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カントーの食堂街と言えば「デタム通り」。

メコンデルタ地方の中心都市であるカントーは、ベトナムの中央直轄市。分かりやすく言うと、ベトナム政府が認めた最重要都市の行政区画です。中央直轄市には他にはハノイ、ホーチミン、ダナンなどがあることからも、どれだけカントーが大都市かということがお分かりいただけるかと思います。とはいえ、メコンデルタの中央都市というだけあって、ハノイやホーチミンと比べるとまだまだ素朴な田舎風情が漂う町並みが広がっています。ホーチミンからカントーまではバスで約6時間程度。旅行であれば1泊から楽しむことができ、観光スポットの象徴は水上市場が挙げられます。

今回紹介するのは、カントーの市街地を通る「デタム通り」。直線300mほどの距離ですが、食堂や露店が並ぶことから、ガイドブックでは「カントーの食堂街」と称されています。今回はデタム通りを歩いてみたいと思います。

アクセス

お洒落カフェや雑貨店は皆無

デタム(De Tham)通りは、カントー旅行のメインストリートである、大通りのホアビン(Hoa Binh)通りから繋がっています。ホアビン通りの起点にはカントー博物館があり、さらに軍事博物館といった観光スポットが通り沿いに建ち、大型スーパーや病院も見えます。さらに歩いて数分南方へ下ると、デタム通りへ曲がる標識が見えてくるでしょう。デタム通りは2車線道路でそれほどの大通りではありません。昼間はノンラーを被った行商が行き交っている素朴な風景をみることができます。

十数の個人経営の食堂が並ぶ

この通りでメコンデルタの名物を食べられる

デタム通りは食堂街として外国のガイドブックに紹介されることが多く、一見辺鄙な通りにも関わらず、よくよく見ると外国人がしばしば行き交っている様子も見ることができます。この通り沿いには、ご覧のような小さな個人経営の食堂が十数あります。写真のこちらは看板にあるように「ブンマム(Bun mam)」メインに扱う食堂。ブンマムは米粉麺のブンにマムと呼ばれる小魚の発酵ダレをベースにしたスープで仕立てたスープ有の麺料理です。メコンデルタ出身の家族が別都市で食堂を開いたりしているので、ホーチミンでも食べられないことはありません。ただし、フォーやほかのブン料理と比べて圧倒的に扱っている店は少ないので、カントー旅行では必ず押さえておきたい郷土料理の一つです。

その他、食堂ではビールを楽しみながら数々の料理を楽しめるベトナム風居酒屋や、生春巻き、揚げ春巻きなど王道を扱う屋台などもあります。屋台は昼よりも夜の方が多いので、そちらを目的にされている方は日暮以降に散歩がてらデタム通りをのぞいみてください。

よく見る風景のこちらは宝くじ

毎日路上で売るおばちゃん

こちらは宝くじの露店。板に据えられてあるのはベトナム版宝くじで、ルールは日本とほぼ同じです。1枚1万ドンで、1日数十枚から100枚近く売れるときもあるとのこと。おばちゃんも特に呼び込みはしないで、じっと客を待ち構えている様子。きっと近所の常連客が毎日買ってくれるのでしょうね。

さすが南国!道端で売る果物商

大量のミカンやバナナ

大量のミカンやバナナ。さらに日本では見かけない南国特有の果物まであります。お店の人はデッキチェアに寝そべって路上でお昼寝中。平和ですね。果物はすべて量り売りです。お客はほぼ常連客なので、外国人が行ってもぼったくりにあうことはまずありません。安心して買い物できます。またホアビン通りやデタム通りにはコンビニのような気の利いた日用雑貨店がなく、その代わりに昔ながらの個人商店のパパママストアがいくつもあります。品揃えはコンビニには勝てませんが、滞在中に必要と思われる品は基本扱っています。

夜のデタム通りを散歩

明かりに釣られて行きあたりばったりで店に入ってみるのも

夜のデタム通りは食堂と屋台が主に賑わっています。食堂の看板も光っていますので、昼間とは少し異なる印象を受けます。ちなみに夕暮れときは、近くの学校の下校時刻となり生徒の親がバイクで迎えに来るため非常に混雑しています。排気ガスもすごいので、夕暮れときは避けるのがおすすめです。

漢字の看板。おそらく華人が営んでいる食堂

カントーにはベトナム人と呼ばれるキン族の他に、クメール人(カンボジア人)やチャム族などが暮らしています。そこらへんを歩いていて見かけるわけではありませんが、確かに彼らもここでひそやかに暮らしているのです。こちらの食堂は中国漢字で「鶏飯」とあるように、コムガーと呼ばれるチキンライスのお店。鶏出汁のご飯に大きな骨付きの鶏肉を置いた全国で食べられるB級グルメ。味付けや鶏肉の調理方法は店によって異なるため、何度食べても飽きません。ただし油を多量に使って鶏肉を揚げていたり、ご飯を炒めたりしている店がほとんどなので、たくさん食べるとお腹を下す可能性もあるので食べすぎ注意でもあります。

屋台料理も堪能

どれも油で揚げる料理がメイン

屋台料理は日本いう焼き鳥のようなものから、揚げ春巻きがここでのメイン。いずれもおいしいですし、卵焼きは日本とは味が全く異なるので試食の価値ありです。衛生面に心配はありますが、火がしっかり通っていることを確認して、生野菜を避ければ少量であれば意外と大丈夫なものです。とはいっても胃が弱い人はやはりお腹を下すこともあるので、下痢止めや整腸剤は必ず持参しておきましょう。

果物はどれも破格の安さ

屋台の食べ歩き以外にも楽しませてくれるのが、果物の食べ歩き。果物屋はご覧のように値札がついていますので、値段は明瞭。だいたい500gもしくは1kgの値段表示です。どれも1kg100~200円程度と非常に安いですね。見たことのない果物から制覇してみましょう。

カントー旅行なら一度は歩きたいデタム通り

カントー旅行者のほとんどは早朝に開催される水上市場が目的。市場を見学し終わったらすぐにホーチミンに帰ってしまうのは非常にもったいないです。ツア―で行くのか個人で行くのかにもよりますが、是非市内散策の時間を作って、そのときはデタム通りで食事をしてみてください。

著者プロフィール

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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