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ベトナム基本情報

ベトナムの基礎知識

ベトナムの正式名称は「ベトナム社会主義共和国」。外交には閉鎖的だったベトナムも1986年のドイモイ政策以降対外政策に重点を置き、市場経済を導入しました。旅行先として注目されはじめたのは1990年代。日本でベトナムの雑貨ブームが巻き起こったのがきっかけで、現在でも女子旅や個人旅行といった旅先で選ばれ続けています。

今回はベトナムの基本概要をご紹介します。

国名:ベトナム社会主義共和国

IMG_8347.jpg人民委員会庁舎前に立つホーチミン像

ベトナムの正式国名は「ベトナム社会主義共和国」。市場経済を導入した者の、根本的な思想にはホーチミン思想といわれるマルクス=レーニン主義が根付いています。いまだ一党独裁制で、元首は共産党書記長となります。その下に国家主席、首相が位置している政治体制です。ベトナムは漢字で書くと、「越南」となりますが、これはその昔、中国を宗主国としていた歴史に起因しています。越とは中国の戦国時代に「呉越同舟」の名前で、越国の南にベトナムが位置しているため、越南(ベトナム)と名付けられました。

5%以上を推移する経済成長率

IMG_3335.jpg

ASEAN諸国でも平均以上の経済成長率

GDP成長率はここ数年5~7%の間で堅調に推移しています。アジア諸国の平均経済成長率が2015年で4.6%、2016年見通しで4.9%なので、ベトナムの経済成長率はいずれも上回る形となります。

一方物価上昇率はここ1~2年で大分落ち着きを取り戻した様子が見受けられます。日本は2016年1ドル100円を基準値にするとまだまだ円安に振れているので、海外旅行者にとって物価安のベトナムは魅力的な渡航先に映ることでしょう。

人口と面積

IMG_0043.jpgフランスの遺産、聖母マリア教会

ベトナムの人口は2015年で約9158万人(IMF調査)。世界ランキング13位に位置し、決して小国ではありません。面積は約33万キロ平方メートル。日本の九州を除いた国土とほぼ同じです。インドシナ半島東部、南シナ海に位置しているため、歴史を遡れば西側諸国および日本の中継貿易地点として活躍していたこともあります。

気候と服装

IMG_9954.jpg聖母マリア教会隣の4月30日公園

ベトナムの国土は南北に長く、いびつな地形をしているため、地域によって気候が異なります。例えば北部では四季があるとされ、山岳地帯では雪が降ることもあります。また、時期によってはハノイといった市街地でも冷え込み、厚手のジャンパーや長ズボン、コートが必要になることもあります。

一方、中部地方は3月から8月が乾季。ダナンをはじめ、フエ、ホイアン、ミーソンと中部旅行はアウトドアが主となるので、乾季に行くのがベストです。また、海水浴にも最適のビーチもありますが、雨季は季節風によって日本海のような荒れた波となります。

南部は熱帯気候に属する、典型的な雨季と乾季に区別される気候が特徴です。「東南アジアといえば常夏の国」をイメージしている方は、ホーチミンを選びましょう。ホーチミンは年間を通して常夏の気候なので、いつであっても半そで短パンで旅行することができます。ただし、朝晩は冷え込むことがあるほか、日焼け対策にもなるので、一枚羽織れるものは持っていった方がいいでしょう。

宗教と民族

DSCN1264.jpgホーチミン市内にある梅福寺

ベトナムの宗教分布は85%は仏教、7%がカトリック教、残りがカオダイ教など新興宗教となります。少数民族のチャム族の中にはヒンドゥー教徒とイスラム教信仰に別れ、前者は中部以南、後者はメコンデルタ地方に分布しています。仏教大国である一方、大乗仏教のため、ラオスやタイと比べると戒律が緩く、また寺院の多くは道教と仏教が隔てなく混在しているのも特徴です。

ベトナムは54の民族で構成される多民族国家。その中でもキン族は86%を占め、みなさんが接する一般的なベトナム人となります。残りはチャム族やモン族、タイ―族といった53の少数民族が全国各地に散らばってくらしています。

