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カントーのメインストリート沿いにある観光スポット「カントー博物館」

メコンデルタ地方は個人旅行者に人気のエリア。ホーチミンから出発するとなると、日帰りから観光が可能なので、ツアーでも必ず組まれています。メコン川を小舟で渡るジャングルクルーズはツアーで一番人気ですが、こちらはミトーやベンチェーといったメコンデルタ地方の玄関口で開催されます。今回紹介するカントーは、地方最大の都市であり、メコンデルタの中央に位置する大きな町。1泊から楽しむことができます。

今回紹介する「カントー博物館」は、カントーの歴史の移り変わりをパネルや模型で分かりやすく説明してくれます。大通りにある博物館で、旅行者は滞在ホテルから気軽に行くことができると思うので、是非足を運んでみてください。

アクセス

博物館の内観

カントー博物館は、カントー観光のメインストリートであるホアビン(Hoa Binh)通りの1番にあります。月曜と金曜は休館なので気を付けてください。ホアビン通りは東西に走る大通りで、大きな国立病院やタイ系の寺院、中級ホテルに大型スーパーマーケットなどが点在している旅行者の滞在の拠点となる道です。ホアビン通りから繋がるボーバンタン通りやグエンタイホック通りを進めば、徒歩でカントー市場やディナークルーズ船のある公園に行くこともできます。

歴史が詰まったカントー博物館

クメール族が使っていたと思われる太鼓

カントー博物館は、地理、自然、歴史を学ぶことができる博物館で、歴史は有史時代から抗仏、ベトナム戦争までを紹介。いずれもベトナム国内の様子ではなくカントー市内の様子をパネルや模型で紹介しているので、この場所で当時どのような現実が起きたのかをクローズアップして知ることができます。また、ご存知ない方も多いかと思いますが、このメコンデルタ地方は一昔前まではカンボジア領でした。そのため、現在でもまだ多くのクメール族が暮らしています。カントー周辺に暮らす華人やクメール族の生活様式もこの博物館で知ることができます。

昔の薬局

日本も昔はこんなんだったのかも

昔の薬局......とはいってもほんの数十年前のことですが。

引き出しにはそれぞれ薬が詰められていて、お客さんが欲しい薬を要望するたびに複数の薬をその場で調合していたようです。そして、お客さんが欲しい回数分だけ購入することができます。ちなみに、後者はいまのベトナムも同じです。日本の薬局では、絆創膏や風邪薬、湿布だろうとすべて箱買いが基本ですね。箱を開けて中身を取り出して「これじゃあ量が多いので一回分だけください」なんて要求は通じません。しかし、ベトナムではそれが可能。すべてバラバラでほしい数だけ売ってくれます。ちょっと話がそれますが、ローカルスーパーやコンビニでは、卵のダースケースを開けて、1個単位で買うことも可能です。

昔も今もベトナム人は水牛とともに生きてきた

水牛に乗って農作業をするベトナム人の絵

田園地帯が多数を占めるメコンデルタ地方ではお馴染みの光景であるこちらの絵。水牛を使った農作業の様子はいまでもどこであろうと見ることができます。農業を営む人々にとって、水牛は家族も同然。小さい子供のときは水牛に乗って遊び、成人になると水牛と一緒に農作業をします。現在でも水牛は田舎地帯であれば至る所で売買されていて、簡単に手に入れることができます。ちなみに水上人形劇でも子供が水牛に乗って遊んでいる演目がありますが、このように水牛は農村においては特別な存在であることが分かります。

農具。いまも現役のものもある

農具を含む生活用具はベトナム人であるキン族やクメール族、華人のものを展示。クメール族が使うカンボジア由来のものはベトナムではあまり見かけることがないので貴重です。最近は近代的な農業機械も増えてきましたし、自治体がメコンデルタの資源をさらに活用すべく援助もしているようですが、それでも先端機械を使える農家はごくわずか。現在でも水牛が活躍していることからも、まだまだほとんどの農家がアナログ式で農耕していることが分かります。

冠婚葬祭と家庭の様子を模型で再現

昔も変わらない純白のアオザイ

こちらは結婚式と思われます。おそらく結納ですね。ベトナムの結納は現在でも自宅で行われ、ご覧のような冠婚葬祭時に着る特別な衣装を纏います。新郎新婦の後ろを歩くのはおそらく家族。白いアオザイは学生の象徴であり、少女(処女)の象徴でもありました。結納では夫の両親から妻の両親に金銭が渡され、さらに妻に貴金属のアクセサリーを渡すのが一般的な習慣。夫の両親は大変ですね。

一般家庭の様子。日本にも通ずるものがあるのでは

こちらはカントーに暮らす一般家庭の様子。現在と比べてもそう変わるものではありませんね。基本的にベトナムは昔も今も一つの家に数世帯住むのが普通。働いて稼いだお金は、自分だけのものではなく、一緒に暮らすみんなのものという人気が根付いています。また、経済的余裕がある家では、家政婦を雇うのもベトナムの習慣。家政婦は信頼できる親族だったり、知人の紹介だったりしますが、基本は住み込みとなり、家族の一員とみなされます。

カントーの町、人の様子をパネルで紹介

パネルは非常に充実していて見ごたえがある

歴史に興味がない方も、人々や町の呼吸が聞こえてくるパネルは興味深く見学することができるかと思います。抗仏戦争、ベトナム戦争ではカントーも激戦区の一つでした。現在ではメコンデルタ最大の都市と呼ばれるにいたり、着々と近代化が実現しています。その昔から今への発展の様子も見ることができます。

処刑台のギロチンも展示!

実際使われていたと思うとぞっとする

こちらは処刑に使うギロチン。フランスが植民地時代にベトナムに持ち込んだとされていて、抗仏戦争時には北ベトナムで、それ以降は南ベトナムで複数回処刑に利用されたとされています。

ここに展示されている品はすべてが歴史の産物。今のカントーに何かしらの糸でつながっています。南ベトナムを知りたい、ベトナム戦争を知りたい、ベトナム戦争を知りたい、そんな思いのあるカントー旅行者は、まずはカントー博物館でカントーのことを知ってみてはいかがでしょうか。

<DATA>

名称:カントー博物館(Bao Tang Can Tho)
住所:1 Hoa Binh St. Can Tho
営業時間:8:00~11:00、14:00~17:00(土日は18:30~21:00)
休業日:月曜、金曜

著者プロフィール

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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