ホーチミンはベトナム戦争以前までは「サイゴン」と呼ばれていました。まだいまほど人が多くなく、また空に突き抜けるような建物もなければスーパーもなかった時代です。現在のホーチミンを歩いていると想像はできないかと思いますが、つい40年前まではそんな時代だったのです。
今回紹介する「オールドデイズ」は、そんなサイゴン時代がどんなだったのかを教えてくれる食堂です。食堂といっても場所はバックパッカー街なので、来る客はほぼ外国人観光客。誰でも気軽に足を運ぶことができます。
アクセス
場所はバックパッカーの聖地、ファングーラオ。そのメインストリートであるブイビエン通り沿いにあります。ベンタイン市場からは徒歩で10分強。ドンコイエリアや聖母マリア教会周辺から行く場合は、タクシーに乗ってもいいかと思います。
ブイビエン通りは左右両側にびっしりとお店が並ぶ一本道で、オールドデイズは右側に見える御覧の外観。坪数は少ない上、どこも似たようなお店ばかりなので、見落とさないようにしっかりと番地を追うようにしましょう。
サイゴン時代に還る、古き良き趣き
内装はワンフロア。彫刻で模様された木造りの椅子にテーブル、奥には古めかしいブラウン管テレビやラジオなどがアンティークで飾られています。収容人数は10人程度の小ぢんまりしたお店。
食堂というよりは、ベトナムの一般平屋の家に近い内装と雰囲気。それがオールドデイズの最大の特徴となります。
壁のイラストはサイゴンの一コマ。白い上衣に黒の下衣は伝統衣装のアオザイ。主に学生の制服として着用され、学生は冠婚葬祭の正装とも認識されています。サイゴン時代を知るベトナム人は、「サイゴンはいまほど人もバイクも多くなかった」といいます。
都心であってものどかな風景が広がり、御覧のような平屋の家々が続く。そんな町がサイゴンでした。現在でもここにあるテーブルや椅子は多くの家庭で使われています。テーブル椅子で数十万円はしますが、なにより丈夫で長く使えるとベトナム人はいいます。
無造作に置かれている装飾品も、実は非常に価値が高いものであったりもします。現在では一般家庭では見かけなくなったこちらの陶磁器は、ハノイのバッチャン焼き。お土産では外国人に人気ですが、現地人にとっては高価なものとして扱われています。バッチャン焼きは15~16世紀に繁栄し、中国由来の技術でありながら、ベトナム独自の自由な発想と融合して、諸外国から重宝されました。当時は庶民から貴族階級まで隔てなくバッチャン焼きは浸透していき、各家庭でも一つはありましたが、輸入により技術のより高い諸外国の陶器を使うようになってからは、伝統に陰りが生じるようになりました。
バックパッカーらしく屋外で食事を
屋内席でベトナムの古き良き時代に浸りながら食事をするのもいいですが、バックパッカーのように外の席でブイビエンの雑踏を眺めながらとる食事も捨てがたいものです。一応屋根はありますが、日中はちょっと暑いかもしれません。
ベトナム料理を食す
食事は純ベトナム料理がメイン。欧米人用にハンバーガーなど西洋料理も多少取り扱っていますが、品切れのときも多く、やはりベトナム料理をメインにしている様子です。料理は麺よりご飯物がおすすめで、豚肉やチキンが添えられているコムタムやコムガーなどが人気。またベトナム伝統のマンゴーサラダ、パパイヤサラダなどもそろえているほか、野菜料理も豊富。豆腐を素材に使ったヘルシーなものや、空心菜のニンニク炒めというベトナム料理の王道は旅行者には是非食べていただきたい一品です。
夜はビールを飲みながら楽しもう!
もしビールを飲みながら食事をしたいということであれば、気温が下がる夜を待ってみるのもいいかもしれません。夜のバックパッカー街はベトナム人の若者と外国人で大盛り上がり。路上にはびっしりとテーブルとイスが並んで、毎夜賑わっています。オールドデイズでは無料でカラオケを楽しむこともでき、陽気なベトナム人が流行りの歌を唄っているのもいつもの光景。ほろ酔いになってきたら、みなさんも歌ってみてはいかがでしょうか。
<DATA>
名称:オールドデイズ(Old day)
住所:140 Bui Vien St. Dist.1
営業時間:7:00~翌3:00