ホーチミンに訪れると、その発展ぶりに驚かされます。近代的な高層タワーが並び、日本人もびっくりするような巨大ショッピングセンターが建ち、ファッショナブルな服を着た若者が町を闊歩する。要所にはフランス統治時代の建築物が威風堂々とその存在感を示し、カメラを向ける観光客で昼夜賑わっています。しかし、それがホーチミンのすべてと思ったら大間違い。ベトナムはまだまだ発展途上国。こんな近代的な町作りが見られるのは、ホーチミンの中心のそのまた一部だけ。
今回はホーチミンの中心地でありながらも、素朴な町並みが見られるエリアを散歩してみたいと思います。
市民劇場からわずか5分に広がる4区の素朴な町並み
旅行者が行き交うのはホーチミンの中の1区と呼ばれる地区。名実ともにホーチミンの心臓部です。その1区からタクシーでほんの5分も南へ走れば、御覧のような素朴な風景を見ることができます。近年は発展に伴いスーパーマーケットやショッピングセンターが増えてきましたが、まだまだすべてのベトナム人に受け入れられているというわけではない様子。毎朝昔馴染みのパパママストアでその日の食材を調達する習慣も根強く残っています。
脚の低い赤いプラスティックチェアに腰を下ろして、小さなテーブルでコーヒーを飲んだり食事をするのも昔ながらの光景。「ベトナム人は路上カフェが好きだから、将来発展していってもこの習慣は消えることはないと思う」というベトナム人も多くいますし、筆者もこういった風景を見るたびにそう感じます。ただ、ここ最近は2020年以降運行開始予定の地下鉄メトロに伴い、歩行者が増えることをうけて路上整備が公安警察の手ではじめられています。路上カフェの習慣自体は消えなくとも、いたるところでもその姿を見るというわけにはいかなくなるかもしれませんね。
庶民の暮らしを見るならゴーバップ区
空港から20分ほど北上したところにあるゴーバップ区は、ホーチミン市のベッドタウン的存在。目抜き通りのワンチョン通りには近年数多くのレストランやショップが並び立つようになり、年々都市化が続いています。しかし、そんなゴーバップ区も突然町並みが変わるわけではありません。ゴーバップ区の中心にあるカイチャム通りやレバント―通りといった大通りでも、いまだに昔ながらの食堂が並び立ち、小奇麗なショッピングセンターや冷房が効いた洒落たカフェはほとんどありません。
川魚はサイゴン川およびメコン川で獲れたもので、海の魚介は主にブンタウ近海で獲れたものが毎日ホーチミンに運ばれてきます。「スーパーで買うよりも新鮮」という理由から、魚介は決まって市場で買うベトナム人も多くいます。レバント―通りには毎朝青空市場が開催され、御覧のように魚介や肉といった生鮮食品を売る露店が100近く並びます。空港からたかだか20分ほど車で走っただけで、このような田舎っぽさが残る風景に出会えるのも、またベトナム旅行の魅力ですね。
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並ぶ数十の露店のほぼすべてが果物をうるお店という、ちょっと珍しい通りがチョロンにあります。チョロンは観光エリアにもなっている5区と6区に跨る中華街。日本の横浜中華街と言えば、煌びやかで中国らしい通りですが、ホーチミンの中華街はどちらかというと、下町といった風情。そのチョロンの中心にあるチャントゥー通りでは、毎朝御覧のような果物の青空市場を見学することができます。旅行者も多く行き交い、食べ歩きをしている様子もうかがえます。
日用品、台所用品、化学薬品などあらゆる品が手に入る市場がチョロンのキムビエン市場です。ベンタイン市場と雰囲気はまるで異なり、現地人が行き交う雑多な空気。卸売りの一面もあるので、段ボールに大量に購入していく店主もしばしば見かけます。旅行者は雰囲気だけでも楽しめることでしょう。
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ホーチミンの本当の顔を知る旅を
1区のドンコイエリアだけを歩いていたら、「ベトナムはなんて発展している国なんだ」と思うでしょう。しかし、ベトナムの本当の姿を見たければ、少し遠くを歩いてみてはいかがでしょうか。ベトナムの本当の今の姿を見ることができます。