日本人の多くはお正月の三が日に初詣に行くことでしょう。普段はお寺や神社に行かないような人でも、この時ばかりはお正月気分を味わうために足を運びますね。
実はそれはベトナムでも同じです。2018年2月16日はベトナムのお正月。16日~18日の間で、仏教徒のベトナム人は多くが寺院に参拝に行きます。
田舎町も正月は国旗がなびく
日本ではあまり見かけない光景ですが、ベトナムでは毎年の恒例。正月になると、各家の門前や通りには御覧のようなベトナム国旗が掲げられます。
お正月期間はどこの家も不在で門が閉まっていますし、お店はシャッター街と化していますが、それでも国旗は常に風になびいています。この風景を見ると、「日本とはまるで違う習慣なんだなあ」と感慨深くなります。
田舎にある仏教寺には牛がいる
田舎町といっても、ホーチミンの都心から車で40分程度走れば、そこは辺り一帯田園風景が広がります。椰子の木が並ぶ中には戸建ての小さな家がぽつぽつと建っているのが見えます。
夫は鶏や牛、鴨などを飼育し、妻は市場へ物売りに......そんな絵に描いたような素朴な生活をここでは覗くことができます。この田舎町にぽつんと立つ仏教寺院の敷地には、数頭の牛が飼育されています。時には放牧されているので触ることも可能ですし、子供は背中に乗って遊んでいたりすることもあります。
ベトナムでは牛と人は密接な関係があり、古くから家畜以上の存在として親しまれてきました。いまでも田舎の仏教寺院では僧侶が牛を飼っているのは特別珍しくはありません。
田舎の寺院は本堂が一つに僧侶が住む僧房があるだけが普通。仏像は釈迦が定番で複数体安置されていて、仏教徒は50cmはある長い線香をすべての仏像にあげて参拝します。
日本とも所縁がある永厳寺(ウィンギエム)にお参りを
こちらは永厳寺(ウィンギエム)。ホーチミン市内中心部にあり、統一会堂から北に10分ほど上っていく見えてくる大きな仏教寺院です。ガイドブックでも決まって掲載されている定番の観光スポットですが、ベトナム人にとってはホーチミン市内では最大級の格式高いお寺。
本堂入口傍には、平和の鐘と呼ばれる鐘楼があり、正月期間は一般の参拝者も自由に鐘をつくことができます。こちらの鐘楼は日本の僧侶が寄与したことで知られ、側面には日本語で平和と友好の文字が刻まれています。
本堂内部には大勢の参拝客と観光客で込み合っています。正面には小さな仏像が複数体横に並んでいて、その奥には高さ5mはある巨大な黄金の大仏が鎮座しています。普段の雰囲気とは異なり、大量の供え物や花が活けてあり、特別な雰囲気が流れているのが分かります。
とは言っても外国人観光客も多いですし、写真撮影も自由。ちょっとしたお祭りムードでもあるのがベトナムらしいところです。ちなみにベトナムは日本と同じ大乗仏教。戒律が緩いため、部外者にも寛容です。
テト正月期間中はほとんどのお店が閉まっていますので、レストランを見つけるのも一苦労します。そんなときは、永厳寺の敷地内にある精進料理食堂で食事をとってみてはいかがでしょうか。
精進料理というと、僧侶が食べる淡泊な料理を想像しがちですが、ベトナムではいたって普通で、ダイエット目的で女性がよく食べる日常的な食事でもあります肉魚を抜いただけなので、野菜が詰まった春巻きや野菜炒めなど、どれもおいしいものばかりです。
こちらは「ヌックミア」と呼ばれるサトウキビジュース。潰したサトウキビに柑橘の効いたカボスを入れるので、さっぱりしています。ベトナム全国で飲める屋台ジュースで、値段も25円~50円ほど。精進料理食堂の前に屋台があり、実は永厳寺の名物。随分と昔から毎日ここで営業しています。
ベトナムのお正月旅行は寺院参拝からはじめよう
もしテト正月期間にベトナムにやってきたのであれば、市内観光を始めるにあたって、最初は仏教寺院に参拝に行くことから始めましょう。行商から線香を買って、現地人を真似て参拝するのもいいですし、カメラを片手にベトナム人の参拝の様子を見学するのもおすすめです。仏教大国としてのベトナムの顔を見ることができる貴重な体験ができることでしょう。