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シェムリアップの観光エリア情報

カンボジアのシェムリアップは、毎年18万人の日本人旅行者が訪れる一大観光都市です。しかし、「シェムリアップ=アンコールワット」のイメージが定着しているので、現地に行ってアンコールワットの見学を終わったら、「次どこ行こうか?」となりがち。シェムリアップは遺跡観光がメインであることは事実ですが、遺跡だけを見てもアンコールワット以外にも見どころはたくさんありますし、遺跡以外の観光エリア、博物館などもあります。

シェムリアップ観光を計画している旅行者は、アンコールワット以外の観光エリアにも目を向けて、しっかりとした観光計画プランを練るようにしましょう。今回はシェムリアップ旅行者が訪れるべき観光エリアをご紹介します。

世界遺産「アンコールワット」は見逃せない

正面に佇むアンコールワット

12世紀にスーリヤヴァルマン2世によって建立されたヒンズー教寺院「アンコールワット」。30年という膨大な年月を費やして完成されたこちらは、現在ではカンボジアに留まらず、アジアを象徴する世界遺産寺院となっています。

シェムリアップの市街地から北上すること15分程度で着くためアクセスの利便性もよく、ツアー参加だけではなくトゥクトゥクで行くことも可能。日の出を鑑賞するサンライズツアーも人気で、早朝に見るアンコールワットは普段とはどことなく違った幻想的な雰囲気を漂わせています。

アンコールワットに次ぐ大遺跡「アンコールトム」

アンコール遺跡の集大成と呼ばれるバイヨン遺跡

よく誤解されている方がいますが、世界遺産はアンコールワットだけではありません。アンコールワットはその象徴と言えますが、実はアンコールワットの周辺に散らばる遺跡もすべて世界遺産として認められていて、厳密に文化遺産に登録されているのは、アンコールワットではなく同遺跡含む「アンコール遺跡」となります。アンコールトムはジャヤーヴァルマン7世により12世紀後半に建設された遺跡群。アンコールワットよりも実は建築学的要素は深く、その象徴ともいえるバイヨン遺跡はアンコール建築で最も美しく、神髄とも言われています。

アンコールチケットで鑑賞することができる遺跡でもあるので、アンコールワットと同日に足を運ぶといいでしょう。現地では遺跡ツアーが多々組まれていますが、その多くはアンコールワットと、複数の遺跡群からなるアンコールトムを巡るツアーとなります。

アンコール遺跡の原点がここに「ロリュオス遺跡群」

アンコールワットよりも時代は大分遡る

アンコールのある市内より東へ20分~30分ほど進んだところにある遺跡群が「ロリュオス遺跡」。時代は9世紀まで遡り、アンコールワットよりも古い初期の時代に建設された遺跡群となります。バコン、ロレイ、プリアコー、トトントガイなど複数の遺跡群がありますが、見どころとなるのは最初の3つ。こちらもアンコールチケットで見学可能となります。

アンコールワットから少し離れているエリアですので、アンコールワットとトムと同日に向かうとなると1日がかりとなります。ただし、ロレイ遺跡内には仏教寺院とそこで暮らす子供たちの生活の様子もうかがうことができ、史跡巡り以外の要素も楽しめるおすすめのスポットとなります。

郊外遺跡エリア

バンテアイスレイ

シェムリアップ市街地から気軽に行くことができる主要アンコール遺跡はアンコールワットにはじまり、アンコールトム、ロリュオス遺跡群が主。その他タプロームや東メボン、プレループといった遺跡もぽつぽつと点在しているので、スケジュールの都合によって訪れるようにしてください。

さらに半日から1日かけて回る郊外遺跡としては、「ベンメリア」、「コーケー遺跡群」、「プレアヴィヒア」、「バンテアイスレイ」などがあります。いずれもツアーに参加して効率よく回るのがおすすめです。

ココナッツシュガーをお土産に「プラダック村」

シュガーの他に手作り雑貨なども買える

アンコールワットから北西へ進み、東メボンやプレループ遺跡の傍には「プラダック村」と呼ばれるエリアがあり、通り沿いにはココナッツシュガー含むパームシュガーや手作り雑貨を売る平屋や屋台が並んでいます。お土産にも人気のパームシュガーを手に入れたい方は、このプラダック村、もしくはさらにバンテアイスレイ方面北上する道中に並ぶ屋台に向かうといいでしょう。

ここで買えるパームシュガーは近隣の家々で作られていて、製造過程を見学することも可能です。もちろん写真撮影も問題ありませんが、その際は謝意を込めて一つお土産に買っていってください。

