近年はベトナム人も若者を中心に「流行」に敏感になってきました。十数年前に最初に韓国資本がベトナムに入ってきて以来、韓国ドラマはすでにベトナム人の間に根付いていて中高年世代を中心に人気があります。日本で韓流が流行っていた時期でもありますね。
しかし、現代の若者はというと、少し流行の矛先が異なるようです。そこで、今回は現在現地の若者で流行っているものをご紹介したいと思います。
ベトナムと日本の社会現象の違い
まず最初に知っておいていただきたいのは、ベトナムは新興国だということと、日本は成熟した先進国であるということです。この違いというのは、単純に「後進国は発展途上国」というだけではなく、文化面においても目に見える相違点があります。その一つが「社会現象」。ベトナムは日本の30年から50年前と言われていて、現在は日本のバブル期と酷似しているのがベトナムの現状。
マンションや土地価格は無意味に上がり、格差社会が生まれています。高所得者は夜遅くまでディスコで踊り、ビリヤードやカラオケ、ボーリングなどが老若男女問わず大流行。日本の30~50年前の社会現象が、ベトナムでいま起きていると考えてください。
最新の自転車が若年層に人気
カラフルなタイヤチューブの自転車。こちらが現在の若者の人気。小中学生のような若年層に特に注目されていて、都心には専門店もオープンしています。こちらは日本でも流行ったマウンテンバイクのようなギア切り替え式のもので、前はもちろん後ろに走ることもできるタイプ。
ただし、買うと2万円以上します。ベトナム人の大卒初任給と同じ程度の価格なので、所得が低い郊外では滅多に見ません。ホーチミン中心であれば、公園や道幅が広い遊歩道などでよく見かけます。
週末デートは決まって映画館
日本では1800円くらいする高い映画館も、ベトナムでは300円~600円程度(映画館によって異なる)。これはベトナム人にとってもそれほど高い金額ではないので、若者のデートスポットとしては定番で一か月に二回程度行くようです。
公開されている映画はとても多様で、ベトナムの国産、中国、韓国、ハリウッドが中心。日本産は名探偵コナンやドラえもんといったアニメがよく上映されています。旅行者もベトナム産の映画は見てみる価値があります。たいていの作品には英語による字幕があるので、英語ができる方は十分楽しむことができるでしょう。
日本発の抹茶
これはベトナムだけではなく、アジア地域全般で人気になっていますね。最近は欧米にも広まりつつあります。日本の抹茶は「Matcha」として紹介され、お菓子からコーヒー、スイーツとあらゆる食品の抹茶味が販売されています。ベトナムでは古くから緑茶は飲まれているため、抹茶も受け入れられたようですが、現在では若者が通うカフェでも抹茶味のドリンクはほぼ間違いなくあり、抹茶カフェといった専門店も続々とオープンしています。
コンビニでも抹茶味のお菓子は販売されていて、ファミリーマートやミニストップといった日系のコンビニは特に種類が充実しています。日本では買えない東南アジア限定のお菓子もあるようなので、見つけたらゲットしてみてください。
ホーチミンのロマンティックデートといえばスカイバー
新興国では発展と格差社会の象徴としてよく見かけるのが「スカイバー」。高級ホテルや高層ビルの屋上で営業するオープンエア型のナイトバーです。一杯1000円程度するカクテルに、たばこを口にくわえたら、すっとライターを差し出してくれるような気の利いたスタッフ、有名人にカクテルをふるまったと言われている人気バーテンダー、そしてパノラマで見渡せるホーチミンの夜景。これらの要素が揃ったスカイバーは高級バーとして、ここに女性を連れていくことが若者のステータスにもなっています。
このスカイバーは旅行者にもおすすめ。ホーチミン市内を中心点在していて、行きやすいのはドンコイエリアの5つ星ホテル併設のバー。それにレライ通りにあるチルスカイバー、グエンティミンカイ通りにある「シリ」、ビテクスコフィナンシャルタワー直営のスカイバーは、ホーチミンで1、2を争う高級バーと噂されています。
ビール好きのベトナムだから流行ったビアクラブ
現在若者の間で最も流行っていると言っていい「ビアクラブ」は、ビールを飲みながら大音量の音楽と一緒に体を揺らすクラブ。ベトナムの一人当たりの年間ビール消費量はアジアでは中国と日本に次いで3位。ビール大国といえます。1000円程度で9杯ジョッキで告げる卓上サーバーを頼むのが定番。ステージ上では人気のDJやアーティストがゲストで登場。みんなでワイワイ踊って騒ぐのが毎夜の光景です。
ホーチミン市内で最も人気なのは、トンドゥックタン通りにある「キングダム」と、ハムギー通りにある「フォックス」。観光エリアの中心でもあるので、旅行者はのぞいてみるといいでしょう。日本人の若者であれば、「日本のクラブと全然違う!」と新鮮な気持ちになるでしょうし、中高年世代の方であれば、「なんだか懐かしい気分だな」と感慨深くなるかもしれません。
バックパッカー街が若者の町と変貌
写真のこちらは1区中心のブイビエン通り。ベンタイン市場から徒歩10分くらいで行くことができます。ブイビエン通りは傍を走るデタム通りとファングーラオ通りとあわせてバックパッカー街と呼ばれていて、大きなリュックを背負ったバックパッカーが行き交う町として知られています。
しかし、ここ最近は事情が変わってきた様子で、外国人はもちろんのことベトナム人の若者が非常に多く見かけるようになりました。ブイビエン通りの路上には毎夜決まってプラスティックの椅子に座ってビールやおつまみを楽しむ人で盛り上がるのですが、5年から10年前まではベトナム人はほとんどいなく、中長期滞在の外国人くらいでした。しかし、ここ最近はベトナム人の方が多く、彼らの流行にのったビアクラブまで不釣り合いにオープンする始末。
ベトナム人の流行を楽しむ
旅行者もここで紹介した流行を楽しむことができます。おすすめはナイトライフ。スカイバー、ビアクラブ、ブイビエン通りはビール好きには特におすすめしたいところです。ベトナムは治安もいいので、女性同士の夜歩きも比較的安全です。それもホーチミン旅行の魅力かと思います。