ベトナムはおろか「海外旅行が初めて!」という方は、ガイドブックに沿って王道プランを楽しむ傾向にあります。ホーチミンには世界遺産もなければ、景勝地といえるところもありません。名所と言える施設は仏教寺院や教会、博物館といったところ。ゆえに、「ホーチミンを楽しみにしていたけど、何をすればいいの?」と貴重な滞在時間を持て余している旅行者をよく見かけます。
そこで、今回はホーチミン旅行の楽しみ方と押さえておくべきエリアをご紹介します。
移動方法は徒歩とタクシー
ホーチミン市内の主な移動方法は徒歩およびタクシーとなります。ドンコイエリアからコンサーパリス、さらにベンタイン市場までは歩くことができます。ドンコイエリアからバックパッカー街まではタクシーで行くようにしましょう。
ドンコイ~(徒歩)~コンサーパリス
ドンコイ~(徒歩)~ベンタイン市場
ドンコイ~(徒歩)~パスター通り
ドンコイ~(タクシー)~バックパッカー街
ベンタイン市場~(徒歩)~バックパッカー街
名所よりも道&店歩き
ホーチミン旅行の楽しみ方は、「名所回りよりも、通りと店巡り」です。事前調査もなしでホーチミンに来てしまうと、どこの店に行けばいいのか、どこの道、エリアがおすすめなのかすら分かりません。そこで、ここではビギナー向けの王道観光エリアをご紹介したいと思います。
超王道の「ドンコイ」エリア
初めてのホーチミン旅行者の99.9%は行くと思われるドンコイエリア。市民劇場を中心に東のサイゴン川に向かって伸びるメインストリートは「ドンコイ通り」です。両側にはホテル、レストラン、雑貨店、カフェ、マッサージ店が並んでいて、「ホーチミンの銀座」、「プチパリ」などと称えられています。そのドンコイ通りから枝状に伸びているのが「ドンユー通り」、「マックチブオイ通り」、「ゴードゥッケー通り」など。こちらにも多数の店が並んでいます。
さらにドンコイ通りと平行して走る「グエンフエ通り」は、人民委員会庁舎からサイゴン川まで続く歩行者天国。現地人や旅行者双方が行き交い、夜は建物や中央噴水がライトアップされて、ちょっとしたナイトスポットとなります。
ドンコイ通りとグエンフエ通り周辺を総称して「ドンコイエリア」と呼びますが、旅行者の多くはこのドンコイエリアのホテルに滞在するはずです。この界隈には4つ~5つ星の高級ホテルが点在していて、宿泊者の8割は日本人といったホテルもあります。市民劇場は名実ともに旅の拠点となるので、ビギナー旅行者は「暇があればドンコイエリアを歩く」と覚えておくといいでしょう。
プチパリの建物なら「コンサーパリス」
ホーチミンにプチパリの風景をイメージしている方も多いでしょう。100年以上フランスの統治下時代をおくっていた南ベトナムでは、現在も当時フランス人が建てた西洋風の建物があります。その要所となるのがコンサーパリス通りです。行き方は簡単で、ドンコイ通りを雑貨街の東ではなく、西側へ歩くとすぐに見えてきます。
このエリアには植民地時代に建てられた聖母マリア教会と中央郵便局があります。裏手にはこれもまた西洋風の外観のダイヤモンドプラザ。さらに芝生の広がる4月30日公園の傍には洒落た内外装の西洋風カフェが並んでいます。
お洒落カフェのわきを歩いていると、じきに見えてくるのが統一会堂。施設の中ではホーチミン最大の名所と言っていいでしょう。南ベトナム時代の大統領府であり、ベトナム戦争終結の場です。現在も国際会議の場として利用されています。一部は見学可能で、大統領官邸時代の会議室、映画館、図書館、暗号解読室、婦人の寝室、庭園などを見ることができます。
旅行者と現地人が行き交う「パスター通り」
統一会堂と聖母マリア教会に挟まれた南北に走る大通りが「パスター通り」。かなり長い距離で、南側は主に旅行者向けのオーダーメイド店や雑貨店、レストランが並んでいます。日系ショップもあるので、日本語が話せる従業員が多いのが特徴です。
北に向かって歩くと、徐々に現地色濃い風景へと変わっていき、現地人に人気の大衆食堂やフォー専門店、ガイドブックには掲載されていない小さなお洒落喫茶などを発見することができます。端まで歩くのはかなり体力が必要なので、疲れたら次のスポットまでタクシーを利用するつもりでいましょう。
雑貨店で買い物
女性心をくすぐるキュートな雑貨。それがベトナム雑貨の魅力です。日本人オーナーの雑貨店は、日本人女性のトレンドに合わせたデザインのものを多く取り揃えているので、よりファッショナブルな服飾雑貨を見つけることができるでしょう。
最近はお店独自のオリジナル雑貨を扱うところが多いので、お店をひとしきり回って買うアイテムを決めるよりは、その都度名についたものはカゴに入れて即買いするのがいいでしょう。もちろんお財布とは相談してくださいね。
ベンタイン市場とその周辺
