ハノイ市中心に広がるホアンキエム湖は、ハノイ旅行の拠点として広く知られ、名実ともに最も認知されている湖です。しかし、今回紹介するのは「タイ湖」と呼ばれる湖。地元ローカルの香りが漂う素朴な町並みが広がるとともに、観光客が多く訪れる主要エリアでもあります。「ハノイで最も美しい湖」と呼ばれているタイ湖の魅力をお伝えします。

ホアンキエム湖北部に広がる

場所はホアンキエム湖からタクシーで15分ほど北上したところ。ホーチミン廟からだと、5分程度で着きます。バイクタクシーだと、かなりの確率でぼったくられる他、2人以上で行くならば断然タクシーの方が安上がりになります。

注意点としては、タイ湖は非常に広い湖なので、「タイ湖に行って」と伝えただけだと、タクシーの運転手もどこに行けばいいのか分かりません。目印となるのは「鎮国寺(Chua Tran Quoc)」と呼ばれる歴史あるお寺。運転手にはここに向かってくれるようお願いしましょう。

二つのハノイ1番を持つ湖

タイ湖は旅行者からすると、ホアンキエム湖ほど知名度はありませんが、二つのハノイ1番があります。

１、「ハノイで一番広い湖」

ハノイ市の地図を見ればすぐに分かるのですが、ハノイ市街地には10以上の大小の湖があり、ホアンキエム湖もその一つに含まれます。そして、タイ湖その中で最も面積が大きい湖です。

２、「ハノイで最も美しい湖」

ハノイの人々は、「数ある湖の中でも、タイ湖は最も美しい」と言います。早朝は青空市場がタイ湖周辺で開催されるほか、花市も定期開催されます。特に女性の日や旧正月前には多くの花々で湖周辺は賑わいます。

鎮国寺からもう少し北上すると、欧米人バックパッカーが多く滞在する安宿街もあります。ゲストハウスやミニホテルが並ぶ雑多な通りですので、こちらに観光がてら顔を出すのもおすすめです。

タイ湖の観光エリアで雑貨漁り

タイ湖の観光エリアは鎮国寺界隈。現地人はもちろんのこと、外国人観光客も多く行き交います。道幅の広い道路には電気自動車やシクロが停まっているので、タイ湖周辺を周遊することもできます。また、湖上には大型クルージング船が停泊していますが、こちらはナイトディナークルージングを楽しむことができます。また昼のみ営業の客船もあります。

徒歩で散歩すると、戻ってくるのが大変なので、ここで訪れたいスポットは最初に回っておきましょう。

鎮国寺付近は写真上のような雑貨を扱う露店が並んでいます。100%外国人観光客狙いなので、ぼったくるお店もあります。必ず値段交渉をしましょう。ただし、売っているものはポストカードやマグネット、小さな仏像や置物といった、いわゆるチープ雑貨で、あえてここで買う必要もありません。もしめぼしいものがなければ、雰囲気だけ味わってスルーするのもいいでしょう。

ちょっと変わった光景も

鎮国寺周辺を歩いていると、なにやら外国人観光客が多く集まって、湖の一点を見つめています。いったいなにを見ているのでしょうか......

タイ湖に浸かって何やらしているベトナム人の女性が。いったい何をしているのか傍に立っていたベトナム人に訊ねてみました。
「あれは貝を獲っているんだよ」。ここではたくさん獲れるからね。

声をかけておばさんに「たくさん獲れた？」と訊ねてみると、大きな声で「いつもこんくらいだよ！」と大きなザルを見せてくれました。ザルには小さなタニシのような貝がたくさん。これを市場で売るのかと訊ねたところそうではなく自分の経営している食堂の料理の素材に使うとのこと。ハノイでは貝を具につかったブン（米粉麺）やご飯料理があるため、そちらの具に使うようです。あさか自給するとは......感心です。

鎮国寺を参拝

鎮国寺は、ホン湖から17世紀にタイ湖に移された、ベトナム最古の寺といわれています。境内には十重の塔や白い仏像が安置されていて、本堂には関羽やチャンフンダオ像といった将軍や聖人を祀っています。

鎮国寺はタイ湖上の小島に建てられているため、境内に行く道は一本。旧正月になると、毎年行列ができるほどの人で溢れ返ります。本堂を含めた境内を一周しても30分かからない小さな寺院なので、タイ湖散策のプランに入れておきましょう。

ベトナムでは大仏や菩薩と一緒に、関羽や道教の女神なども一緒に祀られているのが普通です。仏教寺院は福建省由来が多く、海難や商売の神がご利益があるとされて、ベトナム人に愛されています。

ベトナム人の素朴な生活風景を

バイクに跨ってあてもなく町中を走る人や、湖畔のベンチで談笑する若者。1日中釣りに興じるおじさんたちと、タイ湖では素朴な彼らの生活をのぞくことができます。観光に追われることもなく、ただただ日が落ちるまでボーっとしている、そんな時間もハノイ旅行の魅力でもあると思います。