ベトナム中部の町ホイアンは、16世紀に繁栄を極めた交易の都市。貿易中継地点として日本をはじめ中国や欧米、アラビアまでが交易に訪れていました。1999年にはホイアンの町並みを後世に残すべく、ユネスコ世界遺産に登録。現在ではメインストリートのチャンフー通りやバクダン通り、グエンティミンカイ通り沿いに建つ歴史的貴重な建築物の中に入って見学することができます。

今回訪れるのは「ホイアン歴史文化博物館」。ホイアンと日本の関係を示す重要な品々が展示されています。

アクセス

住所はグエンフエ(Nguyen Hue)通りとなっていますが、チャンフー通りからでも行くことができます。グエンフエ通りはチャンフー通りとの交差点に交わっていて、ホイアン歴史文化博物館はその角に面しています。チャンフー通りからは関公廟から行くことができ、関公廟の敷地内に博物館があります。

中国らしい建築物

建築は中国のような華々しい『彫り』の装飾が随所に見られます。もともとはお寺だったので、その名残ですが見事なものです。例えば写真上のこちらは右が亀、左が龍。鳳凰（フェニックス）と麒麟に並ぶ中国の神話に登場する四神ですね。ホイアンシアターでもこの四神は登場していることから、ホイアンも中国の文化を色濃く受け継いでいたことが分かります。

そして大小の鐘楼。絵や中国漢字が施されています。鐘楼はお寺になくてはならない品の一つ。それは日本も中国も同様です。ホイアンにあるお寺や中国人が集まる集会所でも必ず鐘楼の1つや2つはあります。

沈没船から引き揚げた品々が展示

館内は狭いのでじっくり見学しても15分から20分程度で一回りできます。16世紀から19世紀のホイアン交易時代。数多くの交易船がホイアンのトゥボン川を行き交っていました。しかし、中にはトゥボン川近海で沈没した船もありました。その船を引き揚げたさいに見つかった交易品の品々がこちらに展示されています。

引き揚げられた品々の多くは調度品でした。自分たちで使うものはもちろん、交易品も多数あります。長年海底に眠っていたので、多くは錆びてしまっていますが、中には風化を免れたおかげで保存状態が比較的良いものも見つかっています。

こちらの古銭には、説明書きには『edo』と記載されています。よくよく見ると、寛永通宝であることが分かります。寛永通宝はみなさんもご存知の通り、日本の江戸時代に流通していたお金。こちらも沈没船から引き揚げられました。数多くの沈没船の中には日本の船もありました。日本からは徳川初代将軍の徳川家康が朱印船を派遣していました。朱印船が輸出していたのは鉄や銅製品だったといわれています。また、ホイアンにある日本人町から出土した発掘品の中には、日本の伊万里焼きなども見つかっています。日本とホイアンの密な関係は、日本が鎖国をするまで続きました。

ホイアンには1000人の日本人が住んでいた

ホイアンを重要な貿易地点としてみなしていた日本ですが、当時1600年代はじめには、多くの日本人がここホイアンの中心に住んでいたといわれています。博物館ではご覧のように日本人町を示す写真が展示。当時は日本人町と中国人町が存在し、日本橋を中心に左右に広がっていたとされています。チャンフー通りは当時日本人通りと呼ばれ、グエンティミンカイ通りは中国人通りと呼ばれていたようです。ただし、これはまだ意見が分かれるところで、本当のところどちらの通りで日本人町が形成されていたのかは議論の余地があるようです。

日本では学校の教科書に出てくる徳川幕府。その江戸時代の真っ只中でホイアンと縁があるというのは、なんだか不思議な感じですね。

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名称：ホイアン歴史文化博物館
住所：13 Nguyen Hue St. Hoi An
営業時間：7:00～21:00