市民劇場から徒歩10分、タクシーで3分程度で行けるベンタイン市場は、ホーチミン観光の象徴とも言える名所です。その市場の周辺にもレストラン、食堂、ネイルサロン、ホテルなどが多数点在。ドンコイエリアと並ぶ一大観光エリアとなります。
ベンタイン市場内は4000以上の店がひしめきあっていると言われています。定番雑貨から服飾アクセサリー、模造品まであります。近年は値段のシールをつけた商品も多く見受けられますが、店に「Fix Price」との記載がない限りは、定価はあってないようなもの。必ず値段交渉をしましょう。
ナイトマーケットは必ず一度は行くべき
夜18時30分以降は、ベンタイン市場の回りにてナイトマーケットが開催されます。市場自体は閉まっているので注意してください。ナイトマーケットではエスニック系の雑貨から、洋服、アクセサリーが売りに出されるほか、ベトナム名物料理や海鮮を扱う食堂もならびます。「アジアの夜」といった雰囲気が漂い、南国気分に浸かることができますので、滞在中1度は訪れて楽しんでほしいところです。
世界中の旅行者が集う「バックパッカー街」
カオサンを一回り小さくした規模のバックパッカー街。「ファングーラオ」。「ファングーラオ通り」、「デタム通り」、「ブイビエン通り」をメインストリートに構成されています。日中は旅行客が観光に外出しているので、それほど人通りは多くはありません。本番となるのは夜以降。ブイビエン通りの歩道はプラスティックの椅子が置かれ、そこでビールを傾ける旅行者やベトナム人で毎晩にぎわっています。多国籍、多人種が行き交うエリアなので、刺激的な時間をおくることができるでしょう。夜のみ営業のナイトバーも多数並んでいるほか、雑貨店、レストラン、マッサージ店もあります。
ツアー探しもここで
ツアーに参加するなら、ツアーデスクで申し込みましょう。ツアーデスクが並ぶのはファングーラオ通りとデタム通り。デタム通りには日系もあります。それ以外は英語ツアーとなりますが、料金は安いです。HISやJTBといった日系の大手旅行会社はレタントン通り、ドンコイ通りにありますが、料金は2倍以上高くなりますので、ツアーデスクはよく選びましょう。
エステ店の選び方
ホーチミンには雑貨店と同じくらいの数だけエステ店があります。よく「スパ」と「マッサージ店」と2つの呼び方がありますが、基本やることは同じ。スパというと、少し高級感がありますね。格安のマッサージであれば1000円以下で体験できるところも多いですが、雰囲気も楽しみたいのであれば、2000円~3000円程度を予算に考えるといいでしょう。
ちょっと高級感あるスパを楽しみたいなら、ドンコイエリアがおすすめです。旅行客行きつけのスパが多数あります。また、さらにランクを上げたいなら、5つ星ホテル内のスパに行くといいでしょう。ただし、料金は5000円以上を予算に見ておいてください。
一方料金1000円以下で行けるマッサージ店はベンタイン市場周辺とバックパッカー街に多くあります。技術はピンキリなので、満足できるかどうかは運次第といったところです。
また、スパでは最初の料金説明のときに、料金にチップが含まれているか否かを訊ねてください。チップの相場は5万ドン程度で、高級スパであれば10万ドンわたしてもかまいません。施術を終えて、服を着替えたらセラピストが出口まで案内してくれるので、その際にすっとわたすのがコツです。
レストラン&食堂のおすすめエリア
旅行者向けのレストランは割高ですが、ベトナムらしい雰囲気を感じられるので、1度2度は行ってほしいところです。メインはドンコイエリアと考えていただき、それ以外のベトナム料理レストランは市内各地に点在しているので、事前に住所をチェックした上でタクシーで向かいましょう。旅行者が多いレストランであれば、門前に警備員が待機していて、帰りはタクシーを呼んでくれます。
高級レストランのメニューにはないベトナム人の庶民派料理を食べたいなら、大衆食堂へ向かうといいでしょう。値段も安いですし、ベトナム人の生活風景を見ることができるので、ベトナムらしい旅行に一役買ってくれます。市内中心部であればベンタイン市場周辺、パスター通り北部がおすすめです。旅行者が多いところでは、英語を話せるスタッフもいます。高級レストランでは、お釣りの端数をチップとしてウェイターにわたしてもいいですが、食堂でチップは不要です。
2泊程度の滞在ならこれで十分!
今回紹介した「ドンコイエリア」、「コンサーパリス」、「ベンタイン市場&その周辺」、「パスター通り」、「バックパッカー街」はホーチミン観光の定番エリア。1泊から2泊程度の短期旅行であれば、このエリアを散策するだけで、あっという間に滞在時間は過ぎてしまうことでしょう。もし余力があれば、半日観光のツアーに参加するのもおすすめです。