カンボジア旅行が初めての方は、まずはカンボジアの現地情報をできるだけ多く収集してほしいところです。東南アジアや南米旅行に慣れている方はすでに危機管理意識が芽生えているので、意識的に自身による危機管理ができています。しかし、これらの地域にまだ行ったことがない、もしくはビギナーだと考える旅行者は、これからお届けするカンボジア旅行にて危惧すべきトラブルと、その対策を覚えておきましょう。
「プノンペンの奇跡は信じない」こと
「カンボジアの水は飲める」という実話はご存知でしょうか。日本の水道管理技術を導入したカンボジアでは、驚くほど浄水技術が発達していて、蛇口をひねった水をそのまま飲むことができます。ガイドブックにもよく紹介されていますね。人々は「プノンペンの奇跡」とも呼んでいます。
しかし、旅行者はこの情報を鵜吞みにして水道水を飲んではいけません。仮に高級ホテルの洗面台の水であっても駄目です。浄水された水が出てくるのはプノンペンの都心中心だけですし、仮にプノンペンの中心の高級ホテルであっても、いつなん時でも飲めるほど綺麗な水が出てくるとは限りません。プノンペンの建物はホテルを含めて年代物が多く、水道管が汚ければ出てくる水も汚いです。それに日本人には不慣れな硬水のため、浄水された水を飲むことができてもお腹を壊す場合があります。基本胃に入れる水はすべてミネラルウォーターだと考えてください。
対策
ミネラルウォーターは常に手元に入手しておくこと。
食事をとるときは、料理が運ばれてくる前に食器を拭く
地元民が通うような食堂や路上屋台、シェムリアップのパブストリートにあるような中級レストランなどで食事をとる場合の注意点です。テーブルに伏せられた食器は大抵汚れているので、注文した料理が運ばれてくるまでにティッシュで拭いておくようにしましょう。これは店側に対して失礼でも何でもありません。
また、着席した後に食器が運ばれてきたものであっても、汚れが付着していないかしっかりと確認して、汚いようであれば交換してもらうことも大切です。現地人も同じ振る舞いをしていますので心配しなくて大丈夫です。
対策
皿、ナイフ、フォーク、スプーンは必ずティッシュで汚れを拭く
女性の夜歩きはできるだけ避ける
カンボジアの治安危険レベルでいうとお隣のタイと同レベル。ただし、女性の一人歩きや夜歩きは極力避けた方がいいでしょう。カタコトの日本語で気さくに話しかけてくる人や、ツアーを斡旋してくる個人業者などは相手にしないのが無難。シェムリアップの市内散策では中心市街地のみに留めておき、人気がない方へは近づかないようにしてください。また、女性だけのバイクタクシーの利用も避けるべきと言えるでしょう。バイクタクシーのドライバーはいずれも個人で活動しているので身元が分かりません。運転中にセクハラされたりとトラブルも報告されています。
対策
女性の一人歩きおよび夜歩きは避け、人の多いところを意識して歩く
ひったくりやスリも横行
発展途上国のカンボジアでは、例に漏れずスリやひったくり、置き引きが横行しています。日本人は特にこの問題に関しての危機管理意識が低い様子。オールドマーケットで買った紐の細い2ドルのたすき掛けポーチに財布を入れてぶら下げていると、ひったくり犯からするとかっこうのターゲット。ポーチの紐なんて、ちょっと強く引っ張ればすぐに切れてしまいます。
また、財布をバックポケットに入れておくのも安心できません。どちらかというと、財布からお金を抜いて、紙幣はジーンズのサイドポケットに入れておく方が安心です。なぜなら肌に触れているからです(バックポケットの場合はお尻に触れるので感じにくい)。また、ちょっと格好悪いかもしれませんが、ポシェットに貴重品を入れて服でポシェットを隠すのも効果的。メッセンジャーバッグを使えば欧米スタイルでお洒落です。
対策
貴重品は肌に密着させるように持ち歩く
賭博&ツアー詐欺に要注意
プノンペンやシェムリアップの観光都市中心を歩いていると、観光客をターゲットにした詐欺集団に声をかけられることがあります。
賭博詐欺
大抵はトランプ詐欺。「二人でタッグを組んでお金儲けをしないか」、「絶対に勝てる」などと誘ってきて彼らのアジトに連れていかれます。最初の数回は勝てますが、その後は負け続き。もちろんタッグを組んで、というのは大嘘で、実際は彼ら全員がグル。持ち金すべて取られることもあれば、それだけでは済まずにATMに連れていかれてキャッシングを強要されることもあります。
観光詐欺
「安く市内観光に連れて行ってあげる」とカタコトの日本語、もしくは英語で話しかけられ、安易についていってしまうと後ほど高額なツアー代金を請求されます。トゥクトゥクにも悪質なドライバーがいるので、心配の方はホテルが用意してくれるトゥクトゥクに乗るといいでしょう。
対策
身元も分からない現地人には声をかけられても無視。ついていかない。
デング熱に要注意
日本でもここ数年デング熱を持った蚊が都心に生息している情報が見受けられます。カンボジアなど熱帯地帯には多くのデング熱を持つ蚊が生息しているので、必ず対策を講じる必要があります。「デング熱を持つ蚊は郊外や田舎、山岳地帯だけ」と思っている方もいるかもしれませんが、シェムリアップやプノンペンといった観光エリアの中心にもいる可能性は十分あります。
ちなみにデング熱は高熱、倦怠感、筋肉痛、そして痒み(発疹)が表れる症状。熱が出ている上に身体が痒いというのは我慢できるものではありません。
対策
蚊に刺されないことが一番。虫よけスプレーだけでは不十分なので、長袖長ズボンを着用して外出。なるべく肌の露出は避けるように。ホテルの寝室にも虫よけスプレー、長袖を着て寝るといった対策が必要です。
A型、B型、C型感染
いずれも東南アジア諸国で危惧しなければならない感染症です。A型は生水、生野菜などの経口摂取により、B型とC型は血液感染となります。男性の場合はB型とC型は性行為によっても感染するので、羽目を外さないように危機管理意識を徹底することが重要です。A型肝炎は食事によって感染するウイルスで、ある種不可抗力で感染を余儀なくされるものでもあります。生水や生野菜は避け、料理を口にする前はよく火が通っているかを確認するようにしてください。
対策
A型とB型に対しては事前に予防接種が可能。C型のワクチンはありません。現地では不衛生の食事は避け、男性は夜遊びも自粛することが大切。
まとめ
今回紹介したカンボジア旅行で考えられる問題はビギナー旅行者だけではなく、旅慣れた方にも降りかかる可能性があります。対象はいずれも旅行者の油断をついてくるので、滞在中は気を引き締めて観光するようにしましょう。