ベトナムの中部は近年ビーチリゾートとして人気を集めていますが、それ以前はホイアンやミーソン遺跡、フエといった歴史遺産が眠るエリアとして注目されていました。現在もそれは変わらず。特にフエはベトナム最後の王朝があった都として知られていて、年間に多くの外国人旅行者が訪れます。
今回紹介する「ティエンムー寺」は、400年の歴史を持つ格式高い仏教寺院。フエの市内観光ツアーでは必ず行く定番どころでもあります。
アクセス
フエは大きく分けて旧市街と新市街に分けられていて、観光客が滞在するホテルや、世界遺産となる歴代皇帝の廟や別荘地があるのは、いずれも新市街の南側となります。旧市街から新市街に入る場合は、両市街地を隔てているフォン川をボートで渡るか、もしくは徒歩で行くことができます。シクロやタクシーでも気軽に入ることができます。
阮朝王宮見学後に行こう
新市街から入る一般の旅行者は、まず旧市街正面に広がる阮朝王宮を2時間ほどかけてじっくりと見学することになります。もし敷地内にある美術館や博物館も見て回りたいなら、さらに時間がかかりますが、隈なく見学するよりは、ポイントを押さえるように見学する方が効率がいいかと思います。
ティエンムー寺は一般的に、この阮朝王宮の見学が終わったあと、1日の市内観光の最後に行くスポットとなります。個人で行く場合も、阮朝王宮後にタクシーに乗って向かうのがいいでしょう。
ティエンムー寺はフォン川の湖畔から石段を上がった小高い場所に建てられていて、正門となるのは中国の王宮に倣った3つの門。本来ならば真ん中は開いていないのですが、ティエンムー寺は開け放たれていますね。
この正門をくぐるとすぐに見えるのが、八角の塔。フエのシンボル的存在で、旧市街の遠くからでも見渡すことができます。ただし、見学は遠目からで、旅行者の皆さんはさらに進んだ奥にある寺院本堂へと歩くことになります。
天女の伝説が残るティエンムー寺
ティエンムー寺には天女の伝説が残っています。それによると、16世紀の広南朝時代、皇帝グエンホアンがこの地に訪れた際、村人から老婆のお告げを聞きました。それによると、その老婆は「この地にいずれ真の指導者がやってきて、塔を建てるだろう」と予言していったそうです。この塔は霊気と龍脈を集める場所に建てられるとのこと。
これがティエンムー(老姥)の寺の由来。その老婆は実は天女だったのではないかと言われているため、天女の寺とも呼ばれています。
格式高い仏教寺院の様子を見る
日本人はお寺や神社で参拝するときは、焼香、線香、そして合掌くらいのもの。中には神社のように拍手する人もいるかもしれませんね。仏教大国のベトナムでは、御覧のよう跪いて頭を下げる参拝方法となります。
全員が跪くわけでもなく、合掌のみで参拝を終える人もいますが、その合掌も頭を上下に揺らしたりと、日本のそれとは異なります。非常に興味深いものがあるので、是非見学しておきましょう。
本堂では僧侶たちの参拝の様子を見学することもできます。日本ではあまり見る機会がありませんが、ベトナムの寺院では子供から大人まで多くの僧侶が寺院で暮らしているので、御覧のような光景も日常から見ることができます。
本堂に祀られているのは釈迦像。ベトナムでは道教の女神である媽祖や中国の神である関羽や孫悟空などが祀られていることが多々ありますが、ティエンムー寺は釈迦像のみ。ここが由緒正しき仏教寺院であることが分かります。
帰りはボートでフォン川を周遊
ティエンムー寺の見学が終わったあと、そのままホテルへ戻るのであれば、タクシーを使わず、寺の前に停泊しているボートに乗って移動してみるのはいかがでしょうか。数百円で乗ることができ、およそ15分程度、ゆっくりと揺られ、フォン川を周遊しながら新市街地の船着き場に到着します。最後まで旅情緒を楽しんでいってください。
<DATA>
名称:ティエンムー寺(Chua Thien Mu)
住所:Chua Thien Mu Kim Long St. Hue
営業時間:5:30~17:30