ハノイはベトナムの北部に位置する首都。政治と芸術の町と呼ばれ、ホーチミンとはまた異なる独特の雰囲気が漂っています。観光エリアとしては、ホーチミンに次ぐ2番目に旅行客が多く、世界遺産のタンロン遺跡や郊外のバッチャン村、ハロン湾といった観光エリアもハノイを拠点にします。今回は、1年を通したハノイの気候、および旅行に最適なベストシーズンをご紹介します。
北部には四季がある
東南アジアのベトナムは、ホーチミンのような常夏の気候をイメージしがちですが、縦に長い国土を持ち、南北に亀裂のように走る山脈が国を分かちているため、気候はエリアによって随分と異なるのが特徴です。ハノイより北側の山岳地帯では年間を通して春夏秋冬があり、一部では雪が降る地域もあります。ハノイはそこまで明確な四季はありませんが、それでも毎日30度を超える真夏の気候をイメージして旅行にでかけると、後悔することになるかもしれません。
常夏......ではない!
ハノイの年間を通した気候は、ホーチミンと同じように乾季と雨季に分かれています。ただし、ホーチミンのように雨季でも年中暑いわけではなく、時期によって気温の上下があるため、ハノイも若干の四季があるといわれています。
具体的には、11月~3月、4月は乾季に該当し、雨降りの日は少ないですが、気温は年間でも最も低くなり、最低気温が10度を下回る日も多くあります。ジャンパーやジャケット、コートは必需品で、厚手の格好をしても物足りないくらい冷え込みます。一方5月~10月までは平均最高気温が25度を超え、特に7月、8月は30を超える日が続きます。
乾季は寒く、雨季が暑い!
一般的には、「乾季=暑い」、「雨季=涼しい」と認識されていますし、ホーチミンも同様の気候を持っています。しかし、上述したように、ハノイはその逆の気候となり、「乾季の時期は肌寒く、雨季の時期は気温が高くなる」ことは覚えておきましょう。旅行者の多くは、せっかく南国旅行をするのだから、暑い気候の時期に行きたいと考えるでしょうが、その時期はハノイでは雨季となり、毎日断続的にスコールが降り、湿度が高くなります。どちらをとるかは、どのような観光プランを組むかによって変わってきますので、一概におすすめの時期を紹介するのは難しいです。
ハノイ観光のベストシーズン
乾季と雨季の狭間にある11月は、ベトナム人や在住者の間では「秋」に該当します。降水量は50mmを下回り、平均最高気温は25度前後、平均最低気温は17度前後と過ごしやすい天気となります。空はぐずついて今にも雨が降りそうな天気も続きますが、なんとか持ちこたえてくれる日の方が多いことでしょう。
10月は北部中部ともに台風が迫るシーズンでもありますので、11月に旅行される方は、現地の天気情報をリアルタイムで入手して台風の有無を確認するようにしましょう。
サパ観光のベストシーズン
北部山岳地帯の観光エリアとしては、サパが第一候補に挙げられます。少数民族の華モン族が暮らす山岳エリアで、週末のウィークエンドマーケットでは、卸売り業者が華モン族と売買をしている様子をうかがうことができます。そんなサパの観光は、トレッキングが主流となります。
サパの気候はハノイと異なり、3月~5月、9月~11月が乾季で過ごしやすい気候となります。雨季の時期である6月~8月は地面がぬかるんで危険なので、観光には適しません。また、1月~2月はサパには冬が訪れ、ところによって雪が降るほど気温が下がります。空が比較的澄んで、美しい棚田を見渡せるのは9月~11月の間となります。ただし、サパ旅行者の多くはハノイ観光のついでに立ち寄る方となりますので、ハノイ観光も鑑みると、おすすめは台風の過ぎる11月となります。
ハロン湾観光のベストシーズン
大小の数千の奇岩が水面から突き出て、水墨画のような美しい景色を見せるハロン湾は、ベトナムの誇る世界遺産。クルージング船も各社出航していて、日帰りから一泊二日の船上ツアーが人気です。そのハロン湾に訪れる最適なシーズンは、ずばり乾季の11月~3月。雨が降ってしまうと、船が欠航してしまう可能性もありますし、視界が悪くなり十分な景観を楽しめなくなります。
ただし、上述したように北部の乾季はかなり冷え込みます。ハロン湾も例外ではなく、甲板に出て美しい湾を眺める方は、防寒具が必要でしょう。
防寒具の対策
このように、ハノイ旅行では多くの時期で防寒対策が必要となります。半そで短パンの服装で過ごせるのは、雨季の日中くらいのものです。防寒具は日本からジャージ、ジャケット、ジャンパーを一枚持参するといいでしょう。ただし、現地のアパレル店や市場でも簡単に手に入れることができるので、かさばるのが嫌な方は、ハノイで入手するのも手です。
また、サパに行くためには列車に乗らなければなりませんが、シートに置いた衣類を盗まれるといった盗難事件も多発しています。日本から上着を持参するのもいいですが、ブランド物など高い衣類はおすすめしません。最悪紛失してもいいや、と思えるような衣類を準備しましょう。