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ドンホー版画
ドンホー版画はベトナム北部、バクニン省ドンホー村で作られている伝統的な版画です。16世紀から製作されるようになり、500年近い歴史があります。版画に書かれている画にはベトナム人の文化や風物詩、風刺といった日常が反映されています。他の版画とは違い、インスピレーションで描かれているため画家の名前が表に出ることはほとんどありません。
画材には全て自然で出来た素材が使われています。紙はゾーという木の皮から作られ、絵の具は木や石、貝や花から作られます。基本となる色は緑、白、赤、黄、黒で、そこから様々な色が混ぜ合わされるのです。一日に一色しか塗らないため、五色塗るには五日ほどかかります。この絵具は日光の下に晒されても色褪せない特徴を持っています。
しかし、フランスの植民地時代や度重なる戦争により作り手が減少、現在、ドンホー版画製作で生計を立てているのはわずかに2軒しかないようです。海外からの観光客にとってはお土産の定番として知られていますが、現地の人々にとってドンホー版画はお正月のお祝いのために購入するものです。ですので、現状としては版画の購入者のほとんどが観光客になっています。