ベトナム中南部に位置するダラットは山間部にある小さな町。フランス人が植民地時代に開拓したのがきっかけで、現在では恋人たちの新婚旅行先として人気があります。今回紹介するのは、市街地から北に12kmほど進んだ先にある小高い山「ランビアン山」です。少数民族と交流し、この山で生まれた伝説を知る。そんな情緒豊かな旅を楽しむことができます。
個人よりもツアー参加がおすすめ
個人で行く場合は、タクシーとレンタルバイクの2通りの方法があります。タクシーなら往復50万ドン程度でいくことができると思いますが、現地でドライバーには待機してもらうため、チップも別途かかります。
そこでおすすめなのはツアー。市街地にはツアーデスクがたくさんありますし、ホテルでも代行してくれるところが多々あります。料金は15ドル~20ドル程度なので、個人でタクシーで行くのと同じか、それよりも安く済むかもしれません。
山へ登る移動手段は「ジープ」か「徒歩」か
現地では山の麓までジープ、もしくは徒歩で行くことができます。このランビアン山はトレッキングにも最適で、麓までは舗装された道路が続くので初心者でもハイキング感覚で楽しむことができます。麓より上は上級者コースとなるので、しっかりと準備したのち、経験者同伴で向かいましょう。
ジープで行く場合は定員に達するまで待機する必要があります。もし長く待つのが嫌なのであれば、人数分のチケット代金を払って貸し切りで行く必要があります。ただし、ランビアン山はダラット観光で人気の名所なので、ベトナム人、外国人旅行者ともに多いので、30分も待てば定員に達するかと思います。
景色を愛でる
麓から眺められる光景。絶景ですね。ダラットの素朴な田舎町が一望できます。ダラットには複数の少数民族が暮らしていて、そのうちのコホー族はランビアン山傍に村があります。
ベトナムは53の少数民族とベトナム人で構成されていて外国人が見てもベトナム人とは顔つきが異なるのが分かります。彼らは自分たちの言語で会話し、自分たちだけの習慣、掟、ならわしを持っています。普段は下界には降りてきませんが、少数民族によってはベトナム語を勉強して、彼らと商売をする人たちもいます。コホー族もそのうちの一つといえます。
ランビアン山と呼ばれる由来
ランビアン山は、ランとビアンの二人の名前からとったのが由来。麓の広場には、御覧のようなランとビアンの石像が建っています。このランビアン山には、ランとビアンの悲恋伝説があります。
かつて、ランとビアンはお互いいがみ合う異なる部族の首長の息子娘でした。しかし、あろうことか、二人は恋に落ちてしまいます。二人は首長を説得しますが、それは許されざる禁断の恋。決して認められることはありませんでした。そこで、二人は駆け落ちして、この山に逃げ込みます。
しかし、冬のこの山は容赦なく二人の体温を奪い去ります。そこで二人は決断したのです。自分たちの愛が永遠になるように、そして二つの部族が憎みあわないように、と。
部族の首長は二人の死を知り、自分たちの過ちを認めました。そして、その証として二つの部族は一つになり、名称も改めたのです。その名称が「コホー族」。現在この辺りで暮らす少数民族の由来となります。
コホー族の民芸品をお土産に
ランビアンの石像の周辺には、コホー族が手工芸品を作って観光客に対して売っています。毎日いるわけではありませんが、きっと彼らと交流することができるでしょう。彼らのつくる民芸品は機織り器で作る手工芸。ポーチやバッグ、サンダルにぬいぐるみとどれもお土産にはぴったりです。
これらの民芸品は市街地のお店でも売っていますし、ホーチミンの雑貨店でも手に入れることができますが、どこまでが本物かどうかは分かりませんし、値段も高いです。ここでは直売なので、本物の少数民族手工芸品を買うことができます。値段も良心的なので、予算が合えば交渉する必要もないでしょう。
恋人は愛のミサンガを
恋人夫婦で訪れたのであれば、是非買っていただきたいのが、愛のミサンガです。コホー族の言葉が刺繍されていて、男性は「OH KON BI」、女性は「BI KON OH」のミサンガを付けます。いずれも「愛している」という意味です。これが切れたら願いが叶う......という迷信があるかは定かではありませんが、二人の旅の記念にはぴったりのお土産となるでしょう。
ランビアン山は半日ツアーから楽しむことができます。現地での所要時間は約90分~2時間程度。移動も含めたら早朝出発して昼前後に帰ってくることができます。筆者おすすめのダラット名所です。