ホイアンは1999年にユネスコ世界遺産に登録された、古き良き町並みが印象の町。その中でも歴史保護地区に指定されている範囲はチャンフー通りを中心にグエンタイホック通りやバクダン通り、レロイ通りなど数多くあります。それらすべてを端から端まで歩くのは、かなり体力が必要ですし、のんびりとした時間が流れるホイアンにおいて、弾丸トラベルは似つかわしくありません。
そこで、今回は「チャンフー通り」、「グエンティミンカイ通り」、「バクダン通り」の3つのメインストリートをご紹介します。この道を歩けば、ホイアンのすべてが分かる、そんな気にさせてくれる素敵で素朴でノスタルジックな通りです。
すべて徒歩で回れる魅力
歴史保護地区内はすべて徒歩での移動が可能です。エリア内は自転車もしくはシクロで移動することもできますが、自転車の場合は盗まれないように配慮しなければなりませんし、シクロは途中で立ち止まってお店の中に入ることができないので、おすすめは徒歩で自由に移動することです。
目貫通りのチャンフー通り
チャンフー通りは名実ともにホイアンの目抜き通りに当たる道です。日本橋からはじまり、東に延びるこの道沿いには、当時交易で栄えたときから続く旧家がでこぼこと並び、鎧戸のある平屋の家々がどこまでも続きます。
歴史保護地区内は世界遺産に指定されているので、旧家の暮らす人は自由に改築や修繕ができないのが悩みらしいです。政府援助で家を存続させていますが、それも毎年来る洪水災害によって家は老朽し、数十年後にはホイアンの町は保てなくなるのではないか、とも危惧されています。
雑貨店を営んでいる家々も多数あり、時間に余裕がある限りゆっくりと物色してほしいところです。またオーダーメイドもたいていの店で請け負っています。既製品の場合は、デザインは古臭いものなので、部屋着用に買っていくのがおすすめです。肌触りで選ぶならシルクで、使い続けるのであればコットンやポリエステル混がおすすめ。シルクは日本で買うよりもだいぶ安いので、一枚は入手しておきたいところです。
屋台を楽しむ
ベトナムに古くからある習慣ともいえる屋台文化。ここホイアンの町中でもいたるところでみかけることができます。旅行者にとってはどれも新しい料理ばかりのはずなので、目についたものから立ち止まって試食してほしいところです。
屋台は夜遅くまでやっているので、食べ歩きの旅もいいでしょう。
博物館&会館を見学
ただ町中を歩くだけではつまらない、そう思う方は、チャンフー通り沿いにある博物館や集会所、お寺などに顔を出してみるのがいいでしょう。チャンフー通りにはこれらの施設がたくさん並んでいます。少し挙げるだけでも「貿易陶磁博物館」、「サーフィン博物館」、「関公廟」、「福建会館」、「廣肇会館」などがあります。中でも、「貿易陶磁博物館」は、日本との結びつきも強い展示物も展示されているので、探してみるのも面白いでしょう。いずれも入場にはチケットが求められるので、どこに行くかは吟味して選びましょう。
中国建築も豊富
ホイアンには、いくつかの中国独特の技法、細工が施された寺院や会館が点在しています。チャンフー通りにあるのは、中でも緑の屋根と赤い外壁が特徴的な福建会館です。貿易が栄えていたこの場所で、航海の安全を祈願する神様が祭られているので、チャンフー通りに訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
買い物ならグエンティミンカイ通り
チャンフー通りの日本橋を渡った先にある通りです。こちらもチャンフー通り、バクダン通りに続く観光客が多く行き交う道ですが、博物館や名所は1つくらいしかないため、お土産選びをメインに歩きましょう。
日本人町と中国人町
ホイアンの象徴ともいえる日本人橋。かつて交易町として栄えていたころ、頻繁に日本人が往来し、そのときに建設したとされています。この日本橋より東がチャンフー通り、西がグエンティミンカイ通りとなりますが、当時は東西に日本人町と中国人町が存在していたと言われています。詳しいことは分かっていませんが、当時は日本人も中国人もベトナム人も交流が盛んだったのではという説が有力です。また、この日本人橋の周辺地域は、歴史保護地区にもなっていて、ホイアンの伝統的な古民家などを見ることもできます。
服飾雑貨が充実
店探しは屋台もいいですが、実店舗に入ってみるのがいいでしょう。こちらも旧家が並び、内装を一部改築して服飾店として営業しています。シルクの部屋着やスカーフなどがおすすめ。値段は20万ドンから40万ドン前後。シルクは100%なので、洗濯は少し困りますが品質は確かです。
また、ホイアンは冷房の効いたお店やカフェが少ないため、日中の散策時にはサングラスや帽子、長袖、カーディガン、ストールなどを用意しておくといいでしょう。もし持ってきてなければ、ここですべて調達することも可能です。
店の中には画家が絵を描いているので、断りを入れれば見学させてくれる店もあります。店頭に飾られている絵画はお土産用です。また店によっては即興で似顔絵を描いてくれるところも。20万ドン程度で10分~15分ほどで書き上げてくれるのはプロのなせる業ですね。
トゥボン川を望むバクダン通り
昼間はそれほど人通りがありませんが、本番は夜以降。この通りは主にレストランと屋台が並び、また夜はトゥボン川に流す灯篭を売る少年少女で賑わいます。
ご覧のように、道路インフラが充実していないため、対岸の村へ行くためにはいまだ小型船が橋渡しとして活躍しています。ベトナム人のメインの移動手段となるバイクを乗せて、十分に客を乗せた船から出向して対岸を回ります。観光客もこれに乗って、向こう岸にある陶磁器の村へ行くことができます。ただし、帰りの船がいつ来るかわからないのが難点です。
昭和の香り感じる時間を満喫
16~17世紀、ホイアンの港町は全盛期を迎えます。日本からは朱印船が派遣され、その他にも中国やオランダの商船がこのトゥボン川を行き交いました。現在ではディナークルーズ船や観光客を乗せる手漕ぎボートがとってかわり、観光客を楽しませてくれます。
ホイアンでレストランにありつきたければ、橋向こう(歴史保護地区ではない)のエリアに行くといいでしょう。その他、きちんとしたレストランはホテル併設となります。ホイアン旅行に来たからには、ご覧のような屋台グルメでお腹を満たしてほしいところです。バクダン通りは毎夜トゥボン川沿いにテーブル椅子を並べられ屋台食堂と化します。そこでとる食事は異国情緒たっぷりで満足することでしょう。
3つの通りを巡るだけでホイアン観光は達成する
今回紹介した3つの道が基本的なメインストリートとなります。時間がない方はまずはこの道を歩いて、さらに余裕があれば「グエンタイホック通り」や「レロイ通り」、「ハイバーチュン通り」などを回るといいでしょう。