ホーチミンから車で約2時間ほど郊外へ走ると見えてくる湿地帯。それが今回紹介する「カンザー(Can Gio)」です。南部の発音だと「カンヨー」と聞こえます。ベトナムのガイドブックでもあまり紹介されていないので、旅行者にとっては秘境のような場所となるでしょう。近年はホーチミンから日帰りのツアーも催行しているので比較的行きやすくなっています。大都会のホーチミン観光に飽きた方は、マイナスイオンを享受しにカンザーに足を運んでみてはいかがでしょうか。
アクセス
ホーチミンからカンザーまで行く方法は2つ。1つは「ツアーで参加」、もう1つは「個人で行く」方法です。
ツアーで行く場合はバス
ツアーで行く場合はホーチミン現地の旅行会社から申し込むことができます。どこのツアーも日帰りでマングローブとモンキーアイランドを楽しむことができますが、逆にツアーによってスケジュールに違いはないので、どこの旅行会社に申し込んでもほぼ同じルートとなるでしょう。現地までの所要時間は2時間ですが、ビギナー旅行者が個人で行くのは少し困難なので、ツアーは無難な選択肢となります。
個人で行くなら船を利用!
現地人はバスではなくバイクでカンザーまで行きます。2区にはフェリー乗り場があり、そこからバイクや車ごと行くことができます。港湾エリアなので、独特の港の雰囲気が漂っていて異国情緒感じます。車をチャーターしたときも、基本はこのフェリーに乗っていくことがほとんどです。所要時間は10分程度。対岸までとなり、そこから再び走ります。難易度は高めですが、これ以上にないほどのベトナム旅らしい時間をおくることができますので、旅に慣れている方はこちらが断然おすすめとなります。
現地での移動手段
カンザー現地での移動手段は現地でタクシーを探すのがいいでしょう。車をホーチミンからチャーターしているのであれば、無論それを利用してください。カンザーで行く名所は限られているので、タクシーでもいいでしょう。また、各スポットで待ってもらう必要があるかと思うので、メーターではなく定額の交渉をするのもおすすめです。
押さえておきたい名物料理
カンザーで食べておきたい料理といえば、シーフード。ホーチミン市内や港町のブンタウなどで食べるよりもはるかに安い現地価格で食べることができます。ホテルのシーフードは高いので、おすすめは市場。タライに泳いでいる魚介を指さして注文してください。言葉が通じなければ、調理法はお任せで十分。一番おいしいと思われる方法で提供してくれます。
こちらは「ユアヌック(Dua nuoc)」と呼ばれる植物。実の中身の透明な個体をくりぬいて、砂糖水につけた飲み物です。芋のような食感ですが、日本人にとっては新しい感覚の食べ物なので、押さえておいてほしい一品です。屋台で食べることができます。
ホテルはここが一押し
カンザーで一泊を考えているのであれば、おすすめは「カンザーリゾート」という3つ星ホテル。というのも、日本人旅行者が満足できるまともなホテルはカンザーにはほとんどありませんので、必然的に宿泊するのであればここになります。バンガロータイプ、ホテル客室タイプ双方あり、レストランも併設して朝食はビュッフェ形式となります。プール沿いにあるので南国の雰囲気も抜群です。また、ビーチも目の前にあり、正面には夜遅くまでやっている市場があり、ここでシーフードを食べることができます。
観光スポットを紹介
カンザーの観光スポットは少ないので、道中自分なりの楽しみ方を考えてみるといいでしょう。車で走っていて気になったところで止まって風景を愛でたり、屋台でまったりするのも旅の醍醐味。ビーチで半日いるのもいいですし、名所を巡って夕方にホーチミン市内に帰ってくるのもいいでしょう。
モンキーアイランド
モンキーアイランドはその名のとおり敷地内に猿が数百匹と暮らす、まさに猿の町。500mほどの一本道沿いには猿がうじゃうじゃいて、すべてが放し飼いです。「しっかりと調教されているから人を襲ったりはしないでしょ」と思わないでください。ここはベトナム。すべてがてきとうです。カメラやスマートホン、眼鏡、サングラス、ポーチといった服飾品は注意して携行しないと、かなりの確率で狙われます。道を往復している間に3度くらい人の悲鳴を聞くことができるでしょう。
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マングローブ
カンザーの名物ともいえるマングローブの森は観光地化されていて、マングローブの見物以外にも「鹿との交流」、「ボートによる川下り」、「ワニ釣り」、「吊り橋わたり」といったアトラクションがあります。時間がなければマングローブだけでもかまいませんが、余裕がある方はこちらも楽しんでいってください。
ベトナム戦争でアメリカ軍が撒いた枯葉剤によって、4万ヘクタールのマングローブが枯れてしまいましたが、自然を大切にするベトナム人やNGO団体の協力などを経て、現在ではその4分の3まで回復されたとされています。マングローブとは植物固有の名前ではなく、河口で育ち満潮時にも干潮時にも根をはれる植物の総称です。
この湿地帯全域にマングローブが根をはり、まるでジャングルのように水面から木々が突き出ている様子をボートから見ることができます。また、このあたりはコウモリの棲み処でもあるため、運がよければ昼間でも飛んでいる姿を見ることができるかもしれません。
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塩田
こちらは塩田。海水を天日干しすることによって蒸発させて塩を作る単純な方法。日本ではほとんど姿も見せず、現在では産業施設として全国にわずかながら点在している程度。しかし、ここでは現役で塩田を生計の糧にしている家庭がたくさんあります。塩田はマングローブの場所に行く道中に広がっていますので、ツアーでは融通が利きませんが、もし個人旅行であれば、車から降りてしばし見学してみてください。
4月30日ビーチ
ビーチはカンザーリゾートの目の前にある4月30日ビーチがおすすめ。波が小さいので子供でも遊ばせることができますが、お世辞にもきれいとあ言えないので、海は眺めるだけにとどめておいて、砂浜に広がるパラソルのデッキチェアに腰かけてのんびりとしましょう。また、ビーチの近くには屋台通りがあり、そこでもシーフードを食べることができます。ここで買って砂浜のデッキチェアで食事をとるのも可能です。
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ハンユン市場
カンザーリゾートホテルの目の前にある市場です。市場周辺にも屋台や個人商店が並んでいて、日用品の調達もここでできます。市場の屋内にはタライに魚介が活けてあり、指さしで注文することができます。扱っている魚介はどこも同じですが、店によって値段は違いますので、まずは一通り値段を聞いて歩きましょう。日帰りの方も泊まりの方もここでシーフードを食べるのがおすすめ。ベトナムらしい雰囲気も味わえますし、何よりも安いです。
また、カンザーにはほかにおすすめできるようなレストランがありません。冷房の効いた屋内で静かにディナーをとりたいと考えているのであれば、ホーチミン市内に戻るまで食事は我慢してください。
ホーチミンから日帰りで自然を満喫
自然を感じるツアーといえば、メコンデルタを真っ先にイメージしますが、マングローブを愛でるエコ・ツーリズムもいいのではないでしょうか。ホーチミン市内中心から約2時間と比較的近いので、ツアーを利用すれば旅行者にも敷板はそれほど高くない郊外エリアとなるでしょう。
[local, 296]
[basic, 290]