近年ホーチミン市内でちょっとしたブームとなっているのが、「ルーフトップレストラン」。ビルやアパート、ホテルの屋上で営業しているお店で、どこのお店も流行りに敏感な若者でにぎわっています。いずれも高層階なので昼間でも幾分風が吹き込んでいているので、ランチで足を運ぶのもいいでしょう。
今回紹介する「シークレットガーデン」は、その流行の火付け役と言ってもいいパイオニア的存在。筆者が最初に知ったのは、ベトナム航空の機内誌に紹介されていたのがはじまり。今回は人気のルーフトップレストラン「シークレットガーデン」をご紹介します。
アクセス
シークレットガーデンのあるパスター通りは、ドンコイ通りに次ぐ旅行者のメッカ。雑貨店もそうですが、オーダーメイド専門店が目立つのが特徴。日本人旅行者も多く行き交っています。また、パスター通りとの交差点にあるレロイ通りは、グエンフエ通りとの接続場所において、2020年開通予定の地下鉄メトロの工事中となっているため、バイクや車がパスター通りに流れ込んで渋滞しています。歩行者は道路の横断の際は気を付けてください。
パスター通りを少し北上すると、右手に細い路地があります。その先はかなりローカル色漂う雰囲気で、右には北部料理ブンダウを食べられる食堂があり、左には古めかしいアパートメントがあります。今回紹介する「シークレットガーデン」は、そのアパートメントの屋上。エレベーターはないので、少ししんどいですが、歩いて階段を上がってください。お店はその屋上にあります。
自分だけの行きつけにしたくなるお店「シークレットガーデン」
シークレットガーデンを訳すと、「秘密の庭」と言い替えることができます。コンセプトはその名の通り。ガーデン調の内装は努めて庭を演じていて、日本ではまず見られないような光景が広がっています。もともとオープンエアのレストランはベトナムではいたって普通ではあるのですが、このように屋上にあり、なおかつしっかりと内装とコンセプトにこだわったお店というのはいままでまったくと言っていいほどありませんでした。現地人にとっては、あまり他人に教えたくない行きつけのお店として、旅行者にとっては秘密めいた穴場のレストランとして活躍してくれるでしょう。
シークレットガーデンのこだわり
シークレットガーデンのこだわりは雰囲気だけではありません。それに一役買っているのが「食器」。料理が盛り付けられる、一見なんの変哲のない食器ですが、これらはベトナムの伝統手工芸品。そこらへんの市場などで買えるものとは質が違います。数年前のベトナムには見られなかった「細部にいたるまでのこだわり」がうかがえ、それは日本と共通しています。
テーブル席傍にうかがえるランタンは中部の伝統。中部ホイアンは1999年にユネスコ世界遺産に登録された町で、かつては日本や中国などと交易をしていました。ランタンはそのときに伝わったものとされていて、現在ではホイアンの名物土産として旅行客に支持されています。日本人であればランタンを見ていると、ふとなんだかノスタルジー香る気分になります。古き良き昭和を思い出すような、そんなセピア色のほっこりとした気になるから不思議です。
自慢の料理は1つ1つ手作りで
シークレットガーデンは料理にもこだわりを持っています。決して冷凍物は使わず、すべて1つ1つ手作り。本当においしいベトナム料理を作りたいのであれば、素材のおいしさを引き出す調理法だけで十分とのこと。だからこそ調理法だけではなく素材からこだわりを持っています。
こちらは肉団子を揚げ豆腐に挟んで煮た一品。ソースはトマトベースの少しだけ酸味が効いたもので、大衆料理の一つとして古くから食べられています。現在でもそこらへんの食堂に行けば見かける料理で、家庭の食卓にも上がる定番の一品でもあります。もちろん味は食堂とは一味も二味も違います。
日本人にはあまりなじみのない空心菜。「中華料理で使う食材」、「好きだけど、ちょっと高いから食べる頻度は少ない」というお声をよく聞きます。そんな空心菜はベトナムではかなりメジャーな食材の一つで、空心菜をニンニクと炒めただけのシンプル料理も定番の一つ。こちらは牛肉といっしょに特製ソースで和えたサラダ仕立ての一品です。ヌクマムに刻み唐辛子、ニンニク、砂糖、レモンを絞ったヌクチャムと呼ばれるタレをふりかけると味が一層引き立ちます。
牛肉をミディアムレアでソテーして、キャベツなど幾種の野菜を添えたシンプルかつ間違いない味わいを提供してくれる料理。ミディアムレアときくと西洋のイメージがありますが、ベトナム人も古くから牛肉をミディアムレアで食べる習慣があり、名物でもあるフォーの具に使われる牛肉の細切れもミディアムレアが基本です。
シークレットガーデンで憩いの時間を
滞在期間の短い旅行者は、「どこでどんな料理を食べるか」が非常に考えどころ。行き当たりばったりで見つけるのもいいですが、本当に後悔しない旅を実現したければ、やはりある程度行く場所は日本にいるときからピックアップしておきたいところです。そんなときに、シークレットガーデンは第一候補に入れてほしい、そんなお店であります。
<DATA>
名称:シークレットガーデン(Secret Garden)
住所:158 Bis/40-41 Pasteur St.Dist.1
営業時間:8:00~15:00、17:00~23:00