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最低これだけは行こう!世界遺産ホイアン5つの建築物

ベトナムの中部ホイアン。1999年にユネスコ世界遺産にその町並みが登録されて以来、毎年大勢の観光客が訪れるようになりました。見どころとなるのは、ホイアンの町並みはさることながら、通り沿いに建つ古き家々など建築物。修繕はしているものの、当時の面影をできるだけ残している建築物は、ベトナム、中国、日本らしさを垣間見ることができるものばかり。

しかし、よほど時間に余裕がない限り、すべての建築物を見て回るのは至難。そこで、今回は最低でもこれだけは見ておきたい5つの建築物をご紹介します。

最初の文化遺産「進記家」

200年以上前に建てられた

最初に文化遺産に登録された進記家は、初めてのホイアン旅行者であれば、最初に訪れたい家です。こちらはお寺でも集会所でもない、単なる民家。しかし、ベトナムと日本、中国の建築様式が混じったホイアン独自の建築技法の象徴として重宝されていて、現在では7代目がここに住んでいます。

陽が挿し込む場所が必ずある

こちらは進記家の中庭。当時の建築様式で建てられた民家の多くには、このように中庭が備わっています。

進記家では見学者が多いことを受けて、日本語の説明書も用意されています。ちなみに日本の昔の建築といえば一階建て平屋ですが、ホイアンでは2階建てが主となっています。これには理由があり、ホイアンは毎年台風による洪水に見舞われます。よって、道路が冠水し1階が床上浸水した際に、2階に逃げ込むため建物は2階建ての構造となっているのです。

中国漢字。よく見ると......

中庭傍に建てられた支柱。そこには中国漢字が彫られています。しかし、この漢字をよく注意してみると、一画一画に鳥の絵が施されていて、無数の鳥によって文字が形成されているのが分かります。中国らしいですね。

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住所:101 Nguyen Thai Hoc St.
営業時間:8:00~12:00、13:30~17:30

彫刻に日本を映す「潮州会館」

中国人と日本人は当時仲が良かったのであろうか.....

1776年に建てられた中国人のための集会所。潮州出身の人が建てたことから、潮州会館と呼ばれるようになりました。交易時代当時、ホイアンには数多くの中国人が交易にやってきて、そのままここに移り住んでいました。そこで中国人が建てたのが、お寺と会館。会館は集会所とも呼び、いわゆる中国人が集まってお茶を飲みながら世間話をする場所です。現在でも集会所を管理する華人の方々の憩いの場所となっています。

すべて木彫りで作られている

潮州会館の見どころは、最奥部にある仏像傍の木彫りの彫刻。魚、動物や人、雲などが描かれていますが、これは地球と自然を表しています。一番下には魚。つまりは海があり、その上には大地と動物、そして人が共存し、さらに上は木々にとまる鳥。そして雲から下界を見下ろす天女の姿。

見た目からして日本人っぽいが、はっきりとしたことは分かっていない

こちらは日本髪を結った女性の木彫り。日本人か中国人かは分かりませんが、美しい彫刻です。当時ホイアンにはホイアンの民と中国人、日本人が共存していたとされていて、日本人は1000人以上がここに暮らしていたと言われています。きっと中国とも仲が良かったのでしょう。

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住所:362 Nguyen Duy Hieu St.
営業時間:7:00~11:00、14:00~17:00

天后聖母を祀る「福建會館」

派手な門構えは実に中国らしい

一見するとお寺のような内外装ですが、こちらも上述した潮州会館と同じく中国人の集会所です。福建會館と呼ばれるこちらは、主に福建省の中国人が集まる集会所。日本橋を背にチャンフー通りを歩いていると、すぐ左手に見えてくる派手な門が特徴。見落とすことはまずないでしょう。

