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ベトナムの歴史を追う。ハノイ「国立歴史博物館」

ベトナムの歴史を知りたければ、まずはここに来るべきと言っていい博物館が、今回紹介する「国立歴史博物館」です。政治の都ハノイにおいて、博物館といえばホーチミン氏やベトナム戦争、フランス統治時代がテーマのものが多いですが、国立歴史博物館では、先史時代から遡って近代までを網羅しています。また、海洋国家として栄えた貴重なチャンパ王国の遺産も展示。全体的にフランス色香る洒落たフロア構成となっています。

歴史ある国家「ベトナム」の魅力

ベトナムは、昔から他国による侵略と戦い続けてきた国です。ベトナムといえば「ベトナム戦争」というイメージが強く、戦争関連の博物館も多く存在しますが、ベトナムの歴史は戦争だけではありません。様々な民族が点在する多民族国家ベトナムには、古代から素晴らしい文化が栄えてきました。歴史ある国家「ベトナム」の魅力をもっともっと知るのであれば、ハノイ「国立歴史博物館」がお勧め。戦争博物館とは異なり、古代から現代までのベトナムの歩んできた道を知ることができます。ハノイで一番美しいと言われるその博物館へ、観光名所の1つとして立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

歴史深い建築物

IMG_9963.JPG外観。敷地面積は広い

敷地は1876年にハノイ政府がフランスに譲渡した最初の土地。それ以後はフランス管轄地として、フランス領事館が置かれていた時期もありました。現在の建物は1932年に建てられたもので、伝統的な「インドシナ建築」として注目されています。

フロア構成

IMG_0004.JPG近代的なフロア内

フロアは2階建てで1階は旧石器時代から李朝時代までの遺産を展示。2階はそれ以降のグエン王朝、抗仏、ベトナム戦争の近代までの遺産と当時の様子を紹介しています。また、併せてチャンパ王国の出土品も展示。他の博物館よりも破損が見られない一級品が多く展示されているのが特徴です。

IMG_0025.JPG学習熱心な学生

周辺を見渡すと、現地の学生の姿もちらほらとうかがえます。ここで課外実習をしているようで、聞くところによるとベトナムの歴史を勉強している文系大学の学生たちでした。当博物館の場所はホアンキエム湖南方に位置し、立地もいいため、周辺には学生が多く集まる公園もあります。旅行者は見学前後に周辺散策してみるのもいいかもしれませんね。

美しい出土品にベトナムの歴史を映す

IMG_0034.JPG旧石器時代はいまから2万年前にさかのぼる

ベトナムは旧石器時代からはじまり、新石器時代、古代文郎国、甌?(アウラク)国などが古代史として挙げられます。中には伝説めいた言い伝えや国家もありますが、ここで展示されている中には4000年前ほどの打製石器などもあり、ベトナムの歴史の長さをうかがうことができます。

展示品にはベトナム語と英語による解説文があります。かなりの点数となるので、すべてをくまなく見て回るのはしんどいかと思うので、歩きながら目ぼしいところ立ち止まる、といった回り方がいいでしょう。

IMG_0017.JPG現地の学生が多い
IMG_0020.JPGゲーアン、ハーティン、クアンビンで発掘された4000年ほど前の遺産

「蓮」と「龍」の模様が多い理由は?

IMG_0083.JPGバッチャン焼きでも蓮模様が多い

こちらのセラミックポットには、蓮(ロータス)と龍(ドラゴン)の文様が施されています。ベトナムでは蓮は国花として讃えられており、ベトナム人は、自分たちは龍の子孫だと考えています。これは国造りのおとぎ話が由来しているもので、ベトナムのいびつな地形も昇り龍に似ていますし、かつてハノイの旧首都はタンロンでした。タンロンはベトナム語で「龍」を意味しています。

IMG_0011.JPG左の器が蓮を模した土器

チャンパ王国の遺産

IMG_0069.JPGチャンパにはまだまだ謎部分も多い

カンボジア、インドネシアといった東南アジアの国では、ヒンドゥー教徒も多く、日本人にとってはエキゾチックな場所として映ります。ベトナムは仏教国ですが、19世紀前半まで栄えた海洋国家チャンパ王国は、ヒンドゥー教でした。ここでは、チャンパ王国が各地に残した貴重な遺産の数々を展示しています。

IMG_0061.JPG保存品質が非常に高いガルーダ像

現在ベトナムの中部、中南部、メコンデルタ地方に居住している少数民族のチャム族は、チャンパ王国の子孫と言われています。チャム族の人々に直接聞いてみる機会があったのですが、やはり彼らもそう信じている様子です。チャム族の中でもヒンドゥー教信仰をしているのは中部中南部のチャム族で、メコンデルタのチャウドックに暮らしているチャム族はイスラム教信仰となり、性質が異なる一面も。

まとめ

IMG_9990.JPG館内は空調管理も完備されていて見学しやすい

ハノイには女性博物館、ホアロー収容所、民族学博物館、ホーチミン博物館などいくつもの博物館が点在していますが、ベトナムの歴史を網羅しているのはここだけ。「抗仏、ベトナム戦争には興味ない」、「純粋にベトナムの歴史を知りたい」といった旅行者には、こちらの博物館がおすすめです。ちなみに、同じ名前の博物館がもう一つあるので、行くときは注意してください。

<DATA>

名称:国立歴史博物館(Bao tang Lich su Quoc gia)
住所:1 Trang Tien St. Hanoi
営業時間:8:00~12:00、13:30~17:00
休館日:第1月曜日

[local, 602]

著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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