シェムリアップは年間18万人の日本人旅行者が訪れるカンボジアの象徴都市。首都はプノンペンですが、旅行者にとっては世界遺産のアンコールワットが眠るシェムリアップが第一都市となります。そこで、今回はシェムリアップをさらに知ってもらうために、町の歴史を含む概要をご紹介します。
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シェムリアップの場所
シェムリアップは首都プノンペンから北西へ約300km進んだところに位置する人口約19万人の町。カンボジアといえばこの町をイメージする人も多いように、外国人にとってはプノンペンよりも知名度が高く、アンコールワットというカンボジア最大の観光資源が大きな役目を担ってくれているのが現状。カンボジアの一人当たりのGDPはおよそ1200ドル(年収)。月収100ドル前後が平均ですが、その中でもシェムリアップに出稼ぎにやってくるカンボジア人が多いのは、観光業が発達しているからといえるでしょう。
フランスの植民地時代の面影は......
町の中心にあるオールドマーケット。20世紀フランス統治下時代の産物で、フランス建築によって建てられました。ただし、隣のベトナムのようにいたるところにコロニアル建築の建物が見られるわけではないよう。フランス建築を比較的強く受けたのは首都プノンペン。プノンペン工科大学やプノンペン大学、外語大学などにフランス人建築家のル・コルビュジエ氏の設計が見られます。旅行者にとってはプチパリ風情よりも、ザ・東南アジアといった常夏を象徴する町並みを歩くことができるでしょう。
近年は都市発展が著しい
クメールルージュによる支配を受けていたときは、多くのカンボジア人が農村で重労働を強制されました。現在でも中心から車で10分も走れば畑や野原が広がる田舎風景が広がり、決して発展都市ではないことが分かります。
ただし、観光業は順調に伸びていて、世界遺産のアンコールワットやアンコールトム、ロリュオス遺跡といった先人の遺産が現在のシェムリアップの経済を支えているのが実情。それに伴いスーパーマーケットや高級ホテルなども立ち並ぶようになり、ちょっとしたバブル期に突入している様子がうかがえます。
気候
シェムリアップの気候は南国独特の常夏の気候。月別でみても、平均最高気温で30度を下回る月はありません。1年を通して乾季と雨季の2つに区分けされ、一般的に5月~11月までが雨季、12月~4月までが乾季に相当。これはベトナムのホーチミンやタイのバンコクとほぼ同様です。
シェムリアップの観光の中心は遺跡巡りとなるので、旅行のハイシーズンは乾季の時期です。ただし、東南アジア最大の湖であるトンレサップ湖は乾季の時期は水が干上がるため、特徴的な水上家屋や美しい湖を見ることができるのは雨季の期間に限定されます。
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どこでも見かける高床式住居
カンボジア建築の代表で、伝統建築ともいえる「高床式住居」。日本人からすると、「弥生時代みたい」と思われるかもしれませんが、カンボジアの気候を鑑みた合理的な作りでもあります。
カンボジアは常夏の国で、多くの家庭には冷房はありません。そこで、住居を高くすることによって風の通りをよくして、涼むことができます。また、道路インフラがまだ未発展なので、雨季の時期は道路が冠水して一体が水没してしまうことが多々あります。そのため高床式は現地人にとっては必須の建築となるのです。この住居は町の郊外のいたるところで見ることができ、トンレサップ湖傍の村では高床式住居がずらっと並ぶ光景もみることができます。
文化
カンボジアには古くから伝わる古典舞踊がいくつかあり、それらはユネスコの世界無形文化遺産に指定されています。観光資源としていまも生き、旅行者が鑑賞できる象徴的な舞踊は「アプサラダンス」。かつて宮廷の人々に愛でられていた舞踊で、アプサラとは天女を意味します。アプサラダンスをディナーを取りながら鑑賞できるレストランがシェムリアップ市内にいくつかあり、いずれも観光客向けとなっています。
[local, 513]スバクエコーと呼ばれる影絵芝居もカンボジアを代表する文化遺産の一つ。その多くはラーマヤナ物語の一説を舞台にしたもの。写真上のこちらはラーマヤナ物語の序章。シータ王女が魔王にさらわれる場面を演じています。ラーマヤナ物語やヒンズーといえばインドを真っ先に思い浮かべるものですが、東南アジアにはインドの文化と宗教を組む「インド化」された都市がいくつかあり、シェムリアップのアンコール時代もその一つでした。
こちらの影絵芝居もディナー鑑賞できるお店が市内にいくつかあります。
観光の中心地
シェムリアップの市街地はシヴァタ(Sivatha)通りをメインストリート。同通りの両脇には多くのマーケットが広がり、ナイトマーケットに繋がるパブストリートは旅行者にとっての最大の繁華街となります。マッサージ店やバー、レストラン、カフェ、ツアーデスクにお土産店などが軒を連ね、観光名所以外の市内散策やショッピングは基本はこの界隈となります。
観光都市として発展しているといっても、それはまだ90年代からはじまったばかりのこと。パブストリートやナイトマーケット、オールドマーケットがある1ブロックないし2ブロックが観光散策のすべてであり、あとは各遺跡名所の近くに観光客やツアー向けのクメール料理レストランが点々としている程度となります。
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ただし、カンボジア観光客の多くは2泊程度なので、遺跡周遊に1日ないし1日半、半日と夜は町の散策に当てると考えれば、ちょうどいい町の規模とも言えます。観光都市としてはある程度完成されているので、旅慣れていない旅行者も有意義な滞在をおくることができるかと思います。
まとめ
確かにシェムリアップの象徴はアンコールワットに他なりませんが、その他文化体験や繁華街、市場の散策、スパ&マッサージなど、遺跡巡り以外でも充実した滞在をおくることができます。カンボジア旅行を計画されている方は、自由時間でどこに行くのかを事前に調べておくことを強くおすすめします。
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