世界遺産のホイアンの日中散策のメインとなる歴史遺産巡り。同郷集会所やお寺、一般家屋の旧家などを見学することができますが、今回紹介する「陳祠堂(チャン家)」は、家屋と祠堂双方を併せ持った、ちょっと不思議な空間の名所。
旧市街の入り口傍にあるので、最初に行く名所としてもおすすめです。
アクセス
場所はホイアン市街地を南北に通るレロイ通り。ダナンからホイアンへ向かう場合、かなり高い確率でこのレロイ通りの始発点で降ろされます。ファンチューチン通りの交差点傍にあり、旧市街の入り口ともなるため、旅行者の数は少なめ。多くの方が気づかず素通りしてしまうようです。
穴場的なスポットではありますが、ホイアンを詳細に紹介するガイドブックには必ず紹介されている言わずと知れた名所でもあり、特に長旅をしている欧米人に知名度が高いよう。
正門を抜けた先に広がる庭園
正門は間口が狭いので見落とさないように注意が必要です。周辺も旧家が並ぶので、似たような町並みが続いています。その正門をくぐった先に広がるのは、ベトナムではあまり類を見ない広々とした庭。ホイアンの旧家でこのような庭があるのは、実は陳祠堂だけ。
また、一般的にベトナムの住宅にはこのような庭はなく、玄関を出たらすぐに路側帯が普通。これだけの広い庭を所有しているだけでも、当時ここに家を建てた人物が一般人ではないことが想像できます。
中国様式に倣った3つの扉
庭を歩いた先には3つの扉を持つ家屋があります。この3つの扉は中国のお寺などでは普通に見られる造りで、左右の扉が人の出入口、中央は神様や霊が通り抜けるための扉とされていて、普通は人は通らないか、もしくは扉を閉めています。
他にも家の中には中国風の照明器具や支柱に彫られた中国漢字、陶磁器など中華色で染められています。しかし、随所にはしっかりとホイアン建築と日本の建築様式も見ることができます。
陳祠堂が建てられたのは1802年。中北部フエに王宮を置いた歴史上最後の王朝となる「阮朝(グエン)」時代(1802~1945年)の幕開けとなる年です。建てた人物は阮朝の官吏、いわゆる公務員的な存在ですが、役職としては遥かに上位。
もともと商人であったとされているため、皇族に所縁のない人間が官吏となるのは、相当な試験と試練が必要だったと推測されます。その官吏はベトナム人の妻を娶り、中国に帰国する際に住居兼祠堂として建てたのが、この陳祠堂と言われています。
こちらは広間。リビングのような作りで、団らんを過ごす場所のよう。見学する際は官吏の子孫である女性が英語でガイドをしてくれます。細かく説明してくれるので、あちこち行くのではなく、ガイドについていきましょう。もちろんガイド費用は無料ですしチップも要りません。最初に入場券を提示するだけです。
広間の奥には祖先を祀る祭壇があり、周辺には高価そうな掛け軸や調度品、陶磁器などが展示されています。ちなみにベトナムの陶磁器は中国への朝貢品としても価値が高かったと言われています。
ベトナムの陶器といえば、現在では北部のバッチャン焼きが最も知られていますが、実はここホイアンも陶磁器の名産地として古くから知られていました。
お土産&占いエリアも
30分ほど要して見学を終えた後は、お土産エリアと占いを案内されます。お土産はホイアンの民芸品からアクセサリーまで揃っていて、チャンフー通りやバクダン通りといった旧市街のど真ん中で買うよりは幾分安く手に入れることができます。
また、占いは無料で試すことができ、ホイアンの古銭を2枚三回振って、裏と表が出ればOK。確率的には3回中1回は出ますね。また、この古銭はお土産に買うこともできます。
知名度は低いが歴史的価値は高い陳祠堂
陳祠堂は旧市街の中心から少し外れているため、他の旧家や集会所と比べると知名度はいま一つ。ただし、歴史深い家屋であり祠堂ですし、阮朝の官吏が建てたというのは、ホイアンの歴史遺産でもここだけ。興味ある方は是非足を運んでいってください。
<DATA>
名称:陳祠堂
住所:21 Le Loi St.
営業時間:7:00~18:00