ホーチミン観光の中心は1区と呼ばれる地区となります。市民劇場、ドンコイ通り、ベンタイン市場、バックパッカー街などがある観光エリアです。ガイドブックではプチパリなどと呼ばれるように、フランス植民地時代の名残も随所で感じることができる美しい町並みが広がっています。しかし、もっとも東南アジアらしい雑多な下町風情を感じたいとも思いませんか。それならば、今回ご紹介するローカルエリアに足を運んでみてください。
① ゴーバップ区
空港の裏手に広がるホーチミン北部のゴーバップ区。ホーチミン市内で最多の人口を誇り、巨大ベッドタウンとして知られています。ローカルな居心地のいい風景が広がり、学校前には生徒が屋台でチェーを買ったり、公園では人々が社交ダンスやバドミントンにはげむ。そんな光景をみることができます。ただし、最近は大型ショッピングセンターが建て続けにできて、1日中大渋滞といった問題も抱えています。新興国ならではですね。
② ビンタン区
次にご紹介するのは、こちらの「ビンタン区」。綴りだと「Binh Tan」と書き、ホーチミン市西部。中華街の5区と6区より西に行ったところに広がる大きな面積の地区です。近年は人気のサッカースクールやイオンモールなどが作られ、町は急速に発展。富裕層が土地を買っているため、地価が急上昇しています。
ちなみに1区右隣には「ビンタン(Binh Thanh)区」があり、カタカナ読みすると同じ綴りとなりますが、発音は異なりますので、タクシーで行く場合は声よりも文字でドライバーに伝えてください(ベトナム語ができる在住者でも、この2つの発音の違いを明確に理解できる人はそれほど多くありません)。
③ 4区
4区は筆者が一番好きなエリアでもあります。1区の南に位置していて、蛇行して横断するサイゴン川の支流を橋で越えた先に広がっています。
一昔前までは、市内で一番治安が悪いエリアとされてきましたが、昨今は徐々に浄化されつつあり、日中は女性同士でも普通に散歩することができます。何よりも見渡す限りに商店が並び、町全体が1つの商店街のような雰囲気。ベトナムを手っ取り早く感じることができる一番のエリアです。
④ カイベー
ホーチミン市内ではまだ市場はあるものの、徐々にスーパーマーケットが浸透しはじめています。旅行者にとってはちょっぴり残念かもしれませんね。そんな方は、7区南に広がるカイベーへ。
カイベーにはまだスーパーマーケットと呼べるものがなく、人々はパパママストアや路上の青空市場で日々の買い物を済ませます。若者はビリヤードやカフェに入り浸り、大人は昼間からハンモックで寝ていたり、ビールを飲む。そんなのどかな風景を目の当たりにすることができます。ちなみに、このカイベーの先は、旅行者にも人気のマングローブ林があるカンザーとなります。
⑤ 中華街5区&6区
1区西部にある5区と6区は、別名「チョロン」と呼ばれる中華街があります。およそ40万人ほどの華人が今も暮らしていて、その数はベトナム最大。時折華人とベトナム人の間で関係が悪化することもありますが、普段はいたって仲良し。彼らのほとんどは数代前からベトナムに暮らしているので、ベトナム語もネイティブで話すことができます。
問屋や卸し市場が多いため、1日中仕入れ業者がバイクで行き交っています。観光スポットでもお馴染みのビンタイ市場、チャータム教会、ティエンハウ寺、オンボン寺といった名所はチョロンの中心に位置していて、すべて徒歩で行くことができます。
⑥ 8区
最後は8区。4区の隣、5区の南に位置するローカルエリア。住宅街も多く市場、スーパー、カフェ、レストランなどがバランスよく混在しています。「基本となるお店はすべてあるから、8区から出る必要はない」と言う現地住民もいます。昔ながらの町ではありますが、1区から近いことを理由に、近年は地価も上昇をはじめ、高級マンションも建つようになりました。将来的には電車が通ることも決まっているので、新たなベッドタウンとなる予想です。
ローカルエリアを歩いてベトナムを知ろう
1区は確かに美しい町ではありますが、あくまでも商業区であり、ベッドタウンではありません。どこの国も都心というのは、国の威信をかけているため、ぱっと見は発展しているものです。しかし、その国の本当の姿を見たいならば、町はずれに繰り出すべきといえるでしょう。そんなときは、ここで紹介したエリアに向かってみてください。