ベトナム料理といえば、米粉を使ったフォーや生春巻きが日本では知れ渡っています。しかし、現地に行けば、それだけではなく、実に豊富な種類の料理があり、その数は日本に匹敵するほどでもあります。旅行者が普通に行くベトナム料理店は主にレストラン、食堂、屋台のいずれかとなりますが、今回はベトナム料理を楽しむ上で知っておいてほしい10か条をご紹介します。
1、高級料理も低予算で楽しめる
北部のハノイや南部のホーチミンの都心部には内外装、雰囲気、料理すべてにこだわった高級レストランがいくつもあります。ベトナム人は高所得者しか利用することはなく、客のほとんどは外国人。しかし、日本人旅行者であれば、そんな高級レストランにも足を運ぶことができます。高級レストランといっても、その基準はベトナムでのもの。一人当たりの予算を日本円にすると、約ベトナム料理であれば3000円程度です。節約する旅行もいいですが、何度かは高級レストランでラグジュアリーな気分を味わうのもいいものです。
2、フォー以外の麺を食べる
日本人にとって、ベトナム麺といえば「フォー」しか思いつきません。フォーは事実ベトナム全国で食べられ、レストランから食堂、屋台といたるところで食べることができます。ベトナム人の間では朝食や夕食で食べる麺料理の代表でもありますが、実は国民食といえばフォーではなく「ブン」。同じ米粉麺ですが、ブンはさまざまな調理法があり、ブンを使った料理は非常に種類多くあります。「ブンリウクア」、「ブンマム」、「ブンチャーハノイ」、「ブンカー」などなど。さらに米粉麺以外でも、タピオカ粉を使った「バンカン」、ベトナム風かた焼きそばの「ミーサオジョン」など非常に豊富です。ベトナム旅行では、フォー以外の麺料理も楽しんでみてください。
3、郷土料理を調べる
日本でも地域ごとに特色ある郷土料理があります。秋田のきりたんぽ、千葉のなめろう、北海道のジンギスカン、長野の信州そばなどなど......。これはベトナムでも同様で、北はハノイ、南はメコンデルタに至るまで、各地のエリアで特色ある郷土料理が存在します。ちなみに、名物料理でもあるフォーは北部が発祥です。中部ダナンは海鮮やブンマムと呼ばれる調味料、ホイアンは日本人が伝えたとされるカオラウ、中南部リゾート地ニャチャンはブンカー、南部ホーチミンはバインセオ、メコンデルタ地方はマムと呼ばれる魚の発酵調味料を素材にしたブンマムやラウマム。基本探せば全国で食べられるものがほとんどですが、事前に下調べしないと、歩いているだけでは見つかりません。
4、一度は贅沢フレンチを楽しむ
ベトナムは100年以上の間、フランスの統治下時代をおくっていました。現在でも建築や食文化など随所にフランスの文化が根付いているのが、かつてインドシナと呼ばれていたベトナムの特徴でもあります。ベトナムに来たからには、高級フランス料理もベトナム文化の一端として楽しんでほしいところです。ベトナムには仏僑、越僑のフランス人、ベトナム人が経営しているフレンチレストランがありますので、本格的なフランス料理を堪能することができます。予算はピンキリですが、一人5000円程度から楽しめます。ベトナムフレンチのフォアグラは、ベトナム産の鴨を食材にしているのがほとんどで、比較的リーズナブルです。
5、食堂ではルールを覚える
ベトナム人が普段食べているベト飯(ベトナム飯)を堪能したいなら、食堂へ行くのが手っ取り早いですね。しかし、なんの知識もないまま食堂へ行っても、どのような手順で注文するのかわかりません。食事どきは多くの現地人でいっぱいになるので、立ち往生していると店員に怒られることもあります。一般的に食堂では数十の惣菜の中から1~2品程度指さしで選びます。その後席に座ると、皿飯に惣菜が盛られて運ばれてきます。ご飯は無料ですが、おかわりは有料。スープも無料です。
6、おしぼりとお茶は有料の場合が多い
おしぼり(ウェットティッシュ)はテーブルに備えられているか、客が着席すると店員が持ってきてくれます。いずれもそのほとんどが有料で、一枚2000ドン程度とられます。また、日本でいうおひやは、ベトナムではお茶となります。こちらは無料のところもあれば、有料のところもあります。有料の場合は、こちらも一杯2000ドン程度となります。ちょっとキレイめのレストランだと5000ドンや1万ドンとられるところもあります。気になる方は無料かどうか聞くといいでしょう。
7、屋台料理は若者の流行食
ベトナム人は老若男女屋台が大好き。子供からお年寄りまで道端の屋台を楽しんでいる光景を見られます。屋台グルメを楽しみたいなら、夜がおすすめ。気温が涼しくなった時間になると、ベトナム人の若者を筆頭に続々と屋台に集まります。屋台から生まれたB級グルメが数年後に定番化してベトナム料理レストランのメニューに載ることもあり、屋台はベトナムグルメの宝庫といえます。レストランや食堂では見られない、ユニークグルメもあるので、気になったら立ち止まって試食してみましょう。もちろん値段はどれも格安です。
8、コンセプトレストランを楽しむ
近年はベトナム料理レストランでもコンセプトレストランと呼ばれるユニークな内外装の店が増えてきました。例えば写真のこちらはホーチミンにあるベトナム料理レストラン。ウッド調の内装に泥壁で覆われています。これは北部山岳地帯に暮らす少数民族の一般家屋をイメージした内装となり、さながら山岳民族の村中に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。他にも南ベトナムの古き良き時代を模した店やベトナムの伝統建築を再現した店など、飽きることがありません。料理だけではなく、雰囲気も楽しんでいってください。
9、フエ料理はベトナム料理とは一線を画す
中北部フエは古都と呼ばれ、ベトナム最後の王朝が存在していたエリアです。かつて北部ベトナムはタンロン(現ハノイ)を首都に置いていましたが、その後勢力をフエに移動。約150年の間、歴代阮朝皇帝が支配をしていました。そのフエで食べられていた料理は一般のベトナム料理とは一風変わったものが多く見受けられます。フエ庶民が親しんでいた料理から、皇帝が嗜んでいた宮廷料理まで、その種類は数多く、他のエリアではフエ専門店で食べることができます。いずれもベトナム料理とは一線を画し、「フエ料理」と特別扱いされています。一度はフエ料理を楽しんでみてください。
10、飲食店はすべてテーブル会計
ベトナムの飲食店はすべてテーブル会計です。伝票を持ってレジに行く日本式とは異なるので注意してください。基本レストランでは、食後は手を挙げて店員を呼び、会計の旨を伝えます。英語で「チェック」、「ビル」と言えば通じるでしょう。店員が伝票を持ってきてくれるので、ここで会計を済ませます。お釣りがある場合は、席から離れないで、お釣りを持ってきてくれるのを待ってください。お釣りが1000ドン、2000ドンであればチップと勘違いされてお釣りを持ってきてくれない場合もあります。ご愛敬と思って席を立つか、お釣りを要求するかは旅行者の自由となります。
より楽しく、よりおいしく
ベトナムに限らず、海外旅行先ではその国の名物料理を食べ歩きたいところです。旅行者に人気のレストランもいいですが、外国人向けに味付けが変えられていることもあるので、本当に現地人が食べている料理を食べたければ、ローカル食堂へ行ってみましょう。ただし、衛生に不安があるので、食べ過ぎには注意が必要です。