天后聖母を祀る

福建會館に祀られているのは福建省の女神、天后聖母です。天上、天妃とも呼ばれています。もともと媽祖と呼ばれる女の伝説から生まれた女神で、媽祖が神格化されて聖母となったのがはじまり。現在ではホイアンだけではなくベトナム全国の寺院で祀られている定番の守り神です。ホーチミンでは中華街チョロンのティエンハウ寺にも祀られています。

参拝者が絶えない

ベトナム人の観光客はみんなご覧のように参拝していくほど、天后聖母は有名です。ベトナムは人口の8割近くが仏教徒。天后聖母は道教の最高神ですが、ベトナムでは隔てなく崇拝されている様子がうかがえます。もともとは海難の守り神で、漁師が航海へ行く前に無事を願って参拝するのがはじまりでしたが、現在では家内安全、学業祈願、商売繁盛、子宝繁栄なんでも参拝の対象となっています。

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住所:46 Tran Phu St.
営業時間:7:00~17:30

9つの頭を持つ龍を見学。「廣肇會館」

福建会館と並ぶ中華要素たっぷりの門構え

福建会館と併せて訪れたいのが「廣肇會館」。廣肇出身の中国人によって建てられた会館です。派手な紋様が施された豪華な門構えで、内装も中華要素たっぷり。福建会館と同じくチャンフー通り沿いにあるので、併せて向かってください。

入口から最奥部まで中国を感じる

螺旋型の選考に龍の像。最奥部には天后聖母と閑聖大帝の像が祀られています。どれも中華要素抜群ですね。天后聖母は福建会館でも祀られていましたが、こちらにも見ることができます。さらに閑聖大帝。閑聖大帝という言葉は聞きなれないかもしれませんが、「関羽」はあまりにも有名。三国志に出てくる武将ですね。関羽は武将以外にも商売の才能に長けていたといわれていて、その関羽が神格化され閑聖大帝と名乗るようになりました。現在では商売繁盛の守り神として崇められています。

男のロマンをくすぐるのはいつだって龍だ

廣肇會館の集会所傍の細道を進んで、裏手に回ると、広々とした庭園に出ます。その庭園の中央に安置されているのが、9つの頭を持つ龍。完成度の高い造りで、どこから見ても、睨まれているように感じます。

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住所:176 Tran Phu St.
営業時間:7:00~17:30

ホイアンの民の知恵が詰まった「馮興家」

趣ある外観。建てた住人は相当金持ちだったに違いない

200年以上前に建てられた2階建ての木造住宅。当時貿易商人の家で、建築様式には日本、ベトナム、中国の三か国が混じっています。場所はチャンフー通りから日本橋を抜けた先の右手。グエンティミンカイ通りの唯一の名所です。

有料で英語説明がある

よく注視していないと見落としてしまいがち。写真の屋根部分をご覧ください。正方形の一部分が格子状になっているのが分かります。これは進記家でも説明したように、洪水のせいで床上浸水してしまったときのための対策。格子は手で外すことができ、その穴から1階の荷物を2階に運んだりしました。ちなみに屋根は日本の建築様式を取り入れています。

のどかなグエンティミンカイ通りは筆者の一番のお気に入り

2階のベランダからはグエンティミンカイ通りを一望することができます。左手には日本橋、正面から右手にかけては所狭しと民家と玄関先で物を売っている屋台を見ることができます。グエンティミンカイ通りで賑わうのはこの一画のみで、さらに西へ進むと歴史保護地区を抜けてしまいます。布屋が多く、絹のストールを買っていく旅行者をよく見かけるほか、日本人が経営しているお店もあります。

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住所:4 Nguyen Thi Minh Khai St.
営業時間:8:00~18:00

ホイアンの巡る昼下がり

ホイアンには10を超える名所や博物館がありますが、それらすべてを回ろうとするのはおすすめできません。古き良き町並みは歩いているだけでノスタルジー香り、カフェで素敵なティーブレイクを楽しむ。何をすることもなく、ただただホイアンに入り浸る。それがホイアン観光を満喫するポイントになるでしょう。

著者プロフィール

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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