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ゲリラ戦が展開された「クチトンネル」

クチはホーチミン北部に位置する郊外エリアで、ホーチミン旅行ではクチトンネルツアーがよく組まれています。クチトンネルとは、全長250kmにも及ぶ巨大な地下トンネル。フランス統治時代に作られたとされ、1960年以降はベトナム戦争で活躍します。現在は政府が保護しており、一部分を旅行客に一般公開しています。ホーチミン旅行の王道でもあるクチトンネルをご紹介します。

ツアー参加がおすすめ

クチトンネルまでは、車で90分ほどの距離で、ローカルバスでも行くことはできますが、個人で行っても説明を受けられないので十分理解することはできません。旅行会社では、クチトンネルのみのツアーもあれば、カオダイ教総本山やメコンデルタといった郊外エリアと併せて1日ツアーが組まれているところも多くあります。少しハードスケジュールかもしれませんが、1日で郊外エリアを網羅できるので、ツアーに参加することを強くおすすめします。

密林に覆われたクチトンネル

IMG_6899.jpg説明では250kmと記載しているが、実際の全長は誰も分かっていない

クチトンネルは南ベトナム開放民族戦線という軍のような組織がアメリカとの対峙で使われました。この南ベトナム開放民族戦線は、アメリカ側が差別的な意味を込めて「ベトコン」と呼んでいました。ただし、現在ではベトコンが一般的になっていますので、ベトナム人にベトコンという言葉を使ってもなんら問題はありません。

南ベトナム開放民族戦線は、いうなれば南ベトナム政府に反対する組織です。当時南ベトナムはフランスの統治下にありましたが、民意は全く無視され、完全な独裁政権でした。アメリカ側は南ベトナムに加担したのは、北ベトナムがソ連と手を組んでいたからです。当時ソ連とアメリカは冷戦状態でした。

IMG_6967.jpg手つかずの密林。いまだ地雷が残っているともいわれている

見学ルートは決まっているので、必ずツアーガイドの指示にしたがってください。本当か嘘か、この一帯はまだ地雷が残っている可能性があると言われていますし、ゲリラ戦で利用された毒蛇が密林にまだ生息しています。


地下トンネルの存在は当然米軍も知っていましたが、ダミーも含めて無数にあるトンネルを一つずつ潰していくのは不可能だったほか、とても小さな穴なので、大柄のアメリカ人は入ることすらできませんでした。結局アメリカ軍は最後まで攻略ができず、撤退を余儀なくされました。

ブービートラップ

IMG_6921.jpgトラップはすべて模型

クチトンネル敷地内では、当時使われていたブービートラップを見学することができます。トラップで一般的なのは、写真上のような、何かの拍子で鉄針が体の一部に刺さるというものです。鉄針には蛇の猛毒が塗られているので、軽い軽傷であっても、20分から40分で死に至らしめることができました。また、毒が回らなくとも体は麻痺するので、米軍の足を引っ張ることに成功し、その間に奇襲攻撃を仕掛けることができました。

IMG_6951.jpg一度入ると抜け出せない。もちろん針には毒が仕込まれている

このようなシンプルな方法は非常に効果的でした。密林の中ではどんなに注意しても足元を掬われるときがありますし、いつベトコンが背後に回ってくるかもわからないという緊張感のもと、集中力はどうしても散漫になってしまいました。

ベトコンにはスパイもいた

IMG_6932.jpg危険なスパイの役は女性だった

南ベトナム軍に扮したベトコンは、米軍に歩み寄り、作戦の同行を聞いたり、ときには奇襲攻撃をかけたりしました。スパイは主に女性が多く、米軍に安心させることが目的と思われます。

IMG_6961.jpg緊張感が伝わってくる

こちらは何をしているか分かりますか?

これは米軍が落としていった銃や不発弾を基地に持ち込み、解体の後、火薬を抜き取っている作業現場です。ベトコンの武器はシンプルなものでしたが、これが一番使いやすかったため、米軍が落としていった最新兵器は使いませんでした。ですので、火薬だけを抜き取って、自分たちの重火器に移し替えたのです。

IMG_6940.jpg戦車は模型ではなく実物

こちらは地雷を踏んでキャタピラが破損して動かなくなった戦車。戦車に乗って記念撮影をすることもできます。

クチトンネルの内部へ潜入!

IMG_7003.jpg入口は複数ある

クチトンネルは全長250km以上で、その全貌は政府ですら把握できていません。トンネル内部には会議室、指令室、キッチン、シアタールーム、寝室となんでも揃っていました。しかし、決して快適な生活を送っていたわけではなく、感染症でたちまち何十人のベトコンが死んでしまうこともありました。とはいえ、娯楽もあり、戦争の合間には地上にでて、女性による舞踊鑑賞などに心躍らせていました。

IMG_7006.jpg身をかがめなければ歩けない

歩くことができるトンネル内部は複数あり、それぞれ歩く距離が異なります。おすすめなのは一番短い距離のトンネルです。中に何があるわけではなく、身をかがめて、ひたすら真っ暗闇のトンネルを歩かなければなりません。かなり体力が要ります。

トンネル生活がいかに過酷だったということを物語っています。

ライフルの試し撃ちもできる

IMG_6984.jpgアサルトライフルはミリオタには堪らない

ライフルや機関銃の試し撃ちができる場所もあります。こちらはツアーに参加していても、別途料金がかかりますので、各自自由に行ってください。ただし、ちょっと不安な方はおすすめしません。こちらは本物の銃なので、非常に大きな銃声がします。テレビドラマとは異なり、稲妻が走るような轟音で、実際鼓膜に支障をきたす旅行者もいるほどです。試射場に入ったら、すぐにイヤープロテクターを装着してください。

一度は訪れてほしいクチトンネル

クチトンネルはベトナム戦争を予習しておかなくとも楽しめます。ツアーに参加すれば、ガイドが細かく教えてくれますし、敷地内にはクチトンネルを紹介するビデオ(日本語)も上映されています。面白おかしくベトナム戦争を知ることができる観光名所なので、是非足を運んでみてください。

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名称:クチトンネル(Cu Chi Tunnel)
住所:Phu Hiep Hamlet, Phu My Hung Commune, Cu Chi
電話番号:08-3794-8830

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著者プロフィール

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ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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