおくれるよう、事前に当記事を一読してみてください。
フラッシュ撮影は禁止
「最高の一枚を撮るために......」とついついフラッシュをたいて撮影してしまう観光客もちらほら見受けられます。しかし、寺院および教会内部では、仮に禁止の張り紙がなくともフラッシュ撮影はしてはいけません。強い光は教徒の方々に非常に迷惑ですし、ほかの観光客の見学の邪魔にもなります。
「何で?」と考えてはダメ
寺院や教会を見学する際は、場所ごとにルールが設けられていることもあります。例えば、最も多いルールは「露出の大きい服装はダメ」というもの。ブンタウのキリスト像内部やダラットの竹林禅院などが該当します。しかし、このルールに厳密な規定はなく、傍にいる警備員の裁量によるところがあります。
「私はスカートでも通れたけど、彼は短パンでダメだった」、「あの子はノースリーブでも入れたのに......」、「寺院に入るためにストールのレンタル料を請求された」といった苦情もよく見られます。これには筆者も業を煮やすこともありますが、あくまでも我々観光客は部外者であり、お邪魔させてもらっていることを忘れないでください。決めるのは彼らであり、彼らが作るルールは必ず守らなければなりません。
ベトナムは大乗仏教
仏教には大きく分けて大乗仏教と上座部仏教があります。前者はベトナムや日本、後者はラオスやタイです。もうお分かりかもしれませんが、後者の上座部仏教は、非常に戒律が厳しい教えとなります。簡単に説明すれば、大乗仏教は「誰もが天国に行ける」と教え、上座部仏教は「上座部仏教徒しか天国には行けない」という教えとなります。
ベトナムは大乗仏教なので教え自体は緩いですが、足繁く通う熱心な仏教徒は非常に多いため、見学する際は彼らを常に尊重することを心がけて行動してください。
仏像の後ろの電光は「後光」を表している
ベトナム在住の日本人の中には、「ベトナム人は『古き良き』や『趣き』という言葉を知らない」と言う人もいます。ベトナムの仏教寺院で仏像を見学しているときに、ふと感じた違和感。それは仏像の背後で光る電光ではありませんか。
これは後光を表していて、派手好きのベトナム人が考えそうなこと。日本人からすると「ありがたい仏像になんてことを」、「もうパチンコにしか見えない」などと否定的な意見が圧倒的。しかし、それも考え方の違いなので、深く考えないでください。ベトナム人にとって、日本の寺院は「なんだか寂しい」らしいです。
仏教と道教は共存している
ベトナムの仏教寺院内に媽祖と呼ばれる神が祀られているのはよくある光景です。媽祖は道教の神。それが仏教寺院に堂々とあるのはおかしなところ。しかし、釈迦如来像の隣に則天武后の像があったりと、ベトナムでは仏教と道教の境がありません。すべてひとくくりで「仏教寺院」となっています。
参拝方法は日本と異なる
日本とベトナムでは参拝方法も異なります。ベトナムでは長い線香を両手で持って、複数回お辞儀をするように首を垂れるのが基本です。その後線香を立てます。複数個所線香立てがある場合は、すべてを回って少しずつ線香を立てるのが普通なので、一度にあげる線香の配分は考えないといけません。
さらに仏像の前では跪いて両手を合わせます。こちらも日本にはない参拝方法です。いまどきの若い人も仏教徒であれば誰もが行う行為です。ふざけてやってはいけませんが、観光客も見よう見真似でやってみるのは問題ありません。隣のベトナム人がやり方を教えてくれるかもしれませんね。
教会はミサの時間を狙う
教会へ訪れるのであれば、ミサの時間を事前に調べるのが吉。また、ポイントはミサがはじまる少し前に行くことです。厳格な教会であれば、ミサの時間は教会内部に入れないこともあります。ですので、キリスト教徒が集まる独特の雰囲気を体験したい方は、ミサのために開門され人が集まる時間に訪れるのがベスト。
カトリック教徒は信仰心が篤い
ベトナムは仏教大国ではありますが、人口の2割はカトリック教徒。彼らは非常に熱心で、日曜礼拝も欠かしません。さらに、首には十字架のネックレスをして、財布には聖母マリアの写真を入れるのも普通。食事をする前には胸の前で十字を切ってから箸を持ちます。
ちなみに、食事前に日本人がよくやる両手を合わせて「いただきます」という習慣はベトナムにはありません。これをやると、ベトナム人は漏れなく興味深く見てきますので、恥ずかしい方は見合わせましょう。
ベトナムの寺院/教会に一度は行こう
ハノイであればハノイ大教会、ダナンはダナン大聖堂、ホーチミンであれば聖母マリア教会と永厳寺は歴史深く、由緒ある寺院と教会です。観光滞在中いずれかは行って、現地の信仰心をその目で感じてみてください。「何かを強く信じる」という、形容しがたい厳かな雰囲気を体験することができるでしょう。
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