水上集落が見どころ「トンレサップ湖」

トンレサップ湖の乾季の様子

市街地から車もしくはトゥクトゥクで南方へ向かったところに広がるトンレサップ湖は東南アジア最大の湖。雨季の時期は最大琵琶湖の20倍近く大きくなり、乾季でも4倍以上の面積を保つ広大な湖です。延べ100万人が暮らしていて、観光で行けるスポットは2~3つ。定番となるのはチョンクニアとコンポンブルックの村。いずれも約800世帯、2000人が暮らしていて、その多くは高床式の水上家屋。雨季の時期になると10m近く水位が上がるため、人々の移動手段はボートとなります。水上家屋をゆっくりとボートで眺めたいのであれば、雨季である6月~11月に訪れるのがベスト。

村の中では子供たちの学校や塾なども見学することができます。貧困の部類に入るので、謝礼の気持ちも含めてお土産を一つ買ったり、多少の寄付をすると感謝されます。

郊外の「地雷博物館」は必見

地雷の撤去作業を自ら進んで行っている

市街地から40km弱北上したところにぽつんとある地雷博物館。カンボジア人のアキーラ氏は、現在も国内に埋まっている地雷を一つずつ撤去している慈善家。CNNで「世界のヒーロー10人」にも選ばれたアキーラ氏が建てた博物館で、実物の地雷や撤去作業の様子を模型や写真で解説してくれます。

カンボジアにはいまだ600万個以上の地雷が埋まっているとされ、毎年地雷を誤って踏んでしまう被害者が多数報告されています。地雷は半永久的に稼働する兵器で、カンボジアは国際条約を守らず、地雷の場所を記した地図を作っていなかったため、撤去作業が捗らないことが問題となっています。カンボジアと地雷、深刻な結びつきを感じることができるこちらの博物館には、是非訪れてほしいです。

コウモリを見物!ロイヤルインデペンデンスガーデン周辺

コウモリの棲み処となっている広場

昔の歴代国王が暮らしていたとされる王宮傍には、緑豊かな広場が広がっています。敷地内では現地人と旅行者が行き交う憩いの場で、クメール人にとって由緒正しい仏教寺院もあります。屋台や行商も多数出ているので、遺跡観光の小休止に立ち寄りたいところ。

この広場はコウモリの棲み処としても知られていて、頭上を仰ぐと、木々の枝に無数のコウモリを見ることができます。日中でも写真上のように飛び回っている姿を見ることができ、ちょっとした名物スポットとなっています。

ポルポト政権を嘆く「キリングフィールド」

数多くの頭蓋骨も見られる

ポルポト政権時に大量殺りくされた刑場跡をキリングフィールドと呼び、カンボジア国内に100か所ほどあると言われています。こちらはシェムリアップの中心市街地、アンコールワット付近にあるキリングフィールド。現在では慰霊を込めて仏教寺院が建てられていますが、当時は一般人、識者、文化人、芸術家などが次々と殺され、いまでも人骨や遺品が収められています。

クメールルージュを率いるポルポト政権時には、当時の人口の3分1を殺りくしたとされていて、これが現在でも発展が遅れている大きな要因の一つとなっています。アンコールワットなど華やかな歴史遺産が残る一方、ポルポト時代の暗く深刻な影を見ることも忘れないようにしましょう。

何泊滞在しても飽きない「中心市街地」散策

オールドマーケット近くには屋台が並ぶ一角がある

最後に紹介するのはシェムリアップの中心市街地。シヴァタ通りをメインストリートに、その傍らにはアンコールナイトマーケット、パブストリート、オールドマーケットなどが並び、ちょっとした繁華街となっています。半径300m程度のエリア内にお土産店やマッサージ店、レストランなどが所狭しと並んでいて、夜だけではなく日中散策もおすすめ。

シェムリアップ観光では遺跡巡りで1日費やしてしまいがちですが、ゆっくりと市内散策をして時間を持て余すのもいいものです。いずれも徒歩で巡ることができますし、市内中心エリアであればホテルまでトゥクトゥクで1~3ドル程度で運んでもらえます。

充実したシェムリアップ観光を

いかがでしたか。シェムリアップがアンコールワットだけではないことが分かっていただけたかと思います。遺跡だけでも1日では到底回りきることはできませんので、予め的を絞って効率よく回り、また遺跡以外の観光スポットにもできるだけ多く足を運んでみてください。

著者プロフィール

ペンネーム: サイゴンの便り
学生時代にベトナムの民話と民族を研究して以来、毎年一回はベトナム旅行を楽しむように。そして、2011年に念願だったベトナムへの移住が決定。現在はトラベルライターとして、ベトナム各地の観光情報を読者にお届けしています。旅行者が寄り付かないようなローカルエリアに住んでいるので、毎日のんびりとした素朴な時間をおくっています。趣味はバドミントン。

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