日本に住んでいると、それが当たり前、あるいは至極自然なことであっても、外国人から見ると驚く珍風景に映ることも多々あります。そのことを知らないでベトナム現地でも同じ振る舞いをすると、場合によっては現地人から訝しがられ、ときには怪しまれることも。指をさされて笑われるちょっと恥ずかしいこともあるかもしれません。
今回はベトナム人に聞いた「日本人の不思議なところ」を7つご紹介します。
不思議その1:日本人のファッションセンス
ベトナムでも一昔前から韓国のドラマがお茶の間で人気になったことから、現在でも韓国のファッションは幅広くベトナム人女性に受け入れられています。ベトナムのファッションは日本人女性からすると、ちょっと派手目で露出が多いセクシー系が流行りの様子。ですので、ベトナム人女性は「日本のファッションは地味!」という印象があるようです。
しかし、ここでベトナム人が首をかしげるのが、日本の原宿や渋谷に歩いているような個性豊かな服装や髪型をした若者たち。しかも周囲は大して振り向きもせずに素通り。ベトナム人が原宿を歩くと、「なんか宇宙人みたいな人がたくさんいた」と思い、地味なファッションとのギャップを不思議に思うようです。
不思議その2:アニメと生きる日本人
「アニメ=子供が見るテレビ/漫画」という世界の概念を打ち破った日本。スピリッツやモーニングといった漫画を大人が読み、テレビではアニメを見る。これはベトナムでは少々考えられないこと。ベトナム人もアニメは好きですが、やはりせいぜい学生まで。ベトナムではクレヨンしんちゃんやドラえもんといった子供向けアニメはありますが、日本人の20代30代が特に見るようなアニメはありません。「日本人って頭がいいのに、なんで漫画を読むの?」と不思議がられることもあります。
不思議その3:なぜ家族と仕事を天秤にかけるのか
「仕事と私どっちが大切なの!」というドラマにありがちの台詞。そんな台詞を言われるほど、日本人にとって残業、休日出勤は半ば当たり前となっています。しかし、ベトナムでは仕事と家族は天秤にかけるまでもありません。なんてったって、お正月に実家の両親のところに帰省して、「居心地がいいからこのまま会社休む」というのがベトナム人なのだから。ベトナム人にとって一つの会社で何年も働き続けるのはナンセンス。少しでも不満があれば、すぐに転職を考えます。20代前半にも関わらずな3~5社勤務経験をしているベトナム人も普通です。日系企業で働くベトナム人も、多くが「残業自体嫌なのに、サービス残業なんてありえない」、「どうしてそんなに日本人は働くの?」といつも首をかしげています。
不思議その4:間食がなぜダメなの?
ベトナム人にとって食事は体の原動力。もしお腹が好いていればところかまわず間食をします。例えば、大切な人との記念日に、ちょっと高級なフレンチレストランを予約します。そして、お腹を空かしてお店に向かって移動中、なにやらガソゴソと物音が......。振り向くと、なんと彼女がお菓子を食べているではありませんか。「もうすぐお店につくんだよ?なんで食べちゃうの。お腹いっぱいになっちゃうじゃん!」と慌てても、ベトナム人の彼女はこういいます。「だってお腹空いたんだもん。ちょっとくらい大丈夫よ」と。ちなみにこれは普段の家庭でも同様。食事前にお腹が空いてしまったら、なにかつまんでもお母さんは何も文句言いません。「なんでそんなに怒るの?」とまったく悪びれた様子もないベトナム人に、日本人はげんなりしてしまうときがあります。
不思議その5:レシートをなぜチェックしない?
「日本人とレストランに食事に行ったけど、彼はお会計時にまったくレシートを確認しないでお金を払っていた」
「なんで日本人はレシートを確認しないの?店員が間違えているかもしれないし、ぼったくられているかもしれないのに」
ベトナム人は不思議そうに日本人を見ます。日本人の中にはもちろん一つ一つ商品をチェックする人もいるでしょうが、たいしてチェックしないでレシートをくしゃっとポケットに突っ込んだり、従業員に「捨ててください」と返す人も多いですよね。ベトナム人はレストランでもスーパーでも、買った(食べた)商品とレシートは必ず照らし合わせます。よくある間違いは、頼んでもいない、もしくはキャンセルした料理がレシートに打たれていたり、使っていないおしぼり(有料)がレシートに含まれていたりします。また、スーパーでも時折表示金額とレシートの金額が異なるときもあります。ベトナム人にとってレシートを確認しないのは、相手を100%信用するということ。危険のようです。
不思議その6:女性から告白するバレンタインデー
ベトナムでは共産主義圏で盛んの「女性の日(国際婦人デー)」が年に2回あり、男性が花束などプレゼントを女性に贈る日として認知されています。2月14日のバレンタインデーは一昔前まではそれほど浸透していませんでしたが、ここ数年で誰もが待ち遠しい恋人たちの日になりました。しかし、日本のように女性がチョコレートを意中の男性に贈って、愛の告白をするという習慣はありません。しかし、どうやらその日本の習慣だけはベトナムでも若者を中心に広く知られているようで、「なんで女の子が男性に告白するのよ!」と訝しく思っているようです。ベトナムではレディファーストの習慣が根付いているほか、女性は男性に「男らしさ」を求めるので、男性が告白すべきという意見が圧倒的のようですね。
不思議その7:デートで割り勘
最後は割り勘。「どうして日本人の女の子は割り勘を許すの?」、「ぜんぜん男らしくない」といった厳しい意見ばかり目立ちました。ベトナム人の女性は、お付き合いを考える男性とは3度会って決めると言われています。その3度のデートで一度でも割り勘を打ち出すようであれば、「もちろん彼女じゃないので払います。ただ、もう二度と会いません」とのこと。学生の友人同士であれば割り勘もありますが、デートで割り勘はまずありえない様子。ただし、「割り勘はダメだけど、食事は男性に払ってもらって、次のカフェや映画のチケット代は女性が払う」という代わりばんこで支払いをするのはOKのようです。恋盛りのベトナム人の男子学生の多くが彼女がいないのがこの理由。「お金がないから付き合えない」、「お金がないって言ったらふられた」といった悲しい声も聞こえてきます。
どこまで頷くことができるか
今回はベトナム人の思う日本人の不思議なところを7つ紹介しました。これを読んで、「確かに。納得する」と思うものもあれば、「それには同意できない」といった意見もあるでしょう。そんな考え方の違いも国際交流の一環。意見の相違を楽しんでベトナム人と交流してみてください。