ベトナムの中部旅行では、ダナン、ホイアンに続いて人気のある都市がフエとなります。歴代阮朝皇帝時代に作られた建築物が世界遺産に登録されたのが1993年。これはベトナムでは初となるユネスコ世界遺産でした。歴史的には「最後の王朝」があった場所として知られていて、日本の江戸に当たるエリア。皇帝は歴代13代が統治しており、その間は一貫して政治の中心はここフエでした。
今回はそのフエ旧市街を散歩してみたいと思います。
フォーン川が隔てる2つの町
フエは町の中央にフォーン川が東西に流れていて、その川より北が旧市街、南が新市街となります。世界遺産に登録されている多くは新市街方面ですが、旧市街には皇帝のおひざ元となる宮殿があります。今回はこの旧市街周辺を歩いてみます。
何気ない散歩で歴史情緒を感じる
ガイドブックや観光サイトで紹介されている大部分は世界遺産の名所のみで、市内のタウン情報はほとんど見つかりませんね。まだ日本人旅行者にとって、フエは観光地として確立はされていないようすです。しかし、フエの町を知れば、きっと世界遺産見学のみに留まらず、1泊、2泊して町観光もしたいと思えるはずです。
新市街は旅行者も多いことから、ショッピングセンターやラグジュアリーホテルが並ぶようになり、ちょっとずつ町として変化がありますが、ここ旧市街は変わらずこんな感じ。通り沿いには隙間なく個人商店が並び、コンビニやスーパーではなく、市場やパパママストアで買い物する。夜になると屋台が歩道に並び、温かな屋台料理を食べに子供や大人たちが集う。
阮朝王宮は世界遺産観光の要所。その傍らでは、夕暮れときに子供たちがサッカーを楽しんでいるのも毎日の光景。世界遺産の敷地で縦横無尽に駆け巡る子供たちを見ていると、フエの市民は古くから世界遺産と共存しているのだということを肌で感じます。
旧市街散策の醍醐味は下町食堂にあり!
フエ旧市街の阮朝王宮周辺を歩いていると通りのいたるところに御覧のような食堂を見かけます。下町らしさ満載の風景ですが、実は旧市街周辺には冷房が効いていて、愛想のいい店員がいるような屋内レストランはほとんどありません。旅行者は旧市街散策においては、このような下町食堂で食事をとることになるでしょう。
旧市街にあるこちらの食堂は旅行者も訪れるせいか、メニューがありました。とはいえ、実際はメニューを見るより、おばちゃんが作っている料理を見て、指さしで「これ頂戴」と伝えた方がいいです。こちらの食堂はベトナム人の間で知られているコムヘン(Com Hen)というシジミご飯が人気。
下町名物を楽しむ!
しじみご飯のコムヘンはフエの下町料理として人気が高く、この「ホアドン(Hoa Dong)」は、とりわけコムヘンがおいしいと評判。ただ、店の通り沿いには他にも十店舗近くのコムヘンを出す食堂がありますので、まずは歩いてみて、第一印象でお店を決めるのもいいでしょう。ちなみに、ホアドンではしじみご飯の他、米粉麺のブンがメインのブンヘン、インスタント麺がメインのミーヘン、おかゆがメインのチャオヘンなどがあり、いずれも一杯75円と格安。
こちらは小皿に半透明の餅を敷き詰めて、でん部やフライドオニオンなどを散らした「バインベオ(Banh Beo)」という料理。フエ料理の象徴として知られていて、ここでは5皿でなんと50円!ホーチミンやハノイでも食べることはできますが、フエ料理の専門店に行かないと食べられません。フエ観光で必ず押さえるべきグルメといえます。
フエ旧市街を観光ルートに入れてみてはいかが
フエの旧市街はホイアンと比べると、非常にリアルな下町を歩くことができます。そこに住む人々の息遣いをそこかしこに感じることができ、さらにフエの大衆料理を巡ることができるのは、旧市街散策ならではの楽しみ。阮朝王宮の見学と一緒に、是非周辺観光も楽しみにしていてください。