ベトナム語と英語

DSCN6603.jpgチョロンの青空市場にて

公用語はベトナム語。全国15歳以上の識字率は93%を越え、新興国としては非常に高い数値となります。ベトナム語の表記はフランス統治時代にチューノム(漢字表記を崩した独自表記)からクオックゴーに代わり、アルファベット体に6つの声調記号を付与したものとなります。よって、東アジア同様漢字圏ではあったものの、現在漢字を読めるベトナム人はいません。

近年は英語教育に力を入れる家庭が多く、小学生のときから塾に通って英語を学んでいます。都心の若者の多くは英語を話すことができ、レストラン、雑貨店、スパ、スーパーなど、多くの商業施設では英語堪能のスタッフが常駐しているものです。

ベトナムの交通

IMG_2822.jpg有名なタクシー会社はそれほど多くはない

ベトナムは2016年の時点では市内を鉄道が走っていません。現地人の足はバイクであり、市バスとなります。しかし、バイクはなく、またベトナム語のみしか通じない市バス以外の乗り物となると、外国人観光客にはほぼタクシー一択となります。ハノイやホーチミンといった都心においては、流しのタクシーをいくらでもつかまえることができます。これはベトナム旅行における非常に大きな魅力の一つです。タクシーは基本はメーター制で、9000ドン~12000ドンが初乗りとなります。特にホーチミンは観光名所がある程度密集しているので、すべてをタクシーで回っても、出費はそれほど大きくなりません。

IMG_2741.JPGバイクタクシーは個人で営んでいるところがほとんど

東南アジアには決まってある、バイクタクシー。ベトナムでもどこでも見かけることができます。ただし、企業が雇っているわけでもないので、料金のトラブルや、事故に巻き込まれたりすることもあります。また、一人旅だといいのですが、二人以上だとバイクタクシーを見つけるのは少々困難ですし、なによりタクシーよりも高額になってしまう可能性もあります。

旅行客の移動手段は、基本はタクシーで市内観光をして、バイクタクシーや市バスは記念程度に試乗してみるのがいいでしょう。ちなみに、三輪人力車のシクロも旅行客にとっては、近場を移動する手段の一つですが、外国人しか乗らないので料金は高め。また、近年は乗り入れが規制されているので、どこでも乗れるわけではないことは覚えておいてください。

ベトナム紙幣はドン

IMG_9538.jpgホーチミンのマックチブオイ通りにある両替所

2016年現在、ベトナムの硬貨はほとんど普及されていません。紙幣は最少が200ドン札で以後500、1000、2000、5000、1万、2万、5万、10万、20万、50万ドン札が流通しています。タクシーだと50万ドン札でお釣りがない場合もありますので、両替するときは、小額紙幣も混ぜてもらいましょう。

ベトナム料理

DSCN8681_R.JPG女性人気のフォー

ベトナム料理はヘルシー料理の代表として、日本人女性にも注目されていました。パクチーという香草が苦手な方も多いですが、抗酸化作用があり、健康にとてもいいです。ベトナム料理の特徴は米を原料にした料理です。フォー、ブン、ライスペーパー、生春巻き、バインセオといった名物料理はすべて米粉が原料となっています。

一方、日本のように地域ごとに異なる味付け、調理法を持つ郷土料理も多く、その種類の豊富さは欧米からも注目されています。ベトナム旅行では、食の食べ歩きも重要なカテゴリーになることでしょう。

ベトナム雑貨

IMG_2458.jpg水牛の角を素材にしたブレスレット

ベトナム雑貨が流行したのは90年代後半。ポストカードやマグネットなどのチープな雑貨ではなく、水牛の角を素材にした服飾雑貨や陶磁器、刺繍、といった民芸品が話題を呼んで、日本人女性の間でブームが起こりました。現在でもお洒落な雑貨は旅行客の興味を惹きつけ、年間65万人の旅行客がベトナムに訪れるようになりました。

伝統衣装は「アオザイ」

IMG_1305.jpgアオザイにも流行があるよう

ベトナムの伝統衣装であるアオザイ。中国から伝来されたゆったりとした上衣と下衣は、チャイナドレスを彷彿とします。一党独裁のベトナムでは、外出するときの衣装はアオザイに限定していた時期もありました。その後フランスの植民地時代を迎え、フランスの派手なデザインと自由さがアオザイを華やかに変化させました。現在では冠婚葬祭はもちろん、役所や学校の制服として着用されています。優雅なアオザイをオーダーメイドする日本人旅行者も多くいます。

ベトナム土産

IMG_6781.jpg実用性を考えたら衣装よりバッグやポーチがおすすめ

ベトナムには53の少数民族が各地で暮らしています。その中でも華モン族は北部山岳地帯に暮らす民族で、彼らの衣装生地から作るバッグやポーチ、財布などはどれも希少価値が高くお土産に最適です。ベトナム雑貨とひとくくりにしても、その種類は多岐にわたります。ポストカードやマグネットといったチープ雑貨もいいですが、民芸品や伝統工芸品といったベトナムならではの雑貨アイテムをお土産に選んでみてはいかがでしょうか。

刺繍もお土産に最適

IMG_3170.jpg刺繍が施されている服飾アイテムは多岐にわたる

刺繍はベトナムにおいて古くから伝えられている伝統手工芸の一つ。元来ベトナム人女性は手先が器用なため、現在でも刺繍職人はすべてが女性。靴、バッグ、財布、洋服、ズボンとなんにでも刺繍を施すことができます。お土産ショップでは、必ず刺繍グッズが置いてあるので、よく吟味して選びましょう。

良質な刺繍の選び方は、ミリ単位で縫われているものです。品質が悪いものは、1cm幅で縫われていたり、使われている色の数も少な目。素人でも見ただけで分かります。また、少し顔を話してみると、刺繍独特の立体的な視覚効果をもたらしてくれます。

ベトナム人の気質

IMG_2049.jpg「東南アジアは大らか」というイメージにぴったりのベトナム人

日本でも関東人と関西人では性格が異なるように、ベトナムでも地域差があります。例えば北部ハノイ人は生真面目な性格で奥手と言われていて、日本の東京の人に似ています。一方南部のホーチミン人は、常夏の気候のせいか、みなさんほがらかな印象です。商売上手ですが、その一方で怒りやすいともいわれ、在住日本人の間では関西人にたとえられています。


中部の人間は貧困の生活を経験していたので、現実主義的な人が多いといわれています。日本人がベトナムに旅行すると、「ベトナム人はみんな友好的」という印象を持たれるでしょうが、人見知りしない彼らの魅力でもあるかと思います。都心を歩いていれば、日本語を学ぶ学生たちに出くわして、思わぬ異文化交流をすることもあるかもしれません。その折には、彼らの素朴な笑顔に触れてみてください。

ベトナム戦争と枯葉剤

IMG_7972.jpg本物は国宝に指定されている

ベトナム戦争は第二次インドシナ戦争とも、宣戦布告なき戦争ともいわれていますが、おおよそ1960年から1975年まで続きました。もともと南北ベトナムによる統一戦争でしたが、北がソ連、南はアメリカが支持を、共産主義と民主主義の戦いとも言われていました。当時両国は冷戦状態にあったからです。

1975年、4月30日戦争が終結。結果はご存知の通りホー・チ・ミン氏が率いる北ベトナムが勝利し、翌1976年7月にベトナム社会主義共和国が誕生し現在に至ります。ベトナム戦争といえば、米軍が撒いた枯葉剤の被害による子供の奇形児が印象的です。遺伝にも重大な悪影響を及ぼすとされ、現在も被害に苦しんでいるベトナム人が多くいます。ベトナム旅行ではベトナム戦争を学べる博物館も行くことでしょう。しっかりと目を向けることが大切です。

まとめ

ベトナムは近年日本のバブル期を彷彿とさせる経済成長を遂げました。しかし、その一方で早朝には市場が盛り上がり、若者は公園で談笑をするといった、素朴な一面も残っています。日本の生活で溜まったストレスや疲労を、ベトナムで解放してみてはいかがでしょうか。海外旅行前には、その国の概要と基本知識を学んでおくと、現地で観光散策するさい、また違って視点で物事を見ることができるかと思